第32話 ミセスコンテスト1

 ようやく元星読み部の断罪が終わり生徒達は外からの来訪者、家族や友達や恋人などを迎える準備や出店の用意や展示物の確認をしていく。


 今回はたまたま彼等のことが発覚したが、寮以外で隠れていやらしいことする奴は実はまだ沢山いる。俺やシーラにはバッチリ聞こえるし、だが、其れ等全てを会長に言うことはないと思っている。数も多いし、今日は大文化祭だし、俺が断罪したかったのは展示物を壊した元星読み部の奴等だ。もし彼等がこんな馬鹿げた復讐をしなければ俺は彼等を見逃しても良かったのに…シーラを泣かせたからな…。


 因みに大文化祭は今年から企画された第1回目の学院による催しなのである。それまでは無かった。

 大文化祭は3日間あり、1日目と2日目は外からの来訪者を受け入れている。

 もちろん警備は厳重だ。危険物の持ち込みなども入門前にチェックされ、怪しい奴は尋問される。


 流石に父上達王族はもはや顔パス程度だが。

 父上は元気に母上と手を繋いでやってきた。父上は溜まっていた仕事を徹夜で片付けたが、父上にも奇跡の力があるからそれで自分に疲れない力とか隈を消す力とかいろいろ使ってんだろうな。


 なので、浮かれてピンピンしている。元気なオヤジである。


(おい!俺をオヤジとか言うな!!まだ30代だぞ!?今年34なんだからな!!)


(ああ、はい、そうですかー。何でそんな浮かれてんですか?)


(はあ?お前っ!文化祭とか言う青春は前世で俺は味わったけどディアは初めてなんだぞ!?本当ならディアと俺制服着て歩きたいよ!!)


(げっ!やめてくれ父上!!俺恥ずかしくて学院を歩けなくなる!!)


(馬鹿野郎!お前はディアの制服姿を見たくないのか!?俺は見たい!物凄く!)


(そ、それは母上は確かに似合いそうで見たいですが!父上は別に見たくないですね)


(差!!この息子の温度差!!)

 と心の中で会話してると母上がキョトンとして可愛く首を傾げられ


「ジーク…ヴィル?どうかなさいましたの?」

 と聞かれて


「いっ、いや!何でもないよディア!!それより一緒に周ろうな!学生が作ったものとはいえ、きっと楽しいぞ?明日は初等部のステファニーの所にも行こうな!」

 と言う。


「そういえば来訪者参加オッケーのイベントがありますよ、ミセスコンとか。来訪者の方の母親達から美人を選出し優勝したら商品がもらえます」


「そこはミスコンじゃねぇのかよっ!母親同士ってなんなんだよ!!」

 と絶妙なツッコミをくだす父上。


「俺が生徒会に提案を出したんです!お腹を痛めて産んで育ててくれた偉大な母親を称えるコンテストとかいいんじゃないかと!!…後、生徒同士だと後々恨まれたりめんどくさいことにもなりそうなんで」

 と言うと父上が親指を立て


「よくやった!ヴィル!ディアが圧倒的勝利だな!!」


「ええ!母上は世界一美しいですから!!」

 と俺も親指を立てた。母上は恥ずかしくて真っ赤になり、


「い、いやですわ!ヴィルもジークも!!わ、私なんてそんな…」

 とそこで後ろから…


「クラウディアお義姉様!!お久しぶりですわ!!ふふふ、ミスコンもどきなんて開かれるなんてね!!優勝はこのレーナ・バルシュミーデがいただきましたわよ!!」

 とレーナおばさんがいつの間にかフェイトとテオドール叔父さんとやってきた。


「お姉様…流石にお姉様にはレーナは無理かもしれないがレーナ頑張れ…」

 とテオドール叔父さんは小さく応援した。

 フェイトは


「お母様恥ずかしいぜ…絶対負ける。勝ってるの乳だけだよ……」

 と言うとレーナおばさんはフェイトの頭を殴った。


「ふっ!お前たち!我を忘れておるな!?優勝は我だ!」

 とシーラの母親のハクチャーン様がローマンおじさんとフォルカーとライマーと一緒に来た。

 確かにハクチャーン様も物凄い綺麗な方だしな。シーラは


「お母様優勝してねー」

 と応援した。


 そこにアスカ様、カミル侯爵様にナタリーも到着する。


「優勝したら何か食べ物が?なら頑張るだけ」


「母様…ミリアムにも分けてください」

 とミリアムも応援した。


「やあ、ヴィル、兄上!お義姉様!」

 とユリウス叔父上とローゼおば様やヨーナスもきてユリウス叔父上は


「ふふ、ローゼ…君が一番可愛いことを証明しておいで?何せ天使だからね!」

 と惚気た。

 母親達のバトルが既に勃発を始めているとそこに聞き覚えのある甲高い声が聞こえた。


「国王陛下に王妃様ではありませんか!!それに王族の皆様ご機嫌様!!」

 父上達は何だこの少女は?と声の主を見てその後ろに立つその少女の父親を見て父上は


 げっ!!と言う顔をしてすぐ様母上の前に立った。


「お久しぶりです…陛下…王妃様…」

 と強そうなイケオジが現れる。


「ダニエル師匠…」

 と母上が呟いた。


「ダニ…の子かよ?この子は?」

 とその少女を見る父上。そうその少女は…


「私はロジーナ・ディーバー!ここにいるダニエル・ディーバー4大侯爵が娘!以後お見知り置きを!陛下!王妃様!未来のヴィルフリート様のお妃候補になるのですから!!」

 と踏ん反り帰るロジーナだ。

 全員ポカーンとして


(何言ってんだこいつ?もうヴィルにはシーラがいるだろうに…)

 と思っていた。


 そしてロジーナは言った。


「優勝するのは私のお母様ですわよ!!」

 と母親を紹介した。その母親は童顔で本当に子供を産んだのか?と言うか生徒なのか?というほど若く見えた!!しかし年は母上と同じという。顔はロジーナ嬢に似ていてロジーナ嬢とは姉妹に見られるくらいだった。


「ヴェルナ・ディーバーと申します」

 と頭を下げた。


「は?何あれ?私の方が圧勝だわ」

 とレーナおばさんが鼻で笑い、コンチャーン様も


「レーナ…お前も大したことはない」


「は?大したことあんでしょうが!!私超可愛いんだからね!元ヒロインなんだからね!!」

 と張り合う。


 い、一体この母親たちのミセスコンテストどうなるんだ!?まぁロジーナ嬢の母親は負けるな…と俺は思った。

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