小野寺 シズ

 私は現役高校3年生、都内の高校に通う。

 しかし、1年生の夏休みが終わってから1度も通学していない!

 それまでの成績は至って優等生であった!……多分ね!?


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 1年生の夏休みのある日の事だ。

 それは高校に入ってから出来た、新しい友達と江の島の海に行った時の事である。


 私はその友達と海に行く前に、新しい水着を用意する為に買い物に出掛けた。

 母にお小遣いをせびり、ウキウキしながら買い物に出掛けたのであった。


 この海に行く事であっても、両親の許可を得るまで相当の努力を経た。


 これが海を見るのが最後かもしれないと–––。


 私の言い放ったこの言葉が最後の決め手で、両親の首を縦に振らせたのだ。

 中学の時から人付き合いは苦手だった。だから、クラスメイトとも親しい友達と呼べる人は居なかった。


 しかし、私にある出来事が発生して、今までの自分の性格を改めて、明るく振る舞うことにした。


母は言った–––。


「なっ、なんでこの子が……!?なんで……出来るものならこの子と変わりたい!!そんなっ!!だって…まだ10代ですよ!?先生……」


「もう少し早くに発見できていれば…しかし…ここまで進行してしまっては…さっ…最善を尽くしますから……」


 母が泣き俯く姿は今でも忘れる事はない!!

 これが私に「白血病」と診断された日だった–––。

 私は全てを投げ捨てたく、命をも自らの手で捨てようとまで考えた–––。


 酷い言葉を両親に叩き付けた事もあった。


「どうせ…どうせ……遅かれ早かれ死ぬ身だもん!!だから……今死んだって……」


「なんで……なんで……、そんなこと……分からないじゃない!!!!私たちが必死にあんたの事……」


 母を泣かせた–––。


 それから私は闘病生活に入るのだ。

 病室に閉じ込まれ治療だと隔離される。

 白い天井と会話する日々が続いた–––。


 クラスメイトが見舞いに来る事はなかった。それもそうだ!私にはこの時友達と呼べる友達は居なかったから……

 私の様子を伺いに来るのは、至っていつも両親か看護師であった。

 でも病室に来る、無理して作った笑顔を見せる両親には、私の寂しさを癒してくれた。


 入退院を繰り返しながら、私は中学を卒業した。

 一時は回復の兆しがあり、高校へ通う事が許され、入学当時から通っていた。

 私も、回復しつつあるとの知らせで安堵していたのだろう。


 しかし、私の側にはまだ悪魔がいたんだ!!!

 その日は近づき……わざわざ水着を新調し浮かれて行った海で倒れてしまった。


 それは唐突に私を襲ったのだ。

 その悪魔を私は呪った–––。


 駆け付けた両親の顔は青ざめ、私を搬送する救急隊を急かした。


「なんで…なんで……、回復したんじゃ……」


 それから見慣れた天井を眺める日々が続く。

 次第に両親への気持ちが変わっていくのが分かった。

 どんな時でも側に居てくれる。そして私を守ってくれる、助けてくれる。


 だから、今度は私が誰かを…………


 守りたい–––。


 こうして日本国内を騒然して、世に放たれた一本のゲームが父から送られてきた。


「気晴らしにと思って……これ凄いんだってよ!!」


 そう言う父の顔を見たら断れなかった–––。


「『セカンド・ライフ』かぁ…日本語で言ったら…2回目の人生。2回目の人生かぁ…2回目ってお父さん、このゲーム2回目の人生って意味…ううん、やってみるよ!!」


 しまった!という顔をしてる父……。しかし何でもいいから私の気分を晴らしたい!その気持ちでいっぱいだったんだと思う!!


 父が看護師に許可を取ってくれて、このゲームをやってみることにした。

 その許可が降りるのはそう難しくは無かった。


「これも一つの気晴らしになるかも…」


 そんな回答であったらしい。


「じゃあ、ログインしよっ!!!」

「名前はと……小野寺シズだから……シズで!!」

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