第19話


我が家は、執事や侍女とは関わりあるけれど、彼らのことは、よく知りません。


わたくしが知っているのは、幼き頃から知っている侍女のリラのことくらいでしょうか。


だから、レナートさんが、普通にニワシさんや侍女たちの関係を知っていて、驚きました。


「シンリ、お庭やニワシさんのお父上のご紹介ありがとう存じます。ラートのお庭という芸術作品は、本当に美しいですね!素晴らしくて、わたくし、感動いたしましたよ!」


「いえいえ!公爵令嬢であられるお方が、父の管理する庭を褒めていただけるなんて、本当に嬉しく思います!オリヴィエ様、こちらこそ、ありがとうございます………!」


侍女シンリは、ぱあああっとした可愛いらしい笑顔を見せてくださいました。


シンリの父上のラートは、ちょっと照れたかのような表情を見せています。





「レナートさん、わたくし、まだまだ勉強することがたくさんありそうですね。」


「勉強ですか?何を勉強するのでしょうか?」


「身の回りにいる執事や侍女だけではなくて、こういうニワシさんのことも知りたくて。」


公爵家には、数多くの執事や侍女、料理人など様々な人々が働いていて、わたくし達をお世話して下さっているんです。


そういった人達のことを、もっと知らなくてはと思いました。


「また、ここに来た時は、シンリやラートたちともお会いしとうございます。」


「なら、シンリを、オリヴィエ様が来たときのためのお世話係にしましょうか。」


「まあ!シンリを!そしたら、ラートの奥様のサリーさんやシンリの旦那さんとご子息にも、お会い出来ますでしょうか!」


「ああ、会えると思うよ。彼らも、優しくて、気さくな人達だから、話せると思う。また来たときのお楽しみにしときましょうか。」


「ええ!本当に、ありがとう存じます!」


なんて素晴らしく嬉しい提案なんでしょうか!しかし、本当に宜しいのですか?


シンリは、リラのように忙しいかもしれませんから、負担を掛けたくはありませんよ。





「シンリ、本当に宜しいでしょうか?ここに、わたくしが来た時限定で良いのですよ。お庭を散策する時の侍女になりませんか?」


「えっ?しかし、オリヴィエ様には、リラ様がいらっしゃるでしょう?」


「ええ。しかし、リラは、今日のような場所、バラ園に行けません。なので、こういう時は、シンリが適任なんです。」


「オリヴィエ様、かしこまりました。バラ園の中では、私がオリヴィエ様の侍女となります。よろしくお願いいたします。」


「まあ!シンリ、本当にありがとう存じます!よろしくお願いしますね!」


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