第2話:少し大人になりました。
ルザハーツ城。
ここに異世界から召喚された少女、里上(さとうえ)愛那(まな)が滞在している。
朝食前に城の最上階にある神の間へと足を運んだ愛那は、ニコニコとした笑顔で神へと語りかけた。
「おはようございます神様。とても良いお天気ですね。魔物を討伐するならこんな日が最適だとライツ様に聞きました。私も一刻も早く魔物討伐に参加するため、魔法を使いこなせるよう頑張りますね。・・・・・・・・・・・・神様! 私は救世主として神様の期待に絶対に応えて見せます! どうか! どうか安心して見守っていて下さいね!」
後半はどこか必死さを感じる語りかけではあったが、後ろに控えている愛那の護衛であるナチェルの表情は崩れなかった。
愛那がこの神の間で土下座をしたのが二日前。
昨日はルザハーツ家当主リオルートから、いつでもここに来ていいという許可をもらい、愛那は扉の契約者の一人となった。
勘違いで神様へ暴言を吐いてしまった愛那。
反省し神様に許しを請う愛那に、事情を知る皆は優しく協力してくれている。
(おじいちゃん、おばあちゃん。元気にしていますか? 愛那は異世界に来て、少し大人になりました。理不尽な思いをしたからと、すぐに感情を爆発させるのは利口じゃないと知りました。もし真実が違っていた場合、とんでもなく後悔することになるから・・・・・・!」
神の間を出て階段を下る中、愛那がナチェルへと訊ねる。
「ナチェルさん。私がライツ様と一緒に魔物の討伐に参加出来るのって、どの位先になりますか?」
「マナ様の魔力と攻撃魔法は即戦力になりますので「すぐにでも」と言いたいところですが、魔物についてもう少し勉強していただく必要があります。それでもいきなり騎士団の討伐に参加というのは考えられませんが」
「え?」
愛那が足を止めてナチェルを見る。
ナチェルは真面目な顔で答えた。
「危険ですので」
「でも・・・・・・」
「ライツ様が決めることではありますが、まずは危険の少ない弱い魔物を討伐することから始める必要があると思います」
「なるほど。そうやって徐々に強い魔物も倒せるようになるということですね!」
(そうよね。勇者のいるゲームの世界だっていきなり魔王に挑んだらすぐに死んじゃうわ! 初めは弱いモンスターから! レベルはないけどレベル上げしなきゃ! これぞ王道!)
「・・・・・・それで、その弱い魔物ってどんな魔物なんですか?」
「そうですね。まずはスライムでしょうか」
それを聞いた愛那の目が大きく見開き、好奇心にあふれた笑顔を見せた。
「スライム!」
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