第49話



「お母様、ご相談があります。」


「あら、オリヴィエちゃん、どうしたの?」


「今って、お時間はありますか?なかったら、別の日でも構いません。」


「大丈夫よ!国王陛下並びに王太子殿下の挨拶まで時間があるもの。言ってごらん。」


悩みではありませんが、ご相談があるのです。


立場もありますから、考えないようにしていましたが、本当は、少し気になっていて………


レナートさん達のお花を現している剣舞を見たからでしょうか?




「また、リュネット伯爵家のお屋敷に行きたくなりました。実は、お屋敷の庭を管理しているニワシさんが気になっていまして。」


「ニワシ……?ああ!造園業を営んでいる方々のことかしら?気になってるの?」


「とっても素晴らしい芸術家なんです!王宮のお庭も美しいですが、伯爵邸も見事でした!」


非常に美しく、素晴らしいバラ園。バラ好きなお母様なら、気にいるんじゃないかしら?


お父様、お母様にも見せたいくらい、美しく、綺麗でしたよ!


「ふふふ。なら、その庭師さんのことを知れるチャンスかもしれないわね。見かけてみたら、話し掛けてみてはいかがかしら?」


「はい!話し掛けてみます!ですが、わたくしから話し掛けても良いのでしょうか?」


「むしろ、お得意様が増えるかもしれないと、あちらは思うかもしれないわよ?」


お得意様?どういう意味なんでしょう?ニワシさんだから、庭の管理が得意………


そんな簡単な意味ではなさそうな言葉ですね。


「常連の客のことよ。オリヴィエちゃんなら、図書館や本屋のお得意様よね?」


「そのような意味が!はい、お得意様です!」


わたくしは、読書が好きです。小説や歴史書が好きなんです。


毎週のように、図書館か本屋に必ず行きます。行かないのが珍しいくらい。


「それが、お得意様という意味なんですね。」


「ええ。あちらは、公爵令嬢というお得意様が増える!って大喜びするかもしれないわよ?」


「ですが、我が家の庭に関しては、なかなか…お父様に許可を頂かないと………」


公爵家の家主、お父様は信頼できる方を屋敷に招き入れなさいと常々よく言っておられます。


わたくしは、まだ、一度しかお会いしていないラートを信頼できるのか、分かりません。




「まず、オリヴィエちゃんが、その庭師さんと仲良くなって、信頼が高まってきたら、頼んでみたらどうかしら?貴女のお父様は、キレイな美しい芸術が好きだから、きっと喜ぶわよ!」


「お母様、そうしてみますっ!ご相談に乗ってくださって、ありがとうございます!」


「ふふ。オリヴィエちゃん、伯爵には、私からお手紙を書いておきますから、安心して。」


「はい!よろしくお願いいたします!」

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