第13話 シーラのベタベタがないと寂しい?
別に寂しいとかじゃない、今までベタベタしてたのが止まっただけだ。
シーラももうすぐ15だし俺も13が近い。大人に近付こうとしてるシーラを妨げちゃいけないからな!
それにやっと普通になってきたし。
入学してから俺はシーラにどこの部活に入るのか聞かれた。俺はもう決めていた。星読み部だと言った。シーラは青ざめた!
「えっ!ヴィル!シーラと同じとこじゃないの?何故!?」
シーラは今まで幽霊部員だけど工作部にいたようだ。俺が物作るのが好きだからここに入るだろうと思って予めそこに入っていたようだ。俺が入学するまでは顔なんかあまり出してないサボり魔だが。何故なら放課後俺のところに来たりしていたからだ。
「何だよ?悪いか?俺はそこに入って星を研究して天体望遠鏡を作る」
「な、何それ?テンタイボウエン??よく解んないけどシーラ工作部辞めてくるね!待ってて!」
とシーラは部活変更届けを出しに行った。工作部の人ご迷惑をお掛けします。シーラは止めても聞かないし俺と星読み部に入ることになった。
星読み部とは、星を観察する部である。部活内容はたまの休日の夜とかに集まって星を見上げて観察記録を残すくらいでなんとも味気ない内容だ。まぁこの世界の人間だからな。
だがザスキア様の予言で隕石が落ちることを避ける為に俺は星を研究しなくてはならないし、惑星とかの存在も知った。夜空に浮かぶ月…あれも惑星で天体だと父上からも学んでいる。父上は前世からの地球という惑星に住んでいて地球の周りには太陽系という太陽を巡る惑星がいくつかあったらしい。
ならこの世界はどうなんだ??
「元は乙女小説世界だから知らんし、今まで気にしたことなかったわ、惑星とか。そんな設定なかったんじゃねぇの?」
と言っていたが…。
隕石が落ちてくるなら宇宙はある。星空だってある。空もだ。だからこの世界が乙女小説世界だとしても惑星であることは確かなのだ。例えこの世界の人に惑星という概念がなくとも今立っている地上には重力が存在しているのだから惑星だ。
俺は父上とザスキア様以外には今までそう言ったことを周りに話さなかった。認識が違い過ぎるし、ちゃんと理解できるのは前世の父上やミリヤムの母のアスカ様を除き俺だけだろう。神獣のハクチャーン様やコンチャーン様でさえよく解らず自分達は女神様に造られた聖なる生き物としか認識していない。
「ヴィルーー!工作部辞めて変更届け出してきた!それから新しい入部届けももらって来たよ!」
とシーラが俺の分の入部届けも持ってきた。
「おう、気が利くな!じゃあとっとと星読み部に行こう」
と俺とシーラは星読み部に行く。
カラリと静かに開けると部屋は暗くて奥の方からボソボソ声がして黒いカーテンを開けると信じられないことに俺は目を見張る。
なんかイチャイチャしてる先輩達がいた!!
「きゃっ!」
「わぁっ!!」
と男女の先輩は急いで服を着た。
入るの辞めようかとか思った。
「な、なんだね!君達!し、失礼だな!いきなり!」
と男の先輩がもはや何言い訳してんのか知らないが怒った。そっちが悪いだろ。
「はあ、仲良くしてるとこ邪魔してすみませんでした。ここ星読み部ですよね?」
「そうだ!星読み部さっ!」
「星読み部はイチャイチャするところじゃないですよね?」
と俺が冷静に言うと女の先輩が服を着て俺とシーラを見て
「ひっ!!ベルノルト先輩!この方!ヴィルフリート王子と神獣シーラ様ですわ!」
「えええっ!?なっ!何でそんな人達がこんなとこに!…あっそうか、お二人とも仲良くする為に来たのですね?ここはあまり人来ませんしね!もう!殿下もよくやりますな!日替わりで部員同士隠れて仲良くしてカモフラージュしてるんです!」
と聞き、俺は星読み部に入るのを完全に辞めた。
なんて気持ち悪い奴らだ!この部は廃部決定だな。生徒会長にちくっとこう。
「邪魔したな!」
とシーラの腕を掴み出て行く。シーラは
「星読み部に入らなくていいの?イチャイチャしたくて入るのかと思った…」
とシーラがキョトンとしたが
「んなわけねぇし!!あんなことしてる部とは思わなかったよ!風紀どうなってんだ!!この学院はっ!!」
するとシーラは
「あのね?男子寮と女子寮では罰則があるからこういう部活を利用して隠れ蓑にしてイチャイチャする恋人同士や婚約者が多いらしいよ?」
「なっ…なんだとおおお!?あほの学院かここは!」
「どうする?工作部に行く?」
「いや、俺は新しい部を申請するぞ!もちろんイチャイチャ禁止だ!そんなことしたやつは退部だ!」
(ガーン!!)
とシーラからショックの音が聞こえたが
「そ、それで何を作るの?新しい部って…」
「天文部だ!惑星や星を真面目に研究して天体望遠鏡を作る!!」
「ワクセイ?テンタイ?ボウエン…解らないけどヴィルがやるならシーラも入るよ?でも2人では部は成り立たないからまずは部員集めと、同好会の申請しないと部活として認められないよ」
「そうなのか…何人いる?」
「6人くらいかな?」
「そうか…なら解決だ!」
「えっ!?」
シーラは驚く。
「俺とシーラとシーラのルームメイトのサブリナにザシャにザシャのルームメイトのユストゥスにミリヤムだ!6人丁度!」
シーラは指で数えて
「本当だー!凄ーい!!サブリナちゃんは刺繍部に入ってるけど…聞いてくるね?」
「俺もザシャたちに声をかけてくる!」
とシーラの手をまだ繋いでたことに気付いた俺は慌てて離した!!あれっ!?いつから繋いでた!?
シーラは赤くなりながらもでも抱きついたりはせず嬉しそうに掛けて行った。
俺はしばらく自分の手を見つめた。えっ!?
シーラの手が離れてちょっと寂しいと感じた!?えっ!?ええええ?
さ、最近はベタベタしなくなったしあいつ。
……。違う。別に寂しくなんかない!!
と言い聞かせて俺はザシャ達のとこに行き、ズルズル引き連れた。ミリヤムは
「料理部に入りたかった…ヴィルのバカー横暴だ!」
「ミリヤム!特別にお前には父上から教わった料理を食わせてやろうな!」
と言うとミリヤムは了承した!
ミリヤムの母のチート魔女が実は父上と同じ地球から来た転移者であることは知っていて、ミリヤムは母の作る不思議な料理を眺めていたが、母のアスカ様は料理がド下手くそで食べれたものでなく、父上がたまにいわゆる前世料理を作り、ミリヤムがそれを食べると物凄く元気になるのだ!俺の父上は男のくせに家事が上手いのだ。
「ほっ!本当!!?本当なら入るっ!!」
ふっ!ちょろい奴め!ザシャとユストゥスは普通に卓球部に入ろうとしていたが俺が説得して連れてきた。ユストゥスはヘコヘコしていてザシャは
「まぁ仕方ないですね。王子の頼みなら。天文部という新しいものにも興味はありますけど星読み部とどう違うのでしょう?」
俺はザシャの肩を掴み
「あの部はまともじゃなかった。近寄らない方がいい…レオン向けだな」
と言うとザシャは察した。
「なるほどーっ、そういうことですか…。判りました王子。私たちはまともな部にしましょうね!」
流石ザシャ!判ってる!!
シーラはサブリナを連れて来た。
ぺこりと頭を下げるガリガリの彼女に少し驚く。ミリヤムは驚いてサブリナを捕まえて
「ちゃんと食べてるの!?シーラにおやつ食べられたの?」
と心配するくらいだ!
「シーラそんなことしないよ!サブリナちゃんは食が細いというか胃が小さいし小さい頃から身体弱くてちょっとしか食べれないしすぐ熱だすの…」
と言い、俺はサブリナの身体を診た。なるほどな。身体の細胞が普通の奴より弱ってる。これじゃ病気になりやすい。
「サブリナ!ちょっと俺と手を繋げ!」
「「えっっ!?」」
シーラとサブリナが驚く。シーラはちょっと怒った。
(酷い!ヴィル!他の子と手を繋ぐなんて!!シーラ我慢してるのに!)
「勘違いするな!サブリナの細胞が弱いからそんなガリガリだし、すぐに倒れやすいんだ!俺の力で細胞を活性化させて元気にしてやる!そしたらサブリナは飯も今までよりはたくさん食えるようになるし、すぐ倒れなくなるだろう」
そう言うとシーラは
「そ、そうだったんだ!ヴィル!ありがとう!サブリナちゃん!良かったね!シーラも心配してたんだ!」
「殿下!!私みたいな庶民に奇跡の力をお使いに!わ、私お金あまりなくてその…」
「金はいい、善意だ。シーラの友達だろ?」
「ありがとうございます!!」
サブリナは礼を言うと手を繋ぎ俺は力を発動させてサブリナの細胞を活性化させた。
サブリナは一瞬白い光に包まれた。
手を離すと
「な、なんだかいつもより身体も軽いし…ちょっと元気になったような…食欲もあまりない方でしたが普通に食べられる気がします!!」
「良かったね!サブリナちゃん!」
と皆喜んだ。サブリナに抱きつくシーラを見て一瞬いいなと思ってしまった俺、どうかしている。
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