第29話
「ただいま。お待たせ。」
「お父様!おかえりなさいませ!」
隣国の偉人伝を読んでいましたら、お父様が、ちょうど良いタイミングで帰って来ました。
キリの良いところで栞を挟んだところでした。本当に、ちょうど良いタイミングですよ。
「それは、ラウレアの英雄、ミーテゥ・ハー・レウレーウ氏の偉人伝だね。」
「はい、そうでございます。ミーテゥ氏の幼き頃からの生き様を描いた偉人伝です。偉人から何か学ぶことがあるかと思いましたので。」
昔を生きた英雄や偉人の方々の想いを知れる。
そんな偉人や英雄物語は、とても涙が出そうになるくらい、感動致します。
「昔のラウレアは、今とは、だいぶ違ってて、驚いたろう?」
「はい。昔、ラウレアは、独裁国家で、人々に自由がなかった上に、争いばかりの王国だったなんて、初めて知りました。」
今の隣国ラウレアは、平和そのものです。争い無く、穏やかな人々が多いから、エレノア様は隣国ラウレアに留学することが出来ました。
しかし、昔は、独裁者が支配し、王族を配下にするほどの自由が全くない、争いの絶えない国だったそうです。
「ああ。長い間、ラウレアの国民、特に、先住民族は、特に大変だったんだよ。学ぶ自由も、言論の自由も、信教の自由もなかったんだ。」
「そんな国を救って、人々が自由を取り戻したのは、この方のおかげだと思いました。」
ミーテゥ・ハー・レウレーウ氏というお方は、ラウレア王国の大統領にあたる方なんです。
昔のラウレア政府から迫害されていた黒い肌の方々や先住民族への差別や迫害を無くす運動をしています。
ミーテゥ氏こそ、先住民族レウレーウ族出身のため、色々と迫害されてきたはずのお方です。
レウレーウ族は、光の神よ!という意味が込められた、信心深い人々です。
「ああ。今のラウレアの穏やかな平和は、その英雄のおかげだ。人種差別も無くなった。黒い肌の王女を、王太子は、妻として迎えることが出来た。ミーテゥ氏は本当に素晴らしいよ。」
「ミーテゥ氏は、迫害をしてきた人々と、どう和解したのですか?なかなか難しいと思うので不思議でございます。」
「その迫害をしてきた人の長所を知ることで、相手を知ることで、次第に仲良くなれたんだ。なかなか最初は難しかったらしいが、憎しみを捨てて、迫害してきた人をも愛したからだと、そしたら、迫害してきた人々は、だんだん私を含めた者達を同じ人間だと思うようになって、仲良くなれたのだ。と、ミーテゥ氏ご本人が、おっしゃっていたよ。」
「憎しみを捨てて、愛したから………凄いです。なかなか、出来ることではありませんね。」
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