第20話



「オリヴィエ様、温室に戻りましょうか。」


「ええ。ラート、お仕事の途中にすみません。ありがとう存じます。」


「い、いえ、儂で良かったら、また、バラ園に来て下さいませ。」


ラートは、まだ、緊張しているみたいですね。


筋肉隆々のおじさまが、緊張している様子は、なんだか、不思議でございます。


わたくしが、公爵家の令嬢だからでしょうか?王室や公爵家の執事や侍女も、わたくしが声を掛けると緊張してしまうのです。





「オリヴィエ様には、幼馴染がいますか?」


「セレスティ伯爵家の長女、エレノア様です。わたくしより2歳年下の幼馴染ですね。」


エレノア様は、文武両道で、いつも成績1位。とても優秀な方です。リラに護身術を習って、その結果、かなり強くもなられましたね。


女騎士の貴族令嬢でしたら、文武両道タイプがいますが、エレノア様は騎士ではありません。


「おお、あの天才令嬢の?噂なら聞いたことがあります。今は、留学中のようですね。」


「ええ、隣国ラウレア王国に留学しています。エレノア様は、数学と語学を教える学園の大学教授を目指しているんだそうです。」


「18歳で大学教授を目指しているのですか?エレノア嬢は、凄い御令嬢ですね。」


イリーゼ様と同い年ですから、イリーゼ様なら会ったことがあるかもしれませんね。


アンジェロ王子とは会ったことありませんが、もう一人の従弟リオルくんとも幼馴染です。


「ええ、ええ、本当に、凄い子ですよ。後は、第一王女ユーリシア姫のお話相手も務めているみたいです。凄くありませんか?」


「ってことは、エレノア嬢は、ラウレア王国の言葉が話せるのですか?」


「ええ。だから、ユーリシア姫にレンテーゼの言語を教える役目もありますね。」


同じくらい天才かもしれないリオルくんとは、仲良くて、ふたりが会話してると、わたくしは本当に着いていけません。


数学と言語が得意なエレノア様と薬学と医学に詳しいリオルくん。独特の感性の持ち主です。


「25歳のユーリシア姫に、18歳のエレノア様という光景は、かなり不思議なんですけど、非常に、仲が良いらしいですよ。」


「ユーリシア姫、確か、ラウレア王国の美姫と言われている方でしたね。なかなか、こちらに来られないので、あまり知りませんが………」


「わたくしは、お会いした時、天使のように、可愛いらしくて、素敵なお姫様と思いました!またお会いしとうございます!」


ふわふわした金色の長い髪に、青紫のくりくりぱっちりとした可愛いらしい瞳の小柄なお方。


純粋な可愛いらしいキラキラとした瞳でお話をして下さいます。

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