第51話 遭難した2
「王子が戻っていないと?」
私はミリヤム様とロッジに戻り王子達の姿が見えないので他の生徒や先生にも話を聞いたが見かけないと言う。
いなくなったのは王子含め、シーラ様にロジーナ侯爵令嬢だ。
ミリヤム様は
「ザシャくん…私が探そうか?私なら空飛べるしバリアも張れて雪防げる。食べ物食べなきゃ…」
と食べ物をかき集めようとするが
「いえ、ミリヤム様…!この天候では視界は遮られ見つけにくいです!天候が回復するまでは動けませんよ!」
「ザシャの言う通りだ!皆は部屋に戻れ!先生達で会議をする!!」
このままでは王子の探索に参加できない!私は曲がりなりにも王子の従者だ。色恋にかまけてすっかりミリヤム様に夢中になっていたと父様に知れたら!!
いつも父様は穏やかな方だけどこういう責任のある事を放棄した時は怖い。
「シュッツェ先生!私も会議に参加させてくれませんか!?王子の従者として!!」
「ミリヤムも参加するよー。これでも魔法得意だし居場所さえハッキリすれば転移魔法が使える!!」
と言うからミリヤム様も参加する。
「仕方ないなぁ…」
とシュッツェ先生はユストゥスに
「ユシー…先生少しお仕事してくるねん!」
「あぁ、はい、頑張ってくださいね。王子達が見つかること願ってます!」
とユストゥスはにこりと言うと、シュッツェ先生が悶え何か耳元でコソリと言いそれにユストゥスは赤くなりダダーと部屋に戻っていく。
そして先生達や捜索隊の皆さんと机に地図を広げたのだった。
*
あれから数時間が過ぎようとしていて吹雪は酷くなった。くそ…。
奇跡の力で暖かい筈なのだがこいつら何故俺にくっ付いてやがる!?
「お前ら離れろ!!」
「嫌ですわ」
「嫌」
「ロジーナ嬢が離れなよ!!ヴィルは私の婚約者だよ?」
「あら、そうですわね?ですが私も易々と引き下がりませんわ!王子の心変わりもあるかもしれなくてよ?それに側室にして貰っても構いませんわ」
「いやない」
「ないってさ!!残念でしたーー!!ロジーナ嬢!!」
ベーとシーラが舌をだした。
「くっ!神獣だからって公爵令嬢だからって!何なの!?生き延びたら勝負ですわ!!シーラ様!」
「ふん!望むところ!捻り潰してあげるよ!」
と俺を挟み喧嘩すんな!!
「それにしても…暇だな。でも何もねぇ…」
「それだったらヴィル!今日のシーラの下着の色当てて?当たったら見せてあげる♡」
と言うから俺はペチンと頭を軽く叩いた。
「あ、あほめ!そんなしょーもないことしてどうすんだ!!」
「そうですわ!はしたない!!流石獣!!頭の脳味噌の程度が知れますわ!!」
「むむ!ロジーナ嬢には言われたくないもん!!じゃあ、ヴィルだけに見せようかな…」
「見せんなっっ!!」
と赤くなる俺。こんな時になんて馬鹿をしてるんだ!!
しかしシーラは暖かいからかウェアを脱ぎ始め、それを見たロジーナ嬢もなんと負けじと脱ぎ始めた!!
「お前らこんなとこで何やってんだ!!馬鹿か!!」
「そ、その娘が王子を誘惑するのなら私だって!!」
だってじゃねぇよ!!
シーラは上半身の下着の胸をはだけさせた。相変わらずデカいし下着はピンクの水玉模様が入り更にレースやフリルの飾りがつき可愛らしい。正直俺の好みだと思う!うう…。目の毒。
一方でロジーナ嬢はなんと大人っぽい黒い下着だ!!胸は無いけど。
「ふふん、私の方が興奮します?王子!そんな化け物みたいな乳に惑わされてはなりませんわ!」
「化け物ってなんなの!?そんなスカスカの胸で何威張ってんの?バカじゃない?それにそんな下着健康診断で付けて行ったら先生に怒られるよ!生徒指導室行きだよ!!」
シーラの言う通りだな。
「ふん!そんな子供っぽい下着よりマシですわ!ほほほ!貴方おばさんなのに若作りご苦労様ですわ!」
「なっ!スカ胸のくせに!!」
「うるさいですわね!小さい方が育てがいがありますわ!これは王子に大きくして貰うように希望がありますわ!ですが最初からただ大きいだけの胸なんてただの奇乳ですわね!!」
「ななな…ひ、酷い!!シーラ奇乳じゃないよ!!形だっていい!!」
「ほほほほほ!奇乳が何を言っても無駄ですわ!」
俺はもはや膝を抱え見ないように突っ伏したのだが…二人は無理やり胸を押し当てたー!
シーラの大きなバストが腕にフィットし大変気持ちいい…いや!いやいや!何考えてんだ!!
一方でロジーナ嬢はスカスカながらも押し当て頑張ってる感でもはや応援したくなる。
てか何だよこの状況は!!
なんでこのバカ二人の為に俺は力を使い続けてるんだ!?だがここで止めたら二人とも下着姿で凍死してしまう。
「もうやーめーろー!!!」
俺は2人の胸を髪の毛を伸ばして隠した。何でこんな事に赤髪まで使わにゃならんのだ!!2人をとにかく大人しくさせる為に床に押さえつけておく。
「ああ!ヴィルフリート様の髪の毛が私に!!」
「ちょっとヴィル!私は良いけど、こんなやつに髪の毛一本も触らないで!!離して!それに能力使わないで!!」
とシーラがもうめっちゃ怒っているから俺は
「うう…」
と呻き仕方ないから髪の毛を引っ込めた。もはや2人の気迫に負けた。女って怖い!
2人はジリジリと迫ってくるし!!
だ、誰か助けてくれ!!もはや精神的にも辛い!!遭難してること忘れかけそうだ!!
そしてそんな所にいきなり床に模様が現れてヒョコっとなんとミリヤムが顔だけだして状況を見た。というか見られた。そして…
「ヴィルみっけー………。うーん…一回戻ろ」
とか言ってミリヤムは消えた。
「ま、待てこらああああ!!連れてけよおおおお!!」
と言ったが遅かった!!
*
私は地図を見て大体の当たりをつけていた。
王子は謎の板を持ち移動していた。それはやはり例の王子の新しい発明だろうと思った。雪山で使えるものだからスキー以上の性能を試したいのだろう。雪山には滅多に来れず試作するには丁度いいのだろう。伊達に王子と付き合いが長いわけでもないし親友なので王子の考え方も判る。
きっとこそこそ練習してどうだとか言い出すだろうと思うと余り人目につかずコースからほんの少し離れたここか。
しかし雪崩れのアナウンスは聞こえたはずだ。何かあったとしたら運悪くここにも雪崩れが起こったと仮定すると雪崩に反り逃げて……。
「大体この辺りでしょうかね?…この吹雪ですしここの辺りは雪溜まりが多くあると地元の人々に聞きましたし、この辺りなら王子達が雪洞窟を作りシェルターにするには充分の量が丁度あります。
晴れたらこの先には山小屋もそう遠くはありませんが吹雪で下手な動きは王子ならしないです!…間違い無いとは言えませんが」
と言うと皆流石従者だ!と言い始めミリヤム様も
「じゃあ!この辺ちょっと散策してみよ!!」
と魔法陣に頭だけ突っ込み何度か
「いない…」
と雪塗れの顔を出したので私はフワフワのタオルで頭をその度に拭いてあげると気持ちよさそうにする。可愛い抱きしめたいけど今は皆さんもいるし我慢しました。
そして何度目かでミリヤム様は顔をあげた。雪がついてない!
「ヴィルいたよ。場所判った」
おおーーっ!!と捜索隊や先生達もホッとした。何せ王子が行方不明とか知れたら大変ですしね。国王様は多めに見るだろうけど。
「いたけど…なんかシーラとロジーナ嬢に襲われそうになってたよ?二人とも目が本気で私を睨んで帰れとばかりだったから怖くて逃げてきた」
と言う。うーん…。王子…。モテモテなのは判ります。こんな状況で密度の低い所で迫られるとは!!流石です!!
「えっ?ど、どうする?」
「少し時間を置いて事が終わったら…」
「ここは学校では無いし規律には触れんしな…」
「王子もお年頃だろうし経験が必要なのかも?」
「邪魔をしたら悪いしな」
と先生達も謎の気を使い始めた。
うーん…なんか王子が助けてくれええと叫んでるのが目に浮かぶんですが…。後から恨まれそうですし。
「ミリヤム様?とりあえず助けに行ってくださいますか?流石に男性ですから私はお待ちしております」
「ええー?なんかシーラ達怖かったからやだなぁ」
「後でドーナツ買って食べましょう!?」
「行くううう!!」
とミリヤム様はあっさりと魔法陣で迎えに行って、4人が暫くして戻ってきた。
王子はなんかやつれてゲッソリし、
「遅いんだよ!何で一回帰ったんだよ!バカ!…くそ…もう限界だ眠い!!」
とそのまま王子は気絶してしまった。
力の使い過ぎか。
「ヴィル!!」
「ヴィルフリート様あ!!これから私と愛を育む予定でしたのに!」
「何をう!?私のヴィルに触るなっ!ガルルルル!!」
とシーラ様も吠える。
とりあえず王子を抱え私は部屋に戻り寝かせた。全く心配かける親友です。
ミリヤム様が廊下で待っていた。
「シーラとロジーナ仲悪いね。恋敵ってやつなんでしょ?私にもいたら面白いのに」
「いやいやそんなのいいですよ。というかいてもミリヤム様には敵いません!!私の心は貴方のものだし誰にも奪われません!」
とミリヤム様を抱きしめ私達は手を繋ぎドーナツを買いに行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます