第41話
「オリヴィエ!ちょうど良かった。」
「うむ。オリヴィエよ。久しいのう。」
「お父様!それに、リーム公爵もいらしてたのですね。お爺様、お久しぶりでございます。」
あら、建物から出る時に、ばったり鉢合わせてしまいました。
お父様だけなら良いのですが、これだと時間がかかりそうです。
「うむうむ。息災のようでなにより。」
「ええ。ありがとうございます。わたくしは、のんびりと暮らしておりますよ。」
リーム公爵は、90歳くらいのお爺様ですが、今でも、現役の公爵です。
このお爺様が、リュネット伯爵の伯父で、国王陛下の母方の祖父にあたる方です。
「オリヴィエよ。我が孫息子の三男ユーディと婚約せぬか?仲良いじゃろう?」
「まあ!ユーディ様とですか。ユーディ様は、想い人がいらっしゃるのでは?」
「うむ。しかし、相手の令嬢は、再従妹の伯爵令嬢じゃからのう。」
ユーディ様の再従妹、セプライカ伯爵家の娘、シュレティカ様ですよね。
大切な孫息子が伯爵令嬢と結婚したのを複雑な気持ちで見ているようだから、尚更、また複雑なんでしょうか。
「それよりは、御主のような公爵の娘のほうが安心じゃろう?そう思わぬか?」
「むしろ、セプライカ伯爵家も、ひとり娘しかいませんし。婿養子にして、侯爵家にすれば、良いのではありませんか?」
「ふうむ。果てさて、どうしたものかのう。」
相変わらずです。お爺様。選民思想が強くて、受け入れにくいところもあるようです。
ユーディ様は、赤毛に赤茶色の青年で、昔は、やんちゃな少年でしたが、今は、立派な青年。
わたくしの幼馴染でもありますからね。恋路を応援したいのですけど。
「お爺様。シュレティカ様は、非常に美しく、巫女をしておられます。素晴らしい方ですよ?それに、シュレティカ様も、お爺様の曽孫ですから、安心してくださいませ。」
「ううううむ。そうじゃのう。候補には考えてみるが、どうなるかは分からんぞ。」
シュレティカ様は、リーム公爵の次女の子孫。
血筋的には、リーム公爵と繋がっている訳ですから、認めてみてはいかがでしょうか………?
「ユーディ様よりも、ビオーン様のお嫁さんを先に探した方がいいのではないでしょうか。」
「そうじゃった!あやつもまだじゃったのう。探してみるとするわい!」
公爵の孫のご次男は、あまり目立ちませんからなかなかお相手が見つからないようですし。
ユーディ様、わたくしに出来ることは、お爺様から、貴方よりも次兄の方を先にと言うくらいしか出来ませんでした。
ああ、そういえば、ビオーン様の方は、騎士の見習いさんでしたね。
レナートさんとお会いしたことあるのかしら?
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