第40話



建国祭記念日です。


平和祭がやって参りました。





この大陸の東側に、初代国王陛下が独立宣言をしてから、なんと二千年以上になります。


大陸の中で、このレンテーゼ王国は、二番目に長い歴史を持つ国のようです。


ちなみに、一番目は南側にある小さな島国で、三番目は隣国のラウレア王国です。





「やっぱり、平和祭は寒いですね。お兄様は、寒がりでしたよね。大丈夫ですか?」


「ああ、本当に寒いなあ。ここは室内なのに。皆が、外ではしゃいでるのが不思議だよ。」


わたくしとお兄様は、外ではなく、室内から、平和祭を眺めています。


ある意味、特等席で、平和祭で賑やかな会場が見渡せる位置にある建物の中です。


「それでも、皆さま、楽しそうにしてらして、平和祭って本当に素晴らしいものだわ。」


「おお!珍しい! 見てごらん。あそこを。」


「まああ!お父様とリーム公爵がお話しているなんて珍しいことがあるのね。」


平和祭は、対人関係も、緩くなるものなのね?


ふふふ。なんて平和なんでしょう。




「今日は、珍しい格好をしているよね。」


「ええ。今は、室内ですが、寒い真冬になってまいりましたから、暖かいものにしましたよ。外に行く時は、コートを着ます。」


正直、ドレスだと寒いので、珍しくも、ドレスではないのです。


薄青緑色のロングスカートに暖かい目立たないタイツをはいています。




今日は、信心深い美しくて優しい巫女さん達による美と信仰を探究した舞の披露があります。


子ども向けのレンテーゼ神話講義もあります。


騎士の方々が、王国の平和と繁栄を神にお祈りする剣舞もございますね。


あと、国王陛下、王太子のご挨拶があります。その時に、婚約発表でしょうか。




「今日は、よろしく頼むよ。オリヴィエ。」


「え、ええ。緊張致しますが、頑張ります。」


王太子殿下であるお兄様に頼まれて、今日は、ユーリシア姫の話し相手になります。


隣国から、ユーリシア姫と一緒にエレノア様もいると聞いて、リオルくんも呼びました。


想い人に会えるからか、リオルくん、緊張してひっそりと休憩中のようです。





「ああ、そうだ。レナートが、剣舞を披露するらしいから、挨拶に行ってきてはどうかな?」


「まあ!レナートさんが?はい、挨拶に行ってまいります!どちらにいるのかしら?」


そういえば、前に、リュネット伯爵のお屋敷に行かせていただいた時に………


レインさんの部下が剣舞をとは聞いていましたけれど、レナートさんも?


「あそこの裏手にある控え室で準備してるよ。行ってらっしゃい。」


「あそこで………!はい、行ってまいります!」

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