第37話


「いとこ会に集まってくれて、本当に、いつも有難う。これからも、よろしく頼むよ。」


お兄様が深々とみんなにお辞儀をして、ご挨拶されました。相変わらず、真面目ですね。


仕切り直しですか。ということは、そろそろ、お兄様は、本題に入られるようですね。


重要な話のときは、いつも、前置きが長くて、大抵、結論や相談事を、ゆっくりと話します。


だから、いとこ会なるものを作って、ゆっくり話せる場を設けました。




「ええ。兄上に呼ばれたら、また、いとこ会に来ますからね。よろしくお願い致します。」


「ああ。アンジェロ。君の兄として、改めて、よろしく頼むよ。」


お兄様とアンジェロくんは、昔から、非常に、仲の良い兄弟でございます。


アンジェロくんに野心が見られませんからね、ややこしい王位争いは起きません。



「お兄様、こちらこそ、ありがとう存じます。皆、わたくしからもこれからもよろしくお願いしますね。これで、何回目になるのかしら?」


「オリヴィエも、従兄として、よろしく頼む。確か、三年前から始めたから、約40回以上は集まっているんじゃないか………?」


お兄様は、何回目か分からないらしいですね。


毎月のように集まっていましたし、お兄様は、他の集まりやお茶会もあって、忙しいでしょうから、仕方がありませんね。



「何回目だったかなあ。僕も忘れちゃったよ!スター兄さん、これからも、よろしく!」


「あははは。相変わらずだなあ。リオルは。」


貴族らしくはないところがありますが、リオルくんは、天才的な薬剤師見習いさんなのです。


叔父様も驚くほどの記憶力で、王国にある薬をすべて知っています。


アンジェロやイリーゼ様も優秀なお方ですが、リオルくんが、学年の首席なんです。



「リラ、君にも伝えたい。護衛の侍女として、いつも来てくれて、ありがとう。これからも、オリヴィエと仲良くよろしく頼むよ。」


「は、はい!王太子殿下!侍女の私にまでお声掛けて下さって、ありがとう存じます………!」


あらあら、お兄様ったら、真面目なおひとね。


リラが、自分に声掛けられると思ってないから驚いているじゃないですか。


でも、こういう真面目すぎるお方だからこそ、国民にも人気なのよね。


「いやいや、私達の会話に加わりたいだろうに君は静かに聞き、自分の仕事を全うしていて、私達の会話を秘密にしてくれている。本当に、素晴らしく優秀だ。ありがとう。」


「まあ!そんな褒められても困ります!王太子殿下。これが、私の仕事ですよ!気にしないで下さい。私は、仕事に誇りに思っています。」


王太子相手にきっぱりと言うリラに、さすが、リラ!と思うわたくしでございます。


だからこそ、私は、リラが侍女で良かったと、改めて、そう思うのです。


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