第25話 女神界にいます

目を開くとそこは女神界だった。

ザスキア様が現れて


「ヴィル…すんませんでした!間違えました!」


「え?何ですか?」


「実はシーラがお前を嫌いになる薬と間違えました、はい!!」


「へええええ」


「おばちゃんのこと殴ってもいいよ?」


「いや、物理攻撃効かないでしょ?ここ………ていうか俺は美しいザスキア様にそんなことしませんよ!父上じゃないんだから…でも折角だししばらくここにいたいなぁ…あっちで1日寝てることにすりゃいいや」

どうせシーラに無理矢理キスしたりしたし、今のシーラは嫌悪感でいっぱいだろう。俺はあのまま倒れて捨て置かれてるかもしれないけど。


「ふむ…しかしそろそろ薬の効果は切れると思います、はい。シーラも心配しているでしょう」


「ザスキア様…シーラは…きっと思ってること不満なこと我慢してたこと俺に一気に言ったんだ。俺…いつも素直じゃないから…シーラの心の奥底があんな風になってるなんて…いつもあほみたいに笑ってるから…さ」


「ヴィル…それはお前もでしょう?言いたいことを隠しているのはお互い様ですよ?」


「おっしゃる通りです。俺はシーラを泣かせてばかりで…恥ずかしくて…大人ぶって…。シーラの言う通り…奇跡の王子だから、赤髪の一族だから、ちょっと天才過ぎるからって調子に乗ってました」


「そこはまぁ、お前いろいろハイスペックなんだから自信持ちなさい、はい」

とザスキア様がお優しく心配してくれた。


「漫画読みます…」

と俺はしばらく女神界で漫画を読んだ。



「ヴィル!?ねぇ!?ヴィル!?何で?起きないの?」

いきなり倒れたヴィルを私は心配した。私がヴィルをビリビリさせて…こんな風に…なんで?どうして?私どうしちゃったの?ここ数日ヴィルへの想いが何故か嫌悪感でいっぱいで…。

でもヴィルにキスされて好きだって言われて…胸がドキドキして…そしたらヴィルは倒れて…。


「とにかくここにいちゃダメ!」

私は茂みにヴィルを引っ張り服を脱ぎドラグー化して何とかヴィルを噛まないように咥えて飛んだ!!


リーンハルト公爵邸に戻り庭に降り立つとアスカ様達がやってきた。


「し、シーラちゃん?」

サブリナちゃん達が驚いている。ドラグー化見られちゃった。


私はヴィルをそっと下ろして


「サブリナちゃん、ごめん、私の服持ってきて?」

と頼み、サブリナちゃんはすぐに服を持ってきてくれて皆のいない所で着替えてすぐにヴィルの部屋に行った。


「どうする?医者呼ぼうか!?」

カミル公爵様が言うが、アスカ様は


「いえ、私がジークヴァルトを連れてきた方が早いので行ってきます」

とすぐに転移魔法でアスカ様が行く。


「ヴィル!ヴィル!しっかり!!」

皆おろおろしている。


しばらくしてアスカ様と陛下がやってきた。


「ヴィル!どうしたこれは?シーラちゃん?」


「へ、陛下あの…私が私が…」

とボロボロ泣くと


「とにかく治療しとこう」

と陛下がヴィルに手を当てて傷は見る見る白い光に包まれて完治していくがヴィルは目覚めないままだ。


「んあーっ、これザスキアんとこ行ってんな…。ちょっと呼んでくるからフェイト俺を殴って気絶させろ」

と陛下に言われてフェイトはビックリする。


「ええ!?国王陛下を殴るなんて!嫌だよ俺!牢屋に入りたくないよ!国王陛下殺人未遂とか!!」


「バカっ!そのレーナ譲りの力じゃ無くて手加減して髪の毛のハンマーで頼むぞ!」


「わ…解りました…陛下…ごめんなさい!!」


ゴイン!


と音がして陛下は気絶した。


女神界で漫画を読んでると


「ザスキアー!ヴィルー!」

となんと父上が来た!


「えっ!?何で父上が?」


「お前を起こしにきたんですね、はい」

父上は


「おい何してんのお前?死にかけてたから身体治しといたぞ?さっさと戻れよ。シーラちゃん自分のせいだってボロボロ泣いてんぞ?男なら女の子泣かすな!」

と父上が父上らしいこと言った。


「お前の父上だろうが紛れもなく!!」

と俺の心の声にも反応する。


「でも…シーラに俺は嫌われたし顔合わせづらい…」


「だから心配して泣いてるって言ってんだろ?つか何でこんなことになった?んん?………………ザスキア…お前が原因か?」


「ナンノコトデショウカ?」


「何ヴィルに変なもん渡してんだこら!!ヴィル!今後この女神から変なもん貰うなよ!?ヤバイから!!」


「うるさいですよ!はい!もう薬の効果は切れたんやし結果オーライ!」


「この駄女神いいい!!とにかくヴィル!戻らんかいっ!ここにずっといる気か?」


「…………父上は母上に嫌いと言われたことはあるのか?」


「は?あるに決まってんだろ?俺は会った時から嫌われてたわ!物凄い嫌われて傷ついたよ!だけどやっぱりクラウディアが好きだったんだよ!!」


「うわっ…息子の前で何恥ずかしいこと言ってんの?父上」


「お前が聞いたんだろうが!!!」

と思い切り突っ込む。凄い。突っ込むタイミングが完璧。流石父上…。


「うるせえええ!俺に突っ込ますんじゃねぇ!んなことで褒められても実に微妙だわ!!俺漫才師じゃねぇから!!つか、さっさと戻れって!ここに長居はダメだ!」


「そうですよ、はい。もう向こうは夕方ですかね?ヴィル…君は確かに精神的には大人で天才だと驕っていますが身体はまだ子供と悩んでいるのでしょう。しかし2年はあっという間です。時は大切になさい。シーラと過ごす時間、青春ですよ?」


「はい…ザスキア様…」


「そうだよヴィル?まぁ俺からしたら12歳も15歳も日本じゃまだ全然クソガキだけどな。この世界は成人が18だし、精神的に大人になる傾向のが多いからな。15でイチャイチャするやつがいても問題ないって言うメチャクチャな世界だからもう勢いしかないな。後、神獣相手なんだからもう覚悟するしかねぇし?」


「うるさい、父上黙れ」


「ザスキアとの差が酷くね!?」


「ふっ…勝ちましたね。ジーク」


「うるせえ!反抗期なんだよ!ヴィルは!!」

別に反抗期なんか終わったけど。父上はザスキア様に対して態度悪いし。


「そうですね、はい!ヴィル!なんと可愛い私の子供!」


「お前の子供じゃねぇっつの!俺とクラウディアの子だ!」


「あの世界の子は皆私の子供と同じと言う意味です!はい!だからヴィル…自分の気持ちも大切になさい。言いたい時に言い、言いたく無ければそれでいいのです。時はまだあります。無理をしなくともいいですよ」


「はい!ザスキア様ありがとうございます!!………帰るぞ父上」


「迎えに来たの俺なんだけど!?」

と父上は突っ込み視界は白くなっていく。

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