第35話



「わたくしは、一般国民の方々とも、関わって参りたいと思うのですが、どう思いますか?」


「良いんじゃないかな?ここだけの話、私は、時々、護衛とひっそりお忍びに一般国民の街に出てるんだよ。国民の暮らしを知るために。」


「えええっ!?そうなんですか!?王太子自ら街を探索してらっしゃるなんて、素晴らしいでございますね!」


ウインクして、お茶目なお兄様に驚きました。


それって、わたくしやリラに言っても良い情報なのですか!?


と、その前に、その煌々とキラキラしている、その容姿だと確実にバレますよね………?


「お兄様、その容姿だと目立ちすぎません?」


「ああ。お忍びの時は、黒い長髪のシンプルなカツラを被って、少し地味な感じで。男爵家の嫡男風か、大富豪の息子っぽいイメージかな。面白いだろう?オリヴィエも来る?」


「わたくしは、まだやめておきます。まずは、庭師さん達と関わって慣れてからにします。」


「まあ、それがいいかもしれないね。ゆっくり慣れていくといいよ。なかなか新鮮だから。」


お茶目な時があるのは感じていましたけれど、まさか、護衛と一緒に………


それにしても、護衛ってどなたなんでしょう?


「お兄様、一緒に行く護衛、どなたですか?」


「レインだよ。色々、街のことに詳しいから、案内してもらっているんだ。」


「えええっ!?まあ!そうなのですかっ!?」


まさかのレインさんでした。なるほど。彼なら頼みやすいのかもしれませんね。


それほど、信頼されている方でしたか。リラやこちらとしては、色々と驚きなんですけれど……






「オリヴィエ姉上が、大声なんて、なかなか、珍しい光景ですね。どうしたのでしょう?」


「まあ、スター兄さんは、時々お茶目だから、仕方ないんじゃないか?オリヴィエ姉さんも、そりゃー、びっくりする時も、あるだろ?」


「まあ!お久しぶりですね。アンジェロくん。リオルくん。元気にしていたかしら?」


ようやく、二人が用事を終えて来たようです。


何か話しているようですが、こちらには聞こえません。何を話してらっしゃるのかしら?





「何の話をしてたんですか?オリヴィエ姉上。またお茶目な兄上にからかわれてましたか?」


「いいえ、今回は、からかわれていませんが、いつもこの感じですね。」


姉上と呼ぶのは、第二王子、アンジェロくん。お兄様とそっくり瓜二つなのです。


ああ、でも、瞳が薄い水色なので、慣れれば、簡単に見分けやすいですよ。


「やっぱり、お茶目なんだね。兄上は。本当に実の弟から見ても、不思議な人だよ。」


「お茶目って………君たち、そんなに私はお茶目なのかい?真面目に言ってるつもりなんだが、お茶目と言われるとは………」

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