第34話 ミセスコンテスト3

「思わぬ乱入者の正体は!!何と何と!この世界の女神ザスキア様だああああ!!」


 わあああああ!!!


 と大歓声が上がり、ザスキア様は微笑み手を振った。


「えー!ではここからの勝負は残った勝負での合計得点数が多い方が優勝となります!!皆さん頑張ってくださいね!次の勝負は頭脳戦です!!」


 となんとオセロが用意された!!


「対戦を発表します!この勝負は残った6人で行われます!必然的に敗者は3人出ます!もちろんこの先の勝負の得点に作用されますので頑張ってください!!それでは対戦相手を発表します!」

 とアナウンスは流れた。

 対面式のオセロか…。ううむ。どうなるんか判らんな。


「では!発表!!ヴェルナ・ディーバー侯爵夫人VSローゼ・ゼッフェルン王弟妃、クラウディア・ゼッフェルン王妃VSアスカ・リーンハルト公爵夫人、ドーリス・フーデマン伯爵夫人VS女神ザスキア様…となっています!!それでは!鐘が鳴ったら勝負スタートです!!」

 と流れた。一体どうなる?

 と思ってると飲み物を人数分袋に入れてフェリクスさんがやってきた。このひとの心もザシャ同様読めない。流石ザシャの父親だ。


「おやおや…まさかうちの奥さんが勝ち残っているとは思いませんでしたよ」

 とフェリクスさんは父上や俺や皆に飲み物を渡しながらザシャにも聞いた。


「ザシャ…どう思いますか?女神様ですからね…相手は…」


「お父様…そうですね…判りませんがいい勝負かと…」

 と考える。そう言えば…ザシャはいつかオセロで全面真っ黒にして俺を簡単に倒した…。あれが母親仕込みだとしたら…。俺はザシャ達家族の頭の良さにちょっとゾッとした。母親のドーリス夫人は有名な小説家でもあり、ファンも多い。頭がいいのもたぶん心の制御もザシャ達同様知ってるからザスキア様もドーリス様の心を読めないかもしれない。


「ザシャくんのお母さんの小説シーラも読んだことあるよっ!!ねっ!今度サイン貰ってもいい?」

 とシーラが言うとザシャは


「いいですよ?シーラ様。なんなら新刊にサインしてもらいましょう」

 とニコニコ言う。


「やった!!」


 母上とアスカ様は中々いい勝負をしている。アスカ様もオセロは知っている筈だ。父上の前世の日本からの転移者なんだからな。

 母上も父上を相手によく遊んでいたりするし。


 ローゼおば様とヴェルナ侯爵夫人の対決はあっさりとローゼおば様が既に勝っていた。ヴェルナ侯爵夫人は頭は悪かった。

 ユリウス叔父上は満足そうにクールな顔を崩した。


「ふふ、後で褒めてあげましょうね」


「お母様が勝ったら家族でお食事に行きましょうお父様!」

 とヨーナスも嬉しそうに言う。結局勝負はアスカ様と母上は引き分けでザスキア様とドーリス伯爵夫人はたった一枚差でザスキア様が勝った。


「やりますね、はい。ドーリス…貴方は強かった…流石です…」

 とザスキア様も認めるくらいだ。


「はい、手加減させていただきました!女神様!」

 と頭を下げてザスキア様は


「恐ろしい子!!」

 という顔になる。

 そして次の勝負は早食い勝負で圧倒的にアスカ様が1番で次にザスキア様、次に母上、ヴェルナ夫人、ドーリス夫人、ローゼおば様となった。


「いよいよ最後の勝負だ!!この勝負で得点の勝敗が決まると言っていいでしょう!!次の勝負は……母なる味!お料理勝負だーーー!!!」

 と言いった。俺と父上は


((終わった…))

 と白目になる。何せ母上は料理が超絶下手くそだ!!料理だけではなく家事全般ダメだと思う。


「ここまでか…」

 と俺もフェイトのようにガクリと首を垂れた。

 笛が鳴り料理器具や食材が並べられると…

 ドーリス夫人以外は全員おろおろし出した!!


「そっ!そうか!皆生粋のお嬢様だし、あんまり料理したことないんだ!!」

 と父上はまだいけるかもしれんと応援した。


「ディアーー!頑張れーー!!怪我するなよ!!?」

 と父上が大声を出すから恥ずかしいと思っていたらユリウス叔父上も


「ローゼ!!無理しなくてもいいんだよ!!」

 と大声で心配する。


「アスカー!!大丈夫です!残ったアスカの料理は全部僕がいただきますよ!!」

 とカミル公爵様も叫ぶ。残る前提。

 母上達は恥ずかしがりながらも何とか食材を手にしてそろそろと料理を始めた。ちなみにヴェルナ夫人の応援はなかった。


 ヴェルナ夫人はもはや素手で野菜を持ち、ぐちゃりと食材を握り潰していく。

 母上はもはや言った側から指を怪我しながらも食材を切り食材は血に濡れた。

 アスカ様は切りもせずに鍋にぶっ込んだ。

 ローゼおば様はオロオロしていたが、ユリウス叔父上の視線に気付くと安心してさくりと食材を歪に切った。

 ザスキア様は早過ぎて見えない。

 ドーリス夫人だけは規則的にトントンと普通だった。


 結果的に出来上がったものは…


「ザスキア様が1番です!何でしょうこの料理!!まるで高級レストランに出てくるような仕上がりで味も最高でした!!」

 と褒められてザスキア様は


「子羊のガーリック仕上げのステーキと付け合わせのサラダとあっさりスープです、はい!お料理は趣味です!彼氏募集中ですから、はい!」

 と言い、観客が手を挙げて立候補するが


「人間とは恋できないのです、ごめんなさい、はい!」

 と言っていた。


「2番はドーリス侯爵夫人!素朴な普通のお料理!普通に美味しい!!特製サンドイッチでジューシーなお肉や卵、色々食べれます!!」

 ザシャは


「後で皆に配れるようにお母様はたくさん作られたのですね…」

 と感心する。


 それから後はもう悲惨だった。


「ええー…まず、ローゼ王弟妃様…あのぉ、これは何という料理でしょうか?」

 と逆に聞かれてローゼおば様はもじもじしながら言った。


「ええと…オムライス…を作りました…」

 とぐちゃりとした何かを差し出した。

 それでも叔父上はヨーナスと拍手をしていた。


「で、ではヴェルナ侯爵夫人はどうです?」

 と聞くとこっちもぐちゃりとした何かを出す。


「ふっ、ハンバーグでしてよ!!」

 いや、ハンバーグは固形物でありそんなにドロドロでは無かったはず!

 さらにアスカ様は何かが器からはみ出していた。


「なっ、何なのでしょうか!?アスカ公爵夫人…」

 もう聞く方も何一つ判らない。


「ラーメンだよ」

 と言った。

 えっ!?あれがラーメン!!?父上が作ってたヤツとだいぶ違う!!

 カミル公爵とミリヤムは


「お母様のラーメンだ…全然食べたくないけど」


「うん…大丈夫です!僕が後で食べますよ」

 とカミル公爵は汗垂らしながら言う。医務室行きだな…と俺は思った。


 最後は母上だが、酷い臭いの何かのスープが出てきた。心なしか赤い。


「お、王妃様?こ、ここここれは何でしょうか?」


「カレーです!!」

 と母上は言った。母上は父上の作るカレーが大好物で日々研究はしていたが成功することは無かった。


「カレー!!?」

 ううーんと唸る審査員。もはや前2人以外は口つけたらヤバいなと話し合い結果ザスキア様とドーリス侯爵夫人の得点が上がる!!


 そしてついに全試合の総合得点が知らされる。


「映えある1位は女神ザスキア様だーー!!総合点でもぶっちぎりでございまーす!」

 おおーっ!!と観客から湧き起こる拍手でザスキア様はにこりと微笑み


「このようなコンテストに参加できて楽しかったです!!」

 と賞品の高級ワインを受け取った。


「あいつそれが狙いで出たな!?」

 と父上はぼやいた。


「2位はクラウディア王妃様です!!制服得点がかなり高かったと思われます!!おめでとうございます!!」

 と花束を貰っていた。


「3位はドーリス伯爵夫人でーす!普通に勝ち残り凄いと思います!!おめでとうございます!!その他の皆様!大変残念でしたが個々光るものがありました!!参加ありがとうございます!」

 ドーリス伯爵夫人は可愛いエプロンを貰っていた。


 それぞれに拍手が沸き起こり大文化祭の1日目の目玉のコンテストは大変盛り上がっていた。

 敗れたハクチャーン様とレーナおばさんは


「はあ、胸の無いお前達が勝つなんてな」


「ていうかザスキアはともかく、ドーリスが3位って何なのよ?普通に勝ってる!!」

 とキーキー嘆いていた。

 そして


「見てなさい!来年こそは勝ち残るわよ!!」

 と宣言してテオドール叔父さんとフェイトはガクリと項垂れた。

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