第24話



伯爵夫妻を呼び捨てにしたことはありません。


普段から、〇〇伯爵、〇〇夫人と呼んでいますから、尚更です。


かと言って、おふたりを、おじ様、おば様とも呼びにくい気がします。わたくしの両親もなのですが、おふたりとも、若々しいですし。


なので、レオーンさん、リリーゼさんとお呼びすることにしました。その方がしっくり来て、呼びやすいのです。


「あっ!もし宜しければ、わたくしのことも、オリヴィエとお呼びしてくださいませ!」


「さ、さすがに、正直、恐れ多いのですが……」


なぜ、恐れ多いのでしょう。わたくし、そんな怖い御令嬢だと思われていましたか………?


よく考えてみましたら、クォーク侯爵家の令嬢エリーサ様(フィーちゃんのお母様)は、とても礼儀に厳しいお方ですものね。


根は優しく真面目な方なんですが、選民意識が強いご家庭に生まれたからでしょうか。


いえ、兄君の方は、ゆったりとしてらっしゃる人ですから、環境が原因ではありませんね。


「レオーンさん、わたくしは、気軽に、お呼び下さって、かまいませんよ………?」


「まあ!ふふ。そうね。あなたは、親戚の子をふつうに呼び捨てにすることが多いからよね?オリヴィエさんでもよろしいんじゃなくて?」


オリヴィエという呼び方でも嬉しいのですが、これは、仕方ないのでしょうか。


あ、わたくしに慣れてきたら、呼び捨てにして下さるかもしれませんね!


「そうだね。では、オリヴィエさんと呼ばせて頂きます。ありがとうございます。」


「ええ、よろしくお願いします。」





「宜しければ、オリヴィエちゃんとお呼びして構わないでしょうか………?」


「ええ!構いませんよ!リリーゼさん!ぜひ、オリヴィエちゃんと呼んで下さいませっ!」


オリヴィエちゃんと呼んで下さるのは、お母様以外に、叔母様(王妃)とお祖母様(父方の祖母にあたるひと)くらいしかいなくって。


ああ、たまに、王太子がわたくしをオリヴィエちゃんと呼ぶことはありますけど。


だから、リリーゼさん、とても嬉しいですよ!


「では、オリヴィエちゃん、改めて、よろしくお願いしますね?」


「ええ、よろしくお願いします!」






「そういえば、後三人は、リラ達は、どちらにいるのでしょうか?まだ温室なのかしら。」


「まだ、温室にいるんじゃないかな?兄上も、イリーゼも、温室が好きみたいだから。」


「まあ!確かに、あそこは、ゆったり出来て、心地が良さそうですものね。」


温室は、こじんまりとした小さな可愛い花壇や鉢に植えられた小さめの樹木があって、空気も良くて、素敵でした。


特に、リラは、お花の匂いが苦手なものもあるようですが、リラの苦手な花は、植わっておりませんでしたから、大丈夫でしょう。

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