第4話 やっと名前が分かった

サークルへの加入を決めた翌週。

新入生歓迎パーティのお誘いが来た。

飲めねえんだけど。新入生おれら18才なんだけど。とか思ってたら指定された場所が部室だった。俺がぶっ倒れた場所の隣に小さめの建物があった。

中に入ると、既に知っている顔が3人と、見知らぬ顔が1人居た。


——————


「3年の黒水 護くろみ まもるだ。リーダーというか、雑用と連絡を丸投げされてる。」

「2年の金羽 透こんば とおるだよー。ただの平メンバーだよー。」

「2年の瓶辺 白へいべ しろです。よろしくね。」

「あと1人、5年生がいるんだが…普段からサークルに顔出す頻度低いから会えたら紹介しよう。」


肩幅、細身、女性の順に自己紹介をしていく先輩がた。

俺が参加したサークルは、新入生を除くとわずか4人の小規模サークルだった。

しかも1人留年生居るじゃねえか、何故サバゲーしてるヒマあるんだ。


その後、黒水先輩に促され自己紹介のため立ち上がる俺ともう1人の新入生らしき人、

俺が話始める前にそいつが口を開いた。


「新入生の須賀川 絵留すかがわ えるです。よろしくお願いします!」


随分と元気な女子だった。

ショートに切り揃えた髪は、少し色素が薄いのかほんのり茶色に見えて、白い肌とのコントラストが美しく、それが印象的だった。


「おーい、どうした緊張してるのか?」

「また見とれてんのー?女子に免疫ない感じー?」


黒水先輩の声で我に帰り、慌てて俺も自己紹介を始める。

あと金羽先輩は余計な事を言わないで欲しい。


「えーと、新入生の加藤 利一かとう りいちです。「え!?」よろしくお願…え?どうかしたの須賀川さん?」


台詞を遮られた俺は声を上げた張本人、須賀川さんの驚いたままフリーズした顔に問う。


「加藤って…あの加藤?」

「どの加藤だよ。」

「入試にほぼノー勉で臨んで、特待入試に受かった上に、実は塾にも通ってなかったって言うあの加藤!?」

「その情報漏らしたバカは何処のどいつだ!?」

「え、割と有名な話だよ?」


さすがに絶叫した。

何故そんな事までこの子に知られてるんだ。

と言うより漏らした奴は誰だよ、同高の奴元同級生か?

まあ有名となると漏洩元を探るのも面倒臭そうだな…できれば知られたくなかったんだけどね、ひがみやらねたみやらで絡んでくる輩が多いから。


「凄いよねー。そんな頭良い人と同じサークルなんて楽しそうだよ。」


こんなセリフを無邪気なツラで放ってるのを見るに須賀川さんはその手の輩では無さそうだが。

と、グダグダになった流れを仕切りなおすように黒水先輩が声を上げた。


「まあ、ともかく、2人ともよろしくな。それと連絡先を交換させてもらっていいか?近いうちに他の大学サークルと合同で新歓サバゲーやるからその連絡用に。」

「お、マジですか。楽しみです!」

「あ、はい。L○NEでいいすか?」


その後、適当にジュースを飲みお菓子を食べつつ、パーティは進んでいった。

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