ゲーム&エクストラスキル
リスポーン地点で復活した僕は座り込みながらいじけていた。
「最後くらい気持ちよく勝たせてもよくね?」
リスポーン地点に戻った際にクエスト達成のウィンドウが開かれたため、一応ダンジョンは攻略したことになっているらしい。
それはそれとしてあんな
149回も死んでしまったことより結構クるものがある。
「はー、とりあえずクエスト達成達成。
チャットでお礼を言わないとな」
そう思って立ち上がると別のウィンドウが出現した。
表示されたのはチャットやクエストとは別のものだったので首を傾げながらそれを開く。
「なになに……エクストラスキル?」
そこに書かれていたのは二つのスキルだった。
<不死者>
3時間以内に150回死亡することで取得可能。
あらかじめMPを最大消費することにより残機をストックすることができる。
最大ストック数5。
蘇生された際のHPはストックした際に消費したMP分。
ストックを消費し、再ストックする場合は24時間のクールタイムが必要になる。
<復讐者>
自分を100回以上倒した相手を倒すことで取得可能。
自分を倒した相手に与えるダメージが上昇する。
この効果は相手を倒すまで発動し続け、倒される度に効果は重複する。
スキルの説明文と共に『エクストラスキルはゲーム内で一人のみ取得可能です。取得しますか? Y/N』という文字が出てきた。
どうやらエクストラスキルとやらは任意で取得できるようだ。
少し考えたが、このような特別感があるのに弱い僕は『Y』を選び、このスキルを取得した。
体が一瞬だけ発光し、それが消えると『取得完了』の文字が映し出される。
ステータス画面のスキル欄を確認すると先ほどの二つが追加されていた。
同時に<食いしばり>スキルの文字が黒くなっていた。
なんでだろうと文字を押してみると『不死者をスキルから外しますか?』と表示された。
どうやらこの二つのスキルは一緒には使えないらしい。
なら不死者を優先しておこう。
「さて」
僕はそのままチャットを開いた。
■
【GO】
『無事にクリアできました!』
【HERO】
『それはよかった!』
【鎌】
『おめでとう』
【GO】
『ありがとうございます!』
【HERO】
『チュートリアルが終われば後は自由!
楽しいゲームライフを送れることを祈っているぞ!』
【鎌】
『SPはレベルアップ以外にも特定のイベントやクエストで獲得できる。
どのように成長させるかは自分次第だ』
【GO】
『そうなんですね。
じゃあ自分なりに頑張ってみたいと思います。
相談に乗ってくれてありがとうございました!』
■
「よし」
このチャット部屋は制作してから24時間で消えてしまうのでこの二人とはもうこれっきりになってしまうだろう。
少々寂しさを感じるが仕方ない。
ここからではフレンド申請を送ることはできないし、勝手に送るにしても迷惑かもしれないからな。
「じゃあ一通り探索しますぁ。
新しいスキルを試したいけど……これ死ななきゃいけないんだよな」
とりあえずスキルのストックをアイテムを使いながら5つ貯めるが、すぐに試すにも使いにくい。
仕方がない。使った時のお楽しみということにしておこう。
「長いこと遊んだし、今日はここまでにしておくか」
立ち上がって身体を伸ばす。
バーチャルの身体だからこの行為には必要は無いのだが、生身の習慣はどうしてもでてしまう。
「街に戻らないと直ぐにログアウトはできないんだよな」
このゲームではセーフポイント以外でログアウトすると数分の間、アバターがそのまま残されてしまう。
そうなるとモンスターにそのまま襲われたり、
そうなったら持ち物やらなんやら失うわけで。
安全にログアウトするならば街などのセーフポイントが推奨されていた。
ここからトータスに戻るにはさほど時間はかからない。
僕はのんびり歩いて向かうことにした。
道がある森の中をステータス画面を眺めながら歩く。
ドラゴンガーディアンを倒したことと、チュートリアルミッションを達成したことによりレベルが上がってSPを獲得していた。
そのSPをどう振り分ける、または魔法やスキルの習得するか。
「死ぬことを前提とした組み合わせでもいい気がするけれども」
魔法やスキルはレベルが上がれば上がるほどに習得できる種類も増えるらしい。
故にここでSPを振り分けずにこのまま取っておくのもいいかもしれない。
「んっ?」
ガサガサと音が聞こえる。
僕はすぐに画面を閉じてそちらを見て、絶句した。
それはかなりデカい鹿だった。
鹿の角には荊が絡まっており、黒い毛に赤い瞳。
道中見かけたエネミーなんて比べ物にならない程の威圧感を放っている。
僕と鹿の目と目が合うと視界に長いHPと名前が表示された。
名前はビックソーンディアー。
名前を確認すると同時にビックソーンディアーは僕に突進してきた。
咄嗟の事で避けることが出来ずに派手に撥ねられる。
攻撃力が高いのと、防具が貧弱なのもありHPはすぐに0になって地面に落ちた。
視界が薄くなり、見慣れたDEADの文字と去ろうとするビックソーンディアー。
だが体は消えることは無く、新しいウィンドウが表示された。
<不死者>を使用しますか? Y/N
Y。つまりYESだ。
だがすぐには発動しない。
理由とすればアレとはまだ勝てないと思ったからだ。
多分ステータスやスキル込みでもアレに勝つには足りないだろう。
完全に去り切ったのを確認して僕はスキルを使用した。
HPがストックした分だけ回復して身体が動くようになる。
僕は座り込んで首を擦った。
「いや、またすぐ死んだんですけど」
きっとアレは
今日はいっぱいやられるなぁ。
とはいえ、目標はできた。
アイツは僕が倒したい。
「とはいえ、レベルはゆっくり上げる感じだな
テストもあるし、ログインはほどほどにしておかないと」
その間にあの鹿が倒されなければいいけれど……まぁ、倒されたらその時はその時だ。
アタック&コンテニュー projectPOTETO @zygaimo
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