第34話
「リュネット伯爵家のニワシさんが、とっても素敵なお庭を作っていらっしゃいました!」
「素敵なお庭を………ニワシさん………それは、もしかして、庭師さんのことかな?」
お兄様は、メモ用紙に、丁寧かつ綺麗な文字で『庭師』と書いて下さりました。
まあ!こう書くんですのね!庭の師匠だなんて本当に、素晴らしいお仕事でございます!
「バラの花がたくさん咲き誇り、とても優雅で上品なお庭でした!素晴らしい技術をお持ちのお方です!まさに、芸術家でございました!」
「ふむ?絶賛するほど、綺麗なら、リュネット伯爵家の庭を、私も見てみたいものだね。」
ふふふ。さすがに、行きませんよね?お兄様がお会いしたら、庭師さんが、びっくりしすぎてしまいますよ………?
わたくし相手でも、かなり緊張してましたし、王太子が来たら、驚きすぎます。
でも、庭師さんが貴族に慣れてきたら、会えるかもしれませんね!
「今回、貴族出身の執事や侍女は、伯爵家にはいないということを、初めて知りました。」
「ああ。侯爵家・公爵家・王室だと、なかなか警備が厳しくて、身元の分かりやすい者を雇うことが多いからじゃないかな?」
「ああ、警備の問題でしたか。確かに、全く、知らない人よりは、身元確認が早い方が安心は出来ますね。」
リラのように。義理の親戚のような存在だからわたくしは信頼しています。
わたくしにとって、リラは、叔母様のような、お姉様のような人ですから。
「ああ、たまに、貴族令嬢をわたしの妻に、と考えて、侍女見習いにしよう、とする者もいるから、要注意なんだけど………」
「まあ!そのようなことがあったんですか?」
「まあ、実は、ここだけの話、エリーサの妹、エリセーラなんだけれど………」
「………えっ?エリセーラ様を!?でも、最近、エリセーラ様は、御結婚をされましたよね?」
クォーク侯爵の次女エリセーラ様は、エリーサ様とは、タイプが違う美人さんですね。
エリーサ様が薔薇の花のような煌びやかさならエリセーラ様は椿の艶やかさを体現されたかのようなお方ですね。
「ああ。リーム公爵の孫の嫡男オールドとね。どうやら、二人は、両想いらしくてね、熱心にお互いの両親を説得したらしい。なんだか色々巻き込まれたような気もするが………」
「まあ!エリセーラ様も、オールド様も、お兄様の幼馴染ですから、三角関係にならなくて、良かった、と思えば良いのではないですか?」
「ああ。オリヴィエ、君は、時々面白い考えをするよね。三角関係にはならずに済んだから、今もオールドと仲良く話せるし、確かに、良いかもしれないなあ。」
「ええ、そうですよ。リーム公爵家は、かなり力をお持ちのようですから、喧嘩にならなくて良かったじゃありませんか。」
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