第12話


「はい。王室や公爵家の侍女は、私のように、貴族家の次女、三女が多いのですよ。」


「ああ。そうなんだね。我が伯爵家の侍女は、貴族出身という訳ではないから、驚いたよ。」


「王室、公爵家では、御子息、御令嬢を守れる護身術を習った貴族令嬢が条件でございます。私は、その一人です。オリヴィエ様を守る為に配属された護衛でもあります。」


「おお、なんと、リラさんは女性騎士のような勇ましさがありますね。」


えっ?リラ、それは、わたくし、初耳ですよ!


王室や公爵家以外の侍女は、貴族出身の御令嬢ではないのですか………!?


王室や公爵家に仕えている執事に侍女、女官、料理人など、大抵の人は、貴族関係者なので、非常に驚きました。


護身術を習っているというのは知っています。


リラが師から習っている姿を見に行ったことがありますから。リラの師匠は、なんと、女性の騎士団に所属している方なんですよ。だから、女性騎士のような勇ましさがあります。


「ふふふ。オリヴィエ様は、おとなしい方ですから、非常に、守りやすいお嬢様ですよ。」


「王族の侍女は、素晴らしいお仕事ですね。」


レインさん、リラを、絶賛褒めておられます。


リラは、とっても真面目で、リージー公爵家の使用人のなかでも、一番若手の侍女さんです。


そして、リラは、なんと、レインさんと同い年でもありますよ!奥様候補にしませんか?


「リラさんが、オリヴィエ様の侍女に選ばれた理由は、他にも何かあるんですか?」


「フィーネ伯爵夫人は、私の長姉なんです。」


「なるほど。オリヴィエ様とリラさんは、遠い親戚であると同時に、義理の親戚関係でもある関係なんですね。」


フィーネ伯爵は、わたくしの母方の叔父です。


そう、リラは、わたくしの叔父の奥方の妹さんという立場。叔父様の義妹なんです。


わたくしとリラは、10歳差。なので、姉妹のような二人だね、とも言われますが。


「フィーネ伯爵のシパル殿は、なかなか優秀な王宮の薬剤師だと聞いています。オリヴィエ様から見て、叔父様は、どんな方ですか?」


「わたくしから見て………ミステリアスで、何を考えているのか分からないところがあります。お話ししても難しい話ばかりですから。後は、お母様とは、正反対のタイプだと思います。」


「シパル殿は、姪っ子さんから見て、なかなか独特な雰囲気をお持ちなのですね。」


「ええ。薬剤師見習いを育ててはいるようなんですが、基本、インドア派な上に、研究が好きすぎる性格をしていますね。」


叔父の息子も、薬剤師見習いとして頑張って、父親から教わってはいるらしいのですが………


叔父が優秀すぎて、息子でさえも、どうしたらいいかわからないらしいですよ。

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