第33話 ミセスコンテスト2

 ピエロの格好をした生徒がステージに躍り出て前置きの戯けたパフォーマンスをした後、観客に向かいキャンディを投げ配った後アナウンスが流れた。


「第1回ナターナエル学院!美しきお母様達による聖母決定戦!!ミセスコンテストーーー!!!んーーー!!開催ーーー!!!」

 と流れた。聖母って…。


 盛大な拍手と共にカーテンが開き、母達がずらりと姿を表す。ハクチャーン様とレーナおばさんは真ん中を分捕り目立っていたが、母上はカーテンの裾を持ち恥ずかしさでプルプルしており、俺や父上に他の親達はキュンとしてしまう!!


「可愛い…」「あれは可愛い」「流石王妃様」「可愛い」

「可愛いすぎる」「お持ち帰りしたい」「可愛い」

 とザワザワしており父上が


「おい!今持ち帰りたいつったやつ牢屋にいれろや!!!」

 とキレた。その父上は前世の文字を使い変な鉢巻きに前世文字?と♡を書いたり変なものを作って手に持って応援している。


「父上なんですかそれ?」


「あ?これえ?団扇だよ!紙と竹に似た木を異国で手に入れて作った。素人でもすぐ作れるからな、さっき作ってきた」


「えっ!?はやっっ!!どんだけ器用なんですかっ」


「そこはお前、ディアへの愛だ!ちなみに前世語でLOVEディア♡と書いてる。訳すと愛してるディア♡だ!」

 と聞いてこのオヤジいくら前世語が他の人に判らないからって恥ずかし過ぎる!!と俺は思った。ああ、でもアスカ様とレーナおばさんには判ったのか母上を引っ張ってきてこそこそと喋っている。たぶん団扇に書かれた意味を教えてる。

 母上は父上を見て真っ赤になり顔を手で隠す。

 グハっ!可愛いな!!母上!!


「では審査員の先生方を紹介致します!!本当は国王陛下も審査員になるはずでしたが!王妃様が出場しているので身内贔屓で省きました。申し訳ありませーん!!」

 とアナウンスされ父上は


「まぁずっとディアに入れるしな」

 と言って諦めた。


 審査員はガロス先生にシュッツェ先生に学院長のブレヒャー先生に生徒指導フィンク先生の4人が勤めた。

 シュッツェ先生は観客のユストゥスに投げキッスをかましてユストゥスは赤くなり俯いた。


「勝負は全部で5回!!まず最初は美しき母達のバトルロワイヤル!勝ち残れ!母達!!ということで手首に巻いたそれぞれのリボンを奪い合い多く取った上位10名が勝ち抜きだあー!」

 と言い、スタートの笛が鳴った。


 母上はキッと戦闘モードに入った。こういう時の母上は強く美しくかつて赤髪の鮮血姫と言われただけあり髪の毛であっさりと母親達のリボンを奪っていく!


 アスカ様も攻撃魔法でチート級に母親を軽くのして奪い、レーナおばさんは笑いながら腹パンして奪い、ハクチャーン様は威圧して他の母親は怖気づいて自ら渡しに行く始末だった。ローゼおば様は流石に無理だろうと思ったが何故か綺麗なステップでスルスルとリボンを奪っている!!ええ?何あれ?元天使だから何かの力か?


 そしてロジーナ嬢の母親のヴェルナさんは重そうな剣を軽々扱い剣を持ちぶっ飛ばしていって意外と強かった!

 それに生徒会長の母親は手から毒が出る能力を使い奪っていくし、この国の母親怖え!


 それから深く帽子を被り、マスクとサングラスとコートを着た怪しい女がリボンを奪っていく。何だあの怪しい女は?警備員も何してるのか判らないがとにかく10名の中に残ってしまう!!


 ここからじゃ離れ過ぎてて後周りがうるさいから心の声が聞こえない。

 シーラは俺の隣りにいつの間にかいて母親を応援していた。


「さあ!第2回戦は歌だああ!!えー、ブッシュバウムの聖歌の一つ…祭典等にも使われる曲で誰もが一度は知っているあの【奇跡の歌】を歌っていただきましょう!!最初はヴェルナ・ディーバー侯爵夫人だ!!」

 と言い、歌い出した。良くも悪くもと言う点がつく。

 それから次はなんとザシャの母親のドーリス・フーデマン伯爵夫人が出た。


「あれ?お母様来ていたんだ。全く気付かなかったです…」

 と後ろにいたザシャは言った。

 ドーリス夫人も普通だった。


 次にあの帽子女・ローゼおば様・ハクチャーン様と続いたが三人とも嘘だろうと思うくらい上手かった!!


「やっぱりうちのハクが1番上手いね!」

 とローマンおじさんは誇らしげだ。フォルカーとライマーやシーラも


「「「うん!!歌は上手いもんね!!お母様!」」」

 と綺麗にハモった。しかしユリウス叔父上とヨーナスは


「いや、ローゼの方が上手い…絶対に!」


「そうだよお父様…お母様が1番だ!留守番してる弟が聞いたらいつもすやすや眠るしね」

 とヨーナスは応える。


「あの帽子女…どっかで…」

 と父上は首を傾げたが、俺もどっかで聞いたような…うーん、判らん。

 アスカ様とレーナおばさんはどっこいどっこいの下手さで、お母様の番になるととっても緊張しながら、噛みながら可愛く歌って時々歌詞も間違えたがそれが審査員を刺激したのか結構高得点だった。


「反則じゃね?」

 とレーナおばさんがキレそうだ。

 他の面々も普通ぽくて脱落していく。

 生徒会長の母親は歌はダメで早くも脱落していった。


「ではでは!第3回戦はお母様達の制服姿コンテストだーー!!!制服が破れた時点で失格でーす!!」

 なっ!!?

 という母親達は嫌そうな顔をしているが、ヴェルナ夫人は屁でもない顔で有利だった。

 しかし流石にこれには父上や俺にユリウス叔父上まで応援しまくった!!フェイトはガクリと


「うわ…これもう無理だわ…お母様敗退だなお父様…」

 と言うとテオドールおじさんは…


「うーん…そうだなレーナには悪いが無理だろうね」

 シーラやローマンおじさん達も


「うちも無理かもー…」


「ギリギリだよな…」

 とガッカリした。だって2家族の親は胸がデカ過ぎる!!明らかに不利だ!


 審査はスタートし、やはりヴェルナ夫人余裕の圧勝かと思われたが、アスカ様も意外と似合っている!というか普通に美少女顔で胸も無いからすんなり入って合格している!!


「アスカ…が制服着てる!!」

 カミル公爵は鼻血出した。ミリヤムが


「お父様だらしない」

 と言って慌てて拭いた。

 ザシャの母親のドーリス夫人はギリギリだった。

 そしてあの2人…レーナおばさんとハクチャーン様は反則かよ!!というかエロい!!

 胸元のボタンがはまらずほとんどはだけていて破廉恥だし太腿もすごいことになっていて男達は興奮全開でローマンおじさんとテオドール叔父さんは審査員に


「「さっさとアウトにしてくれええええ!!」」

 と怒鳴り込みに行った。


 ローゼおば様はやはり可愛らしくすんなり合格し、ユリウス叔父上とヨーナスは


「勝った!」


「流石ローゼ!でも大勢の目に触れさすのはしんどい…」

 と惚気ている。

 ついにお母様がやってきて雰囲気が変わった。流石国1番美しいと言われただけはあり、清楚可憐で目立たないように赤い髪を三つ編みで纏めてメガネをかけ顔を隠す為か本を持っている。だがそれが男達のピュアなハートを撃ち抜いてしまっていた。

 謎のエフェクトが背景に見えだす始末。


「も、もう恥ずかしくて嫌ですわ…こんな姿!最低な点数でいいですから早く終わらせて…」

 と涙目になられて俺と父上は


「「何あの可愛い生物」」

 と内心悶える。次の日からお母様の制服ヴァージョンのクラウディア人形の発注予約が殺到したとか。

 しかしそこで見覚えのある水色髪のメガネの制服の人が現れて七色のオーラ全開で現れた。


「あああ…あいつ何してんのぉ?バカじゃないの?」

 と父上は呆れて俺は


「ザスキア様…じゃあ帽子女の正体ってザスキア様かよ!!」

 と驚いた!


「えっ!?あれがザスキア様!?き、綺麗!!」

 とシーラ達も驚き歓声が上がる!ザスキア様を父上達の結婚式で見ていた国民達が


「うわあああ!女神ザスキア様が降臨なさったーーー!!!」


「美しいーーー!!」

 とパニックだ。母上もハクチャーン様もローゼおば様も膝を折って頭を下げている。

 レーナおばさんは


「ザスキア…反則負けよね?」


「いえ、女神ですからはい!合格なのです!はい!」

 とクール美人生徒に成りきっている。


「きったねー…」

 とレーナおばさんは自分の乳を見て


「乳では勝ってんのに」

 と言うとスパンとレーナおばさんはザスキア様に叩かれた。


 結局レーナおばさんとハクチャーン様はここで敗退した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る