第22話
「なら、オリヴィエ様も、珍しい女性の王族にあたります。隣国の王太子殿下と御婚約なさる予定なのですか?」
「今の隣国の王太子は、35歳。15歳年下のわたくしとの婚約話も10年以上前に見送りになりましたね。」
ハンサムなおじさまという印象の王太子殿下、妹のユーリシア姫とあまり似ていません。
妹をかなり大事にされていましたが、最近は、その妹に言われて、政略結婚で結婚した妃との仲が良くなっております。
「隣国の王太子は、ユジェシー王国第三王女とご結婚なされて、三人の御子息がいますから、わたくしとは結婚しませんよ。」
「暑い南国のお姫様ですか。あちらの国から、この大陸に来るのは、非常に珍しいですね。」
ユジェシー王国は、かなり遠い国の、小さな、小さな、南にある王国のようです。
暑い暑い南国で、こちらではあまり見かけないくらい、黒に近いような肌をしておられます。
御子息達は、次男と三男がその方に似たのか、うっすら黒みがかっていますね。
「幸い、ユーリシア姫が王太子と同い年です。そちらの方が有力かもしれませんね。」
「そうなのですね。ご丁寧に答えて下さって、ありがとうこざいます。」
「いえいえ、わたくしは、かまいませんよ。」
「実は、リュネット伯爵にも聞かれたのです。不思議なんですけれど、本当にどなたから?」
「リーム公爵からです。私の父方の大伯父様にあたる方なので、こないだお会いしまして。」
「まあ!リーム公爵様から、聞いたのですか?それは、勘違いしてしまいますね。」
そういえば、リーム公爵は、リュネット伯爵の伯父上でしたね。
そうですか。リーム公爵は、古い古い名家の家生まれで。選民意識が強うございますからね。そう勘違いなされたのでしょうか。
リーム公爵とリュネット伯爵、かなり性格違いすぎますから、不思議なものですね。
「またお会い出来ますか?」
「ええ。伯爵様とは家族ぐるみで仲良くさせていただくお約束をしておりますから。」
ご次男のレナート様ととお見合いをするという話が出たことは内緒なんですが………
でも、レナート様でしたら、お優しくて立派な好青年ですから、良かったかも………
いえ、お見合いよりも、やっぱり、こうやってゆったりお話が出来た方がいいですね。
「父上と…………?なら、これからも、よろしくお願い致します。オリヴィエ様。」
「はい。よろしくお願いします。今度も、またバラのお庭にご案内して下さいませ。」
本当は、もう少し、砕けた感じにお話しをして下さっても構いませんのに………
わたくしが公爵令嬢という立場上、仕方のないことなのでしょうか………?
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