第43話


「オリヴィエ………?」


「はい、オリヴィエですよ。」


「………あれ?なんで、レナートと?」


びっくりした顔をしてらっしゃる、このお方がリーム公爵家の孫の次男、ビオーン様です。


珍しい赤色の長い髪に赤茶色の瞳をしていて、片目を隠しています。


あまり目立たないようにしているそうですが、その方が目立ちそうです。


「レナートさんは、ビオーン様の父上の再従弟なんですね。不思議です。」


「そう?従兄弟みたいなもんなんだけどね。」


おふたりとも、同い年だから、不思議な感じがいたします。


でも、ビオーン様は、そんなに気にはしてないようですね。


「オレも、不思議!君が、親戚でも幼馴染でもない男と知り合いなんて初めてなんじゃない?まあ、こちらとしては面白いだけなんだけど。ユーディが知ったら、びっくりしそう!」


「ええ。確かに、初めてかもしれませんね。」


ビオーン様は、好奇心旺盛なんですよね。その性格が話しやすさを感じる人が多いのかしら。


ちなみに、レナートさんは、ビオーン様が来てから、だんまりを決め込んでいます。


リーム公爵家は、選民思想が強い方が多いので仕方ありませんが、ビオーン様は緩いですから大丈夫だと思いますよ………?


「あ!もしかして、ひい祖父様からの紹介?」


「パーティーで、レオーンさんとお知り合いになりまして、その縁ですね。つまり、人脈広いお母様からのご紹介でございます。」


「ああ、エーヴァ夫人からの紹介なら分かる!オリヴィエなら、公爵令嬢のわりに、穏やかで話しやすいから大丈夫だね。」


「ふふ。ありがとう存じます。ビオーン様。」


ビオーン様の言う公爵令嬢のわりにという件がよく分かりませんが………


ふふ。話しやすいのなら、良いのでしょうか。


「オリヴィエ、昔よりも、明るくなったね!」


「………えっ?そうでございますか?自分では、気付きませんでした!」


「昔は、ひとり静かに、ひっそりとしていて、近しい親戚や幼馴染の関係の人くらいしか会わなかったろう?」


「ええ。確かに、ひっそり暮らしてました。」


お母様のおかげで、伯爵家の方々とも関わりが出来て、たくさんの方々とお話してみようと、そう思うことが出来ましたから、確かに、少し変われたのかしら?


あの時に、お母様が、リュネット伯爵に頼んで下さったおかげで、今のわたくしがあります。


お母様は、大切な時にふと助言を下さります。


あと、わたくしが、なかなか、交友関係を広げないから、心配して下さったのですね。


「レナートさんも、ありがとう存じます。」


「いえいえ、本当に、こちらこそ、ありがとうございます………!」

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