第二章・王子様の恋愛事情

第28話




「お母様、只今、帰りました。」


「まあ!オリヴィエちゃん!おかえりなさい!どうだった?楽しめたかしら?」


伯爵家から帰ってすぐ、わたくしは、お母様の部屋にご報告に来ました。


お母様の部屋は、壁は白色と普通なのですが、家具類にピンク色のお花が描かれたもの、薔薇柄のものが多く描かれていて、メルヘンです。


さらに、お洋服のドレスも、鮮やかな薄桃色の花びらが描かれています。


ちなみに、わたくしのドレスは、青緑のような淡い色合いのシンプルなものです。


「はい!皆様、とてもお優しくて、わたくし、とても感動しました!伯爵家の方々は、とても話しやすくて、ステキな方々ばっかりです!」


「リュネット伯爵家の方々のお人柄は、愛国心から来ているの。騎士道精神とも言えるわね。素晴らしい方々でしょう?」


「はい、とても素晴らしい方々です!愛国心?どういう意味なのでしょうか?」


愛国心………お母様が、文字を紙に書きました。


愛する国の心?いったいどういう意味が込めてある言葉なのでしょう?


「国を愛し国にいる人々を愛しているのです。血の繋がりは無くとも、まるで家族のように、愛しているのです。だからこそ、国を守るべく努力を重ねているのです。その想いが優しさを生むのですよ。」


「まあ!とても素敵ですね!わたくしも、この国が大好きです!」


「ふふふ。素敵な人達を、オリヴィエちゃん、貴女にずーっと紹介をしたかったのよ。今回、紹介出来て、本当に良かったわ!」


「お母様………本当にありがとうございます。」


お母様って、本当に、不思議なお方です。人の長所や得意分野をよく見抜いておられます。


普段は、きゃっきゃっと若々しくて、メルヘンチックな方なので、ギャップがあります。





「ふふふ。そういえば、貴女をお父様が呼んでいました。何か用があるんじゃなくて?」


「えっ?お父様がわたくしを?珍しいですね。何か、あったのでしょうか。」


いつも、わたくしから、お父様の執務室へ行くことはありますが、呼ばれるのはたまにです。あまりにも、お父様、お忙しいので。


この国にいる公爵は二人です。お父様とリーム公爵です。ですから、国王陛下の補佐として、かなりお忙しい日々を送っています。


お父様は、自分の仕事をいずれ継げるように、アンジェロ王子を教え子にしています。


「ほら、もうそろそろ、お仕事から帰って来る時間よ。いってらっしゃい。」


「あっ!本当ですね!はい、行って来ます。」


お父様が、だいたいいつも帰って来る時間帯がありますから、それに合わせて待ちましょう。


その待ち時間は、本を読みます。いつも、気になって読む本は偉人伝などの歴史書です。


今日は、隣国のお話にしようかしら。ちょうど隣国について、気になっているのよね。

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