信じられない


ーーここは、どこ


(空気が違う、、、っていうか、え、何?)


ーー何やらでっかい物の怪(車)が走っている


ーーなにやら、わけのわからない硬いものの下にいる

(鉄筋コンクリート製の橋)


ーーなに、ここ、どこここーー常盤は、弁慶を心の中で呼んだ


ーーあの、黒い大男は、頭のできこそよくないが「鉄の体」略して「鉄人」

と呼ばれる強力な、硬度の肉体と上背があるのでーーもしでっかい物の怪

らが、襲ってきても安心なのだが



いや、義経も弁慶も、ここにはいないかーー義経や弁慶にとって、「常盤」

が、武家屋敷にいた時ー奥州平泉に言って時だから、今いるはずがない


(弁慶、義経~会いたいよ~)

弁慶は、日本人離れした黒い肌に、お馬鹿で、猪突猛進で、だいぶ困ったところもあったが、「常盤」のことを大事に思っていた


義経は、ほんの数年前知り合ったばかりの弁慶より、だいぶながい付き合いになる

ーー彼の性格、、、少し甘えん坊で、少しやんちゃで、無鉄砲なその性格が常盤は好きだった


何より、義経は、天狗に教わった技を見せてくれたのだ(化け物すぎて再現できない)

そういう、手の内がばれるようなことは、するなと叱ったが内心うれしかった

ーー天狗から教わった、八艘飛はっそうとびや、剣術、体術に至るまで

じぶんでは教えることはできないものだ

ーー常盤は、戦力という意味では、義経のもとに集まっている集団の誰よりも劣るだろう


それは、彼の父である、源頼朝みなもとのよりともにいる、雑兵一人をとっても確実にそうだといえる

そうだ、思い出したー頼朝は、義経を嫌っていたのだ


(願わくば、親子仲良くできますように)


ーーその常盤の願いは、西暦2019年初夏のころには、もう手遅れだった


ーー源頼朝は、奥州平泉での戦いで、義経を自刃に追い込み


武蔵坊弁慶は、主を守って仁王立ちのまま死んだ


ーー静けさや、つわものどもが、夢のあと

        --芭蕉ばしょうの句にもある通り、もう、今は昔のこと


切ない物語、である

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