第18話



「こちらが、私の父、ラートでございます。」


「シンリ………なぜ、レナートおぼっちゃまを、こないなとこにお連れしたんや。それと、その煌びやかなお嬢様は、どこのお方なんかね?」


わたくしを見て、きょとんとした表情をして、質問をする白髪交じりの黒髪のおじさま。


初めて聞くなまりのある口調は、貴族言葉ではありませんね。


あら?よく見てみると、この親子は、緑の瞳を持っています。リラの子爵家も緑の瞳ですが、緑の瞳は、なかなかいません。


「父さん、こちらは、リージー公爵家のお嬢様オリヴィエ様です。父さんにお会いしたいっておっしゃられていますよ。」


「公爵家の………!?そないなお方が、なんで、この平民の儂に会いたがるんじゃ………!?」


びっくりした驚いた様子のラートは、びっくりしすぎて、持っていた道具を落としそうに。


まあ!大きなハサミ!こんな大きなハサミは、初めて見ましたよ。もしかして、ニワシさんという職業の方が使う道具なのかしら?





「いきなり、すみません。わたくし、この綺麗すぎる薔薇園を管理してらっしゃる方にお会いしてみたかったのです。」


「この家は、大工をやっていた儂の父が作ったものでしてな。その縁で、庭師として、雇ってもらったんですよ。」


つまり、建築技術をお持ちのラートの父親が、この綺麗なお屋敷を………?


親子揃って、ステキな芸術家さん達なのねー。


「サリーに出会って、娘のシンリが生まれて、シンリが執事と結婚してくれたもんでね、孫に恵まれましてな。有り難いことですよ。」


「まあ!お孫さんがいらっしゃるのですね!」


サリーという方に、まだお会いしてませんが…


この屋敷に雇われて、妻と出会い、結婚して、娘が生まれ、その娘もまた、この屋敷の執事と良縁に恵まれたということでしょうか。


この王国で、一般国民が、お屋敷に仕えている執事や侍女と結婚するのは、難しいから、尚更良縁でございますね。




「オリヴィエ様、ラートの妻サリーは、長年、侍女長を務めていて、シンリは、執事のユウに嫁入りして、息子がおります。」


「ラートのお孫さんは、男の子なんですね。」


レナートさんいわく、執事のユウは、男爵家の五男らしく、一般国民と結婚するのは、本当に珍しいことなんだとか。


リュネット伯爵家の屋敷内だからこその良縁。なかなか素晴らしいところね。


「ええ、シオンという息子で執事見習いです。ミーアと幼馴染なんですよ。」


「まあ!ミーアちゃんに、こんな身近に、良い遊び相手がいらっしゃるのね!」

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