第44話



さあ、いよいよ、平和祭が開催されます。


まずは、みんな各自各々、お昼を食べて過ごす時間です。


それが済みましたら、信心深い美しくて優しい巫女さん達による美と信仰を探究した舞の披露でございます。


子どもたちは、神官さんからレンテーゼ神話のお話を聞く時間でもあります。




「ふふふ。今からね。」


「今年の巫女さんは、どなたですか?」


わたくしは、今、巫女の舞が奉納される会場の前から三列目あたりの一番右横にいます。


真ん中は、レンテーゼ王家やリーム公爵家等の方々ですね。


のんびり待ち時間にお母様に聞いてみました。


「一人目は、カータ伯爵次男エジリオの長女、アンネリースよ。右にいる銀色の髪に水色より薄い色の目をした綺麗な子がそうね。年齢は、貴女と同い年くらいなんじゃないかしら?」


「まあ!なんて美しい方なんでしょう!とても美しすぎて、まるで、天使のようですね!」


エジリオ様は、確か、剣舞を担当される予定のお方でしたよね。その娘さんのようです。


水のように透き通った透明な愛溢れる女性だとそう感じました。不思議な方ですね。


「もうひとりの巫女は、フィーサ伯爵の長女、ファティーマ。長く長く腰まで伸ばした黒髪がとても美しい子よね。ちなみに、まだ12歳になったばかりの巫女見習いさんよ。」


「まあ!ってことは、ミーアちゃんと同い年!とてもとても可愛いらしい子ですね!」


フィーサ伯爵なら、知っています。リュネット伯爵のように農民から貴族になられた方です。


おふたりは巫女さんとして、神のお社で修行を重ねているのでしょう。


年齢のわりに、とても大人びていて、さらに、純粋無垢な感じがいたします。




いざ、巫女さん達の舞が始まると、やっぱり、本当に、素晴らしいものでございます。


この美しさを、わたくしは、なんて表現したらいいのでしょうか………!


アンネリース様も、ファティーマ様も、毎日のように、神様に感謝を捧げているようです。


ずーっと毎日、人々の幸せを願いながら、舞の練習を重ねてきたのでしょう。


その美しさが、舞に現れているのです。なんて不思議なんでしょう。




「ひかりよー この地に すみずみまで届きますようにー 太陽のように 女神の光よー 」


「かぜよー 透明な美しい風よー

この地に 愛を与え続けている 神の教えよー」


この歌は、至高の神様とその娘の太陽の女神の祝福の歌でございます。


御光が、この星の隅々まで届きますように、と平和を祈る歌を、アンネリース様が。


透明な愛のような美しい風を与えてくださっている神様への感謝の歌を、ファティーマ様が。


本当に、美しく、綺麗な巫女さんの舞でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る