ゲーム&ダンジョン
「ふぃー、ようやく終わった」
あれから少しして残りのモンスターを倒し、クエストを達成した。
モンスターを倒した経験値とクエスト報酬で今はレベル5になっている。
「次は……っと」
<ショートソード>をしまってメニューから最後のチュートリアルクエストを確認する。
『チュートリアルクエスト3/3<ダンジョンを攻略しよう!>
ダンジョンをクリアする 0/1』
ダンジョン……ダンジョンか……。
この近くにあるのかな。
マップを開いて周辺を指でなぞりダンジョンを捜索すると近場に三つのダンジョンを見つけた。
『ゴブリンの住処』
『狼の巣窟』
『ドラゴンの宝物庫』
名前を見た感じは『ゴブリンの住処』と『狼の巣窟』は初心者向けっぽいな。
『ドラゴンの宝物庫』は明らかにもっとレベル上げないとダメそうだと思うけど……でもゲーム開始地点の近くにあるってことはそうでもないのだろうか?
出来れば情報を集めてから向かいたいな。
一旦
そう考えながらメニューを操作しているとある欄があることに気が付く。
「チャット?」
パソコンゲームのMMOでは大体下あたりにあるアレだ。
試しにそこを押していじりまわしているとフレンドに送る以外にもネット掲示板のようなオープンチャットや個別でするルームチャットが存在していた。
ルームチャットでは『レベ上げ効率教えて』『このスキルどお?』といった部屋名が開かれていて、そこに入れる人数も設定できるようだ。
丁度いいし、少し試してみようかな……。
チャットを使う際はアバターの名前ではなく好きな名前を別に入力できるらしい。
早速部屋を作って適当な名前を入れる。
入る人数は……僕を入れて三人ぐらいでいいか。
■
<初心者、情報求ム>
―【GO】さんが部屋を作成しました。
-【鎌】さんが入室しました。
-【HERO】さんが入室しました。
【鎌】
『初心者?
レベルはどんくらい?』
【GO】
『チュートリアルクエスト二つ目終えて、いまレベル5です』
【HERO】
『うむ、だいぶ初心者だな!
とりあえずこのゲームにようこそ!と言っておこう!』
【鎌】
『てことは次はダンジョン攻略か。
近場だと三つあるが……』
【GO】
『あ、それは調べてあります。
ただどれに行けばいいのかわからなくて』
【鎌】
『個人的なお勧めとしてはドラゴンの宝物庫だな』
【HERO】
『レベル5だときつくないか?
無難にゴブリンの住処でいいと思うが』
【鎌】
『あそこは序盤の内なら死んだとしてもメリットの方が大きい。
出てくる個体は基本的に強いから一体倒すだけでもレベルが上がるんだ。
数回くらいはやられるかもしれないが入り口にリスポーンポイントがあるからすぐ再度挑戦できるし、プレイヤースキルも鍛えられるから悪い場所じゃない。
それに他の初心者プレイヤーとかと混み合わなくてすむ』
【GO】
『なるほど』
【HERO】
『一理ある』
【鎌】
『まぁ無難にクエストをクリアしたいなら無理強いはしないけれど』
【GO】
『いえ、とりあえず向かってみます!
ありがとうございました。
一応部屋はこのままにしておくんで、また聞くかもしれないです!』
【鎌】
『答えられることがあったら聞いてくれ』
【HERO】
『応援しているぞ!』
■
ということで『ドラゴンの宝物庫』の前に着いた。
入り口の近くに大きな菱形の水晶が浮いている。これがリスポーンポイントかな?
水晶に触れてみると『リスポーンポイントに登録しますか?』と表示されたので登録をしておく。
これでHPが無くなってもここに戻るはず。
早速ダンジョンに突入してみよう。
「案外明るいな……」
ダンジョンは洞窟のような作りになっていて、周りには淡く光る鉱石がちらほらと埋まっている。
念のために街で買っておいた松明は要らないようだ。
「QURRR……」
進んで行くとトカゲに似たモンスターが出てきた。
僕はすぐに駆け出し<ショートソード>を抜いて叩きつけるように振り下ろす。
トカゲは苦しそうな声をするが硬く、ダメージが思っていた以上に通らない。
それに驚いているとトカゲは口から何かを吐き出した。
それは腕に当たるとジュワリという音と共に腕に熱を感じ、同時にHPが減る。
これは早く倒したほうがいいな……。
それから何度も互いに攻撃を当てたり当てられたりをしていき、僕のHPが1/3まで減らされたところで戦闘は終わった。
「思ってたより強かったな」
まぁ、それは聞いていた話だ。
アイテムポーチからポーションを取り出して使うことにする。
……これどうするんだ?
割るのか?飲むのか?
見た目的には薬品のアンプルっぽいが……。
少し考えて先端を割ってみることにする。するとHPが回復する。使い方は合っていたらしい。
「QURRRRRR!!」
洞窟の奥から剣を片手に二足で走ってくる爬虫類が走ってきた。
え、めちゃくちゃこわっ!
俊敏な動きで剣を斬り上げてくるのを僕はギリギリのところで弾く。
だが爬虫類、多分リザードマンは続けて首に噛みついてきた。胴体がガラ空きになっていた僕は防ぐことができず、HPがゴリっと削られる。
「離れ、ろっ!」
リザードマンを掴み、強引に引き剥がして<ショートソード>で突く。
だが先程のトカゲと同じ、いやそれ以上に硬い。きっと鱗が防御力を上げてるんだろう。
攻めにくいな!
後ろに下がりリザードマンとの距離を取る。
仕切り直しだ。
改めて攻撃の構えをとり、リザードマンの動きを見る。
なんかさっきよりワクワクしてきた。
戦闘による緊張感より興奮が身を震わせる。
「さぁ来い!」
「QURRRRRR!!」
リザードマンが吠え、こちらに突っ込んでくる。
速さでは敵わない。ならできるのはよく見て弱点を探ることだ。
リザードマンの攻撃を今度は弾くのではなく滑るようにして受け流す。
正面から受け止めるよりはこちらの方がすぐに次の動きに移せる。草原での経験をここで活かせて良かった。
だが全て受け流すにはやはり速さが足りないため、じわりじわりとダメージを受ける。
弱点……弱点はどこだ!
必死になってリザードマンの弱点を探り、見つけた。
「身体の内側に鱗なし!」
そう叫びリザードマンの攻撃を受け流し、身体を使って突き飛ばす。
リザードマンが怯んだ後、鱗が無い腹に斬りかかる。ダメージは最初より与えられ、弱点を攻撃された為かリザードマンは怯む。
チャンス到来!
剣を振るう以外にもリザードマンの剣を持つ手を掴んだり、倒れたところを踏みつけて動きを封じるなどの攻撃を入れ続けた。
若干泥臭い戦いになっている気がするが、それはそれでありだ。
「これで!多分トドメ!」
リザードマンに剣を突き刺すと断末魔と共に粒子になって消えていった。
「はー、強かった……」
ポーションを二本使って体力を全快させる。
これは先に進むのは大変だな。
だけど……。
「楽しい!」
興奮が止まらず、この身体には無い心臓の鼓動が早くなっている気がする。
楽しさで笑みを浮かべる顔をそのままに僕は先に進んだ。
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