第2話



朝起きたときと夜寝るとき、日課として『外郎売り』を欠かさないようにしている。

三日目くらいで全部覚えられたはいいものの、毎回やってもなお、躓く箇所はだいたい同じ。

自分の場合は、お茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ、茶立ちょの部分で、竹垣にもそうなんだけど、たちつてとが意外と苦手らしい。自分じゃ今まで気づかなかったことだった。

したがって、たちつてと雑記。


【た】

探究心が趣味のモチベーションになっている状態はとても好ましい。

自分の場合、小説と生物観察がそれに当たり、ほかの趣味は違う目的が軸になっている。

小説はとくに書き終えたときに僅かに残る砂金のようなものの正体を知りたくて、色々削りながら取り組んでいる。

上手くなりたいとか人に見られたいとかいう次元はどこかであっさり超えちゃって、現在は純粋に自身の好奇心・探究心を満たすための行為と化している。

生き物に関してもそうだけど、自然の中で見たもの、感じたものの正体を突き止めたくて観察をするし、調べようとしている。

そういう『他者を介さない、または他者を意識しない原動力』が突き動かすパワーは、出力にこそ天井はあるかもしれないけれど、やめる理由を見つけないうちは半永久機関的に駆動し続けるものなんだろうと思っていたりする。

そういえば。むかし、中学生のときに実験で作ったスターリングエンジンっていう機関があるんだけど、あれは結局うまく回らなかった。密閉した容器の内外の冷却・加熱による体積の変化で半永久的に動く動力機関で、あれをなんとか成功させたくて躍起になっていた。

今思えば、あれもホイールが回り続けるようすを見てみたい探究心があったから、ずっと取り組んでいたのだろうなと振り返る。

また、ボディビル界隈で有名な大学の先生がいるけれど、その方は25年間とかずっと筋肉の研究を続けている人で、やはり彼も筋肉のことをひたすら知りたいから研究をしているとおっしゃっていた。

世の中には継続は力なりという素敵な言葉があり、これに敵うものは本当にないと思っている。この継続のためには根気も、負けん気も当然不可欠なんだけど、同等に奥深さに迫りたいという胸に秘めた熱意も求められている気がしている。

奥深さに迫ろうとすれば違うアプローチも自然と試みるし、工夫する力を身につけるため探究心は侮れないと思うのです。


【ち】

塵も積もれば山となるが、邪魔にもなる。

物語をたくさん書いていて率直に思ったこと。

一つの媒体だけで書くわけじゃない自分は文章の保存形式もまちまちだった。

テキストファイルもあれば、ドキュメント形式もあるし、PDF形式もある。一応はDropboxにデータはあるものの、いかんせんまとまりが悪く、タイトルだけでは本文も理解しづらくて、他人というよりは自分が整理できなくて困ってきた。

そういう経緯の元、webサイトを利用し、バックアップの意味も込めて投稿するようにしてみた次第。

実際に自分が使っているカクヨムは思ったよりも感触が悪くなくて、完結と連載で棲み分けができるから長編は連載形式にするとかできるのは良いなと思った。

それでもなお、積み重ねてきた文章・文量は計り知れないもので、かりに一日に5,000字ずつ投稿したとしても、余さず投稿し終えるには半年かかる計算だった。

よくもまあ、そこまで継続してきたものだと我ながら感心するわけだけど、その実社会的にはほとんど誰にも小説に関して口外していないあたり、やおら不思議なものだ。

やはり自分の中では、物書きそのものが世間一般向けの、換言するならウケの良いジャンルではないと決め付けているからかもしれない。

忌憚を怖れずに極端な対比をするなら、小説と漫画はどちらも同じ物語を描いたとしても、小説は内側に矢印が向いていて、漫画は矢印が外向きという感覚をつねに抱いている。

反駁も承知の上で、やはり自分にとってはそれが未だに拭えておらず何年経とうがもぞもぞとし続けるありさまなのだ。

ともあれ、内だとか外だとか節分らしい戯言を抜きにすれば、やはり自分の積み重ねてきた我が子たちはめっぽう愛おしくて、人にふれてもらうことこそが親にとってこの上ない悦びなのだと願って書き続けている。

そういうわけで言い直し。

塵も積もれば、愛の結晶。


【つ】

ツイッターにお世話になって長いこと経過する。

良くも悪くも現代社会におけるSNSの影響はあまりに多大で、報道する主体がこの二、三年で見事にひっくり返ってしまった。

情報の信頼性は内容に依存する部分が大きいものとして、即効性、拡散性、飽和性、ジャンル性、独自性などは完全にSNSが上回っているのが事実だということを折にふれ実感する。

人々が自然とテレビから離れていくのは自明の理で、情報の選択権がほんとうに個人に委ねられる世の中になってしまっていると思う。

つまり何が言いたいかっていうと、わたくしツイッターの見過ぎ。何事もバランスですよね。


【て】

定期的に観たくなる映画がいくつかある。

最近はコナンの映画が観たい。世紀末の魔術師か、ベイカー街の亡霊か、ゼロの執行人。今年も新作が楽しみだ。主題歌が東京事変の時点で事件だし、非常に楽しみだ。楽しみなので楽しみだ。


【と】

トメイトゥ!(声高らかに(審査員の目を見ながら(ここはロサンゼルス(台所に立つ嫁の顔を見ながら(夢に向かって(嗚呼、希望の光(きらめく青春(大切な仲間たちと(心身を育む(我ら若人の学び舎(そして農家さんへの感謝(マジ感謝(永遠の愛を誓うよ(マジ感謝)



2020/3

さくら並木に想いを寄せて

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