古城、吹き返す

私は婿取りや女王に興味はない。

だけど、国民が心穏やかに過ごせる国になるよう貢献したい。

挽回の意はないけれど、王位継承権を持っているものは、何かしら行動を起こさねばならない。陰ながら国を支えることに従事る。

相応しい傀儡を選ぶ基準になるってわけ。

ま、傀儡になるかどうするかは本人次第。

興味ないから知ったことじゃないわ。

私は私のやりたいことをするだけ。


女子だからいい顔をされないけれど、王位継承権という看板のお陰で自由にできる。

夜のパトロールが私の仕事。

……講義中寝てしまってばかりで、『眠り姫』って。たはは。

他の奴らが何してるか知らないけど、(一人は騎士団長してるって言いに来た)詳しいことは知らない。開示はしてくれるそうだけど、ホントに興味ないから。

裏かいたり、交渉希望とか目的があるなら必要かもしれないけど、私にはいらないかな。


……今日のパトロールは街中じゃない。

私は不気味に聳えるを真下から見上げていた。

胸ポケットからペンを取り出し、スイッチを入れる。光のボードが現れ、キーボードを呼び出して鍵盤を叩く。

これはという。

デジタル国家コロプーゾとの提携で、魔法と電脳のコンビネーションで作られたもの。

両国の情報交換ツールであり、自国民同士は元より、両国民の交流装置となっている。

今調べているのは、『Devil Seed』が浮上したからには他にも関連がないかと思ったからだ。

このような事象を『ロア』といい、ネット回線を介して『ネットロア』と呼んでいる。

種から化け物が生まれたんだとか、アシュリーの予測した養分説もあった。

ネットロアはどこに行ってもある。可愛いイタヅラからわるふざけ、此岸彼岸ある怪奇現象など、後を絶たない。

……違和感を感じた。

憶測しかできないから、憶測に憶測を重ねて予想を立てようとするのはわかる。

しかし、やけに乱立して話題の殆どが『Devil Seed』。

私は聞くまで知らなかったことだ。

これほどまでに噂になっていれば、耳に入らないはずがない。

国に関する話だとしても、この種ののされ具合は少し寒気がした。


ふと、頭上が明るくなった。

誰も居ないはずの古城にかのように。

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