第12話 色仕掛けの女教師
入学式で新入生代表の挨拶をした俺はそれから何かと注目されているようだ。
それでなくとも奇跡の王子とか赤髪の一族とかで注目されるし、一応美少年だし。婚約者とはベタベタだし。
「はあっ…」
といつものようにため息ついただけで
(ヴィル王子がため息をっ!!)
(やだー!素敵!!)
(お近付きになりたいわ!)
とクラスの女子は熱視線だ。
おちおちため息もつけねぇ。
すると授業のベルと共に女教師が入ってくる。その姿は…纏めてポニーテールにした紫色の髪の毛に瞳はグレーで真っ赤な口紅で口元の横にホクロがある妖艶な先生だった。大胆にワンピースの胸をはだけさせ下着のブラが少し見え、見てくれと言わんばかりで、男子生徒全員の息を飲む音と
(うわっ!な、なんだあの先生!すげえ!!)
(い、色っぽい!お、落ち着け俺の息子よ!)
(やべぇ…いい匂いするかも…)
匂い!?
俺は気付いて奇跡の力で俺自身に防御の力を展開した。これは明らかに男性に効く魅了の香水をつけてある!
「皆さん、私はゾフィーア・ガロスよ。薬学教師です!22歳独身よ?よろしくね?判らない事があったら何でも聞いてね?」
とペロリと舌を出して男子生徒を虜にしている。
すると横に座るレオンはまさに引っかかりよだれ出しながらヘッヘッと犬みたいに発情していた。うへえっ。
女子生徒たちは当然面白くなく
(なんなのあの先生!あんな格好で恥ずかしくないのかしら!?)
(男子達の目が完全に先生に向いてるわ!いやらしい!)
(でもヴィルフリート王子様は流石だわ!無視してる!)
(くっ!大人の女だからって色香で惑わすなんて!!…今度私も婚約者にやってみようかしら?)
と様々。
ガロス先生は興味のない俺を発見して
(いたわ!赤髪の王子様!うふふっ!可愛いわ!神獣様が婚約者だけど、私のこの魅了の香水でメロメロにさせてあげるわ!ふふ、未来の王妃か側妃は私のものよ!小娘達には渡さないわ!今から調教して王子を躾けないと!)
と、俺狙いで色仕掛け作戦を考えていた。
あーあ、王子って立場じゃなかったらここまで狙われんかったろうな。
早速先生が俺の席に近付いて前屈みになり胸元を堂々とアピールし始めた。
「新入生代表だったヴィルフリート王子様ですね?成績も大変優秀だと聞いてますわ!私の助手にしたいくらいです」
と言う。
(うふふっ、どうかしら?この胸は?流石に見えているでしょう?)
俺は半目で
「先生…その魅了の香水は俺には効きませんよ?学院長に報告されたくなかったらきちんとした格好で授業してくださいね?」
とにこりと微笑むと先生は青ざめ
(ゲッ!私の香水に気付いているとは!流石だわ!王子!きっと過去にも女に盛られて慣れているのね!?もっとキツイやつ作らないとね!)
いやめげねぇな!!
「先生どういうことですかっ!魅了の香水って!?」
1人の女生徒が声を上げたのを始め、女生徒の抗議が始まった!
「おかしいと思ったのよ男子達の様子!ヴィルフリート王子以外変だもの!」
「や、やめろよ!先生はきっと香水を間違えただけだ!」
「黙ってなさいよ男子!」
「せ、先生俺、解んない所があってこの後放課後教えてもらいたいですえへへ」
こうなると授業どころではないが横のレオンが立ち上がりいきなり先生の元に行き、
「ゾフィーア先生っ!魅了の香水だと?そんなものをつけずとも俺はいつでもウェルカムですよっ!さあ、ちょっと一緒に来てもらいましょうか!」
と先生の腕を掴むのを男子生徒が止めて
「レオン皇子!ずるいぞ!あんたは誰でも発情してんだろ!」
「うるさい!皇子に無礼な!下がれ!」
「この学院じゃ身分関係ねーよ!エロ皇子がっ!」
俺は手元で薬を完成させ先生の所に行きブシュッとかけた!
匂いが散り、男子達は正気に戻った。
「魅了の香水の効果はこれで切れました。いい加減真面目に授業をしないと今回の件を学院長に報告いたしますよ」
と言うと先生は大人しくなった。
男子生徒達も席に戻って行く。しかしレオンは
「先生…放課後個人レッスンを申し込みたい!」
と言っていた。放っておこうこいつは。
先生は
(ヴィルフリート王子…どうやら爪が甘かったわ!香水の効果をあんな短時間で打ち消す薬を作るなんて!なんて頭がいいの!ますます私のものにしたい!!…レオン皇子は後で摘んでおいてもいいけど…やっぱりヴィルフリート王子を落とさないとね!)
ぎえっ!これもう学院長に報告しとこ。やべぇこの教師。俺は後でほんとに報告しに行き、先生はクビになり新しい薬学の先生が来るのだった。
レオンは…
「先生が思い出にと俺と個人的レッスンしてくれたんだ…俺の方が教えるの上手かったけどな!」
とドヤ顔していた。
「いや、聞きたくねえ…」
お昼になり食堂でシーラが噂を聞いたのか俺を食堂から引っ張り出して非常階段に誘いお弁当を出した。寮のキッチンで作ったと言った。
「ヴィル!!あのゾフィーア先生に気に入られたの?噂で胸見てたって!!」
「ああ、見てねえけど、見せてくるんだよ…でも先生もクビになったしいいだろ…」
するとシーラはボタンを外しガバっと自分のを見せた!
「グハっ!ゲホッ!」
俺は弁当が喉に詰まりかけた!
「シーラの胸見ながら食べて!」
と妙なこと言い出した!
「アホめっ!しまえ!」
俺は顔を背けた。
「先生のよりは負けるかもしれない!悔しいっ!先生め!」
「だから先生はもういないだろ!!大体俺は興味ない!!」
「そんな!興味ないだなんて!ヴィルは男なの?それでもっ!?まさか男の子が好き?はっ!ザシャくんが!?それともレオン皇子がっ!?」
「ないわっ!!普通だ俺は!!そういうはしたないことする女が嫌だ!!だからしまえあほ!」
と言われてシーラは胸をしまい、
「ご、ごめんなさい…そうだよね…ヴィルごめんなさい…シーラ…マナーの先生にも散々怒られてるのに…もうちょっとヴィルが大きくなってからって…」
おい!大きくなってからも自重しろ!
「シーラお淑やかになるね?ヴィルの好みの女の子になるから!」
ともじもじ赤くなり言う。
くっ!俺の好みは正直母上みたいにいじらしいタイプだ。けしてマザコンってやつじゃないけど…。
「まぁ、お前にはまだまだ修行が足りないからな!いつも俺にベタベタくっ付いてるし!すぐキスしようとするし!いや…実際してるな…」
「わ、判った…シーラこれからはしない!ヴィルにベタベタしないしキスもヴィルのしたい時にしか…しない!これでいい?」
とシーラが決意した!おおっ!シーラ!ようやく普通の女子としての自覚が!長かった!!
「うん、まぁそれでいい…」
と弁当を頬張った。シーラも自分の分を食べた。たまに作ってくれると言う。シーラの弁当は…なんて言うか見た目だけは普通なのに味付けが薄かった。
「ヴィルの健康を考えて薄味にしてるの。嫌?」
「えっ…いや、そ、そうなのか、それは立派だな!お前にしては珍しく気が効くじゃないか!珍しくなっ!」
俺の健康を考えるとは!!
しかし味気ねーな。俺はまだジジイじゃねえ育ち盛りなのに…。
シーラは俺の顔色を見て
(最初だから薄味で様子見てたけど、もう少し濃い方がいいみたい…次はもう少しだけ味付けしよう…)
と脳内メモを取っていた!驚いた!こいつっ、俺の好みの味を知るため、最初は薄くしていたのだ!そう言えば弁当作るのも初めてだもんな…。もっと褒めるべきだったのか?お、俺いつも素直になれないな。
それからシーラは無理にベタベタしなくなった。
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