第9話
「オリヴィエ様、お初にお目にかかりますね。末妹と娘の相手をありがとうございます。」
「いえいえ、ふたりとも、純粋で、可愛くて!わたくしの方こそ、ありがとう存じます。」
伯爵似の銀の短髪に黒い目の優しくて、真面目そうな青年です。この方が、伯爵家4人兄妹のご長男で、フィーちゃんのお父様?
実は、貴族たちがする噂では、ミステリアスで不思議なひとだと…………そうは見えませんね。どうしてなのかしら?
「もしかして、あなたが、伯爵家のご長男で、フィーちゃんのお父様でしょうか?」
「ええ。リュネット伯爵家長男のレインです。はじめまして。よろしくお願いします。」
ミーアちゃんフィーちゃんは、一目散に今度はレインさんの足元へ抱き付いて行きました。
まあ!ふたりとも、なんて可愛いんでしょう!
「ふふ。レインさんは、兄としても父としても慕われていて、とっても仲良しなのですね。」
「ええ、いろいろありましたが、漸く、漸く、落ち着きましてね。有り難いことです。」
しみじみと………いろいろと大変だったようで、レインさんの言葉は、重みを感じられます。
フィーちゃんのお母様、クォーク侯爵の長女、エリーサ様とのことなのでしょうか?
お母様から聞きましたが、お二人は、クォーク侯爵が決めた政略結婚だったらしいです。
価値観が違う夫婦だったのならば、いろいろと大変だったのかもしれません。
「フィリーエには、まだ母親が必要ですから、本当に申し訳ないのですが………」
「伯爵夫人のようなお祖母様や真面目で立派なイリーゼ様、可愛いお姉ちゃんのようなミーアちゃんもいます。レインさんもフィーちゃんもひとりではありません。大丈夫ですよ。」
「ええ、母上や妹達が娘の面倒を見て下さっていて、本当に、家族の有り難みを毎日のように感じている次第でございます。」
「ええ、人生って、いろいろとありますよね。わたくしも、色々とありました。家族は静かに見守って下さりました。有り難いことです。」
わたくしも、自分を責めがちなので、本当に、見守って下さる人達は、とても有り難いです。
フィーちゃんが大きくなって、なんで、自分に母親がいないのか考えるようになった頃辺りで試練は来そうですが、それでも、レインさんもフィーちゃんも、一人ではありません。
もしかしたら、将来、新しく、優しいお母様が現れる可能性もありますからね。
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