第54話




「初めは、不安なときもありましょう。息子のレナートを護衛に付けましょうか?」


「レナートさんは、お仕事があるのでしょう?お忙しいのでは?」


騎士ですから、そう簡単に休めないイメージがあるのですけれど………


見習いは、特に。上司の騎士が指示したお仕事やらなくてはいけないんじゃないかしら?


「大丈夫ですよ。シフト制…………仕事の曜日が決まっていますので。休みの曜日でしたら。」


「まあ!そうなのですか?レナートさんご本人にも、日程を聞いてみますね!」


しふとせい………お休みの曜日が決まっているんですね。せっかくのお休みの日なのに、ご依頼してもいいのかしら?


レナートさんだって、ゆっくりしていたいかもしれませんし………


「もちろん、護衛をして下さるなら、依頼料を支払います!わたくしを含めたリージー公爵家からのお礼でございます!」


「オリヴィエさん……」


依頼料の金額はいくらなのかは、父にご相談をするとして………


………いえ、これは、依頼料というより、きゅーりょーというものなのかしら?






「ご依頼……護衛……お給料……オリヴィエ様、いったい、何があったのです?」


「あ、レナートさん!もしかして、先程の話を聞いていらしたんですか?」


いつも柔らかなレナートさんが、ちょっとだけ鋭い目付きになっております。


あああ、勘違いをさせてしまったようですね!レナートさん!勘違いですよ!


「レナートさんっ!実は、また、お庭に着いて来て下さりたくて………!」


「あ、ああ、庭に!驚いたよ。てっきり、父に依頼するほどのことがあると………」


や、やっぱり、勘違いをなさっていましたね!


さっきの勘違いをすぐに訂正出来て、本当に、本当に、安心いたしました。


事件が起きた訳ではございませんから、ご安心して下さいませ。レナートさん。


「す、すみません。ご心配をおかけしました。レナートさんは、お時間ありますか?難しいのでしたら、お断りしても大丈夫ですよ?」


「私なら構わないよ。土日や火曜日なら空いていることが多いから。」


「まあ!ありがとうございます!では、来週の火曜日のお昼頃にお願い致しますっ!」


「はい、かしこまりました。オリヴィエ様。」


レナートさんは、スッと騎士の中でも、護衛の騎士の礼を致しました。


護衛騎士は、なかなか見習い騎士がなれるものではないと父から聞いていますが、騎士の礼をしたレナートさんは、美しいでございますね。


「ふふ。レナートさん、ありがとう!よろしくお願いしますね!」


「ええ。よろしくお願い致します。」

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