第52話
「お父様、お願いがあります。」
建国祭の最終日の夕方、わたくしは、お父様がいるところへ向かいました。
まだ、後夜祭が残っていますが、わたくしは、そろそろ帰りますから。
「いつになく、真剣だね。どうしたんだい?」
「しばらく、リュネット伯爵家にいらっしゃる庭師さん達と関わりたいのですが、お父様は、どう思いになられますか………?」
お父様は、身分差を気にしない人だから反対はしないでしょう。
けれど、噂が流れたら、リーム公爵家の方から色々と言われることになるのはお父様だもの。
それ以上に、我が家の大黒柱ですから、新しいことを始めるのに、許可が必要でしょう。
ひっそり始めて、ご心配をおかけしたくないという理由もございますが。
「庭師と………?庭師さんとやらは男の人かい?もしかして、その庭師に恋をしたとか?」
「えっ!?違います!妻子も孫もいるお爺さんでございます!」
「……………ああ、庭師さんは、おじいさんか。すまない。意外すぎて、驚いたものだから。」
なぜ、恋をしたと思うのですか!?お父様!?
たしかに、いつも部屋でのんびりしている娘がいきなりというのは驚くとは思いますが………
それを、恋をしたのだと結び付けるのですね。
「リーム公爵からは色々言われる可能性はあるが、私自身は反対しないよ。色々な世界を知りたいのなら、リュネット伯爵家は、最適な立ち位置にいるからね。頑張りなさい。」
「本当ですか!?ありがとう存じます………!」
まあ!思ったより早く、お父様から許可が下りましたね!
最適な立ち位置………王都民からも、貴族からも近しい位置にいるからでしょうか………?
「オリヴィエ、それなら、庭師の見習い体験をしてみてはどうかな?」
「庭師見習い………!侍女見習い、執事見習いのような感じですか?聞いてみます!!」
「では、リラ、君も一緒に行ってくれないか?さすがに、護衛はいるからね。」
「すみません。オリヴィエ様、い、いったい、どうなされたんでしょうか………??」
お父様お母様に着いてきたリラがこちらを見て非常に驚いています。
あああ、そういえば、まだ、わたくし、リラに話していませんでしたね!?
「わたくし、実は、前々から、庭師さんが気になっていました。リラ、リュネット伯爵邸に、一緒に着いてきて下さいますか………?」
「リュネット伯爵邸に………かしこまりました!一緒に着いてまいります!」
レインさんにお会いできるかもしれませんし、リラにとっても、ちょうど良いですね。
では、リュネット伯爵に聞きに行きましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます