バトロワ編 その9








 箱を開いた形成は無いので魔物使いさんはギリギリまで小屋に隠れている予定だったみたいです。


「えいっ!」


 私は下に転がっている宝箱を蹴飛ばすとその衝撃で宝箱が空中へと舞い上がりながら中身を周辺に撒き散らすように開いていきました。


「ええ~っと、これとこれと――――忍さん残りをお願いします」

「へへん、忍さんにまっかせなさ~い!」


 私達は瞬時に必要そうなアイテムだけ選別して走りながら空中でキャッチする事で、なんとか走るスピードを落とさずにアイテムを回収する事に成功しました。


「桜、何か良いのあった?」

「回復薬がそれなりに手に入りましたが、あと少しだけ予備が欲しいです」

「じゃあ後少し回収しよっか?」

「――そうですね、後1,2個回収しましょう」


 ちょうど少し先に2つ目の宝箱も転がっていたので私はさっきと同じように宝箱を蹴飛ばして空中に上げましたが、今回はなぜか上手く箱が開きませんでした。



「あれ? 桜、空いて無いよ?」

「大丈夫――――――です!」



 私は走りながら剣を抜いてそのまま空にある箱を何回か斬りつけると、箱がポンっと煙に包まれるように消えていき中身が出てきました。


「――――あれ? あんまりアイテムが入ってなくない?」

「武器で無理やりこじ開けると入っているアイテムがいくつか壊れて無くなってしまいますが、今回は仕方ありません」


 私は宝箱の中から赤く光る物が出てきたのに気がついて、それを最優先に手に取って残りは忍さんに任せる事にしました。



「――数は少なくなりましたが、なんとか良いアイテムが残ってくれました」

「何があったの?」

「それは後のお楽しみです。――――物資はこんな所でしょうか。後はこのまま逃げてしまいましょう」



「まだ結構な数の宝箱があるみたいだけど、もったいなくない?」

「忍さん。欲張って倒されてしまってはそこで終わりですよ?」

「それもそっか。あ~あ、ちょっと残念な気もするけど今回は諦めますか」

「時には諦める事も肝心です。逃げ切るまでは取れる範囲に宝箱があっても無視してくださいね?」

「わ、わかってるって」



 ――――それから私達は何とか矢の攻撃から逃げ切る事に成功して、ひとまず近くにある樹の影に身を隠す事にしました。



「ぜぇ――――ぜぇ―――――。桜、何か回復アイテムある? 出来れば飲み物系がいいんだけど――――」



「はい、ポーションをいくつか拾えたので少し分けますね」

「ありがと――――ごくっ――――ぷは~、走った後のポーションは最高!」



「忍さん。ゲーム内で飲んでも別にリアルの私達の喉の渇きが潤う訳では無いのですが――――」

「あんだけ走ったんだし、ゲーム内アイテムでも何か飲まないと疲れが取れなきにならないって」

「――そういう物なんでしょうか」


 私はひとまず状況を整理する為にマップを開く事にしました。

 どうやら現在地は次のセーフエリア内に入っているようで、しばらくこの場所から移動する必要は無いみたいです。


 残り人数は10人――――あ、今2人連続で倒されて残りは8人になりました。

 私達が2人でさっき私達を狙っていた人達が2人、残りは4人なので2人のチームが2組の組み合わせか、2人のチームが1組と1人だけ残ったチームが2つといった感じですね。


「この辺りには隠れる事が出来る建物が無いみたいなので、後ろには注意してください」

「ちょっと怖いわね。樹以外に隠れる事が出来る場所は無いの?」

「――――先程忍さんが壊してしまった小屋だけです」


 私がジトーと忍さんを見ると、忍さんは自分のやった事を今思い出したのかごめんとバツの悪そうな顔をしました。


「つ、次からは気をつければいいんでしょ」

「―――そうなのですが。出来ればゲームの仕様はチュートリアルで覚えて、このゲームが始まる前から気をつけて欲しかったです」

「ところでさっき良いアイテムがあったって言ってたけど何があったの?」

「――これです」


 私は懐から赤い石を取り出して、忍さんに見せました。


「あっ!? 火の石じゃん」

「はい、やっつけた魔物使いさんが1つ持っていて、壊した宝箱の中にも1個入っていたので2個も手に入ってしまいました」

「じゃあこれで派手な魔法が使えるようになるわけね」

「はい。これは2つ共忍さんに渡すので、どうぞ派手な魔法を撃ちまくってください」


「って言われても、残ってるのってあと数人じゃなかったっけ? それにマジックポイントの消費量も多そうなんだけど?」

「そうですね。強い魔法はマジックポイントの消費量も大きいのでマックス状態から2発が限界です」

「撃ちまくれないじゃない!」


 私達は回復アイテムを使い先程の戦いで受けたダメージを回復していると、突然遠くから何かが爆発するような音が聞こえてきたので残り人数を確認してみると、2人倒されて残り6人になっていました。


「な、なにが起きたの?」

「どうやらさっきの爆発で2人倒されてしまったみたいで、残りは私達を除いて4人になったみたいです」

「さっき私達を狙ってた奴等?」


「――音がした方向が違うのであのチームじゃないと思います。それに矢が爆発する爆裂矢が使えたとしてもあそこまでの音はしないと思うので、おそらく他の人ですね――――っと、そんな事より次のセーフエリアがそろそろ決まります」

「どうかエリアに入ってますように――――」



 手を合わせて天に祈る忍さんの想いはどうやら天には届かなかったようで、私達の場所はセーフエリアから外れてしまったので、ここから移動する事になってしまいました。


「どうやら最終決戦の場所は森になったようです」

「森って私達にとって有利だったりする?」

「そうですね。矢を使う人達が残ってた場合は樹に隠れながら相手に近付く事が出来るので、平原で戦うのに比べたらかなり有利だと思います」

「おっ、なら私達が1位になれそうじゃん」

「そうですね、小屋で私達を狙ってきた弓使いの人達にリベンジしましょう」


 ――――それから私達は新たなセーフエリアへ慎重に向かっていきました。

 落ちているアイテムをちょくちょく拾い集めながらアイテムと装備の最後の調整をしていると、またさっきと同じような凄い音の爆発音が聞こえてきました。


「桜、これって!?」

「――――最後の相手が決まったみたいです」



 私は残り人数を確認すると、そこには赤い4という文字が表示されていました。

 残りは私達を除いて2人――――さっきと同じ爆発音が聞こえた瞬間人数が減ったので、どうやら森から私達を狙ったチームはさっきの爆発でやられてしまったみたいです。



「音がした方に向かいましょう。まだそんなに遠くには行けないはずなので、もしかしたら姿が確認出来るかもしれません」

「急ごっ、桜」

 ――――私達が音がしたと思われる場所に到着して、木に隠れながら状況を確認すると、そこには焼け焦げたような真っ黒な地面と爆風で吹き飛ばされたと思われる何本もの樹々が周辺に転がっていました。



「――あれ? 誰もいないね」

「どうやら一足遅かったみたいです」



 すでにこの場所から離脱した?

 あるいはあえて目立つ行動をして私達をここにおびき寄せた可能性も…………。


 ここはひとまず慎重に様子を見ながら行動を――――。


「あれ? なんか落ちてない?」

「――――な!?」


 慎重に行こうと思った瞬間、忍さんが何かを見つけたようで樹の影から出ていってしまいました。


「忍さん、いきなり出ていったらは危険です!」

「誰もいないみたいだし大丈夫でしょ。それに敵の手がかりになるかもしれないし、ちょっと調べてみるだけだって」


 周囲からの見通し場所にあからさまに不自然に置いてあるアイテム、まるで取ってくださいと言っているかのようです。


 一応、アイテムがマップに出現する場所はある程度ランダムではあるので、あの場所にアイテムが落ちていても何も問題は無いのですが、謎の爆発や最後の相手の正体が解らない今、私は少しだけ不安に思ってしまいました。


 忍さんは樹から出ていったのに、まだ敵は攻撃してきません。

 ――――どうしてでしょう?

 もうじゅうぶんに見通しは良いはずなので、遠距離から狙撃するなら今がチャンスなのに――――。



 やっぱり、既にこの場所から移動して別の場所に隠れている?

 それとも――――――――自分からは攻撃出来ない?

「…………あっ!?」






 ――――所変わって、桜達から少し離れた場所にある茂みの中。

 そこには、ある一点を見ながら息を殺して潜んでいる2人組の影があった。

「ほ~ら、きたきた」

「今回の1位はいただきなんゆ」

 2人組の目にはある場所へとゆっくり歩いて向かっている忍の姿があった――――。





「忍さん、駄目です!」



 私は叫ぶと同時に駆け出しました。

 よく見ると忍さんの向かおうとしているアイテムの少し前には不自然に土が盛り上がっている所が一箇所あって、どうやら落ちているアイテムはそれから目をそらす為の囮のようです。



「こうなったら多少のダメージは覚悟して――――えいっ!」



 私が横から忍さんにタックルをして突き飛ばした瞬間、アイテムの周辺が大爆発を起こして私は爆風で吹き飛ばされてかなりのダメージを受けてしまいました。



「――――っ」

「サ、桜!? 大丈夫なの!?」

「はい。ギリギリ直撃では無かったので、何とか耐える事ができました。それより忍さん相手チームの1人の正体がわかりました」

「えっ!? あの爆発をやった奴がわかったの?」

「自分から決して攻撃してこない――――いいえ、自分からは決して攻撃する事が出来ないクラス。それは――――――」


 私はあえて相手チームに聞こえるくらいに声のボリュームをあげて言い放ちました。



「罠を使う事に特化したクラスのトラップマスターです!」

「……………」


 少しの静寂の後、反対側の茂みの方から声が帰って来ました。



「――――ふふふふ。正解かもです」



 茂みから聞こえた声は、少しだけ陽気でひょうひょうとしたような感じでした。

 ただ姿を見せる気はないのか、ずっと動かずに私達を観察しているみたいです。



「相手は自分のクラスをばらしちゃったみたいだけど、よかったのかな?」

「手動式の爆弾を使えるのはあのクラスくらいなので、バレても問題無いと思います。というかバレた所でどうとでもなると言う方が正解でしょうか――――」

「もう1人は何使ってるんだろ?」


「それはまだわかりませんが、おそらくトラップマスターと相性の良いクラスだと思います。少なくとも遠距離攻撃は持っていないですね」

「――ん? なんでそんな事解るわけ?」

「もし使えてたら、忍さんはとっくにやられていますから」

「あ~、ははは……」




 忍さんは乾いた笑いで誤魔化そうとしましたが、次からは気をつけてほしいものです。


「ひとまず対策を考えましょう。トラップマスターの弱点としてはトラップの作成にアイテムが必要だと言うことです」

「それって別に普通じゃない?」

「トラップを1つ設置するのにそれなりの素材となるアイテムが必要なので、持てる数に限りがあるこのゲームでは所構わず作っていたらすぐに手持ちアイテムが無くなってしまうので考えて設置しなくてはいけません。――――さっき忍さんを引っ掛けた感じのように」



「あっ、あれは何かアイテムが落ちてたから仕方ないでしょ!」

「――――ともかく。罠の起動スイッチになるような物や遠隔操作出来る物は全て目視が出来るようになっているので、注意深く探せは確実に見つけられます」

「なるほど、完全に見えなかったら強すぎだもんね」


「それと本人は罠の設置と起動しか出来なくて、直接攻撃する手段が無いので近距離になったらこっちが一方的に攻撃する事が可能です。なので、味方を防衛するのが強いクラスと組んでいる事が結構多いですね。――――ちなみにガイドブックに書いてあったトラップマスターを防衛する人気ランキングの1位は近衛騎士でした」


「――最後の説明いる?」

「いります! ――それと最初に言ったようにアイテム消費が激しいので敵を倒したらすぐにアイテムの回収をする場合が多いのでそこを狙い撃ちされてやられてしまう事も結構あるようですね」


「そっか、トラップを沢山設置するためにはアイテム回収が必須になってくるのか」

「ただ、あいにく残っているのは私達とあの人たちのチームだけなので最後のは忘れてもいいと思います」

「――――りょ~かい。じゃあこれからどうしよっか?」



「おそらくこの辺りには罠が沢山用意してあると思うので、ひとまず離れましょう」

「じゃあ逃げて相手のアイテム切れを狙う作戦で行く?」

「そうですね。それが一番現実的だと思います」

「よ~し、そうと決まったら」

「ここから離脱です!」



 私達はひとまずこの場所からひとまず離れる事にしました。

 ここに向かってきた道を戻れば罠を仕掛けられている可能性は無いと思うので、まずはセーフエリアギリギリの所まで戻ってから相手チームのアイテムが尽きてトラップが設置できなくなるまで逃げ回る事にします。


 出入り口のある建物の中で戦うならともかく、好き勝手走り回れる森の中なら設置出来る数がそこまで多くないこのゲームのトラップに引っかかる確率も低いでしょうし――――。


「――――ふぅ。なんとか到着しました」


 私達は何とか安全な場所まで移動出来たのですが、気になることが1つだけありました。

 それは、私達が逃げ出してからトラップマスターさん達が逃げる私達を追跡しようとはせず、ずっと反対側に隠れ続けていた事です。 


「ねえ、桜。あいつら追ってこなかったんだけど何でかな?」

「さあ? 現状では何とも言えませんが、この辺りにはトラップが仕掛けられてないからではないでしょうか?」


「けど、これで相手の位置がわかんなくなっちゃったね~」

「おそらく待ち伏せしていた場所には他にもトラップがあったと思うので、あのままあの場所にいるよりは良かったと思います」

「あっ!? 桜、またセーフエリアが小さくなるみたいだよ」 



 私は忍さんに促されるままマップを開くと、またもや私達の場所はセーフエリアから外れてしまったみたいで、少し移動をしないといけなそうです。

 ただ1つ幸運だった事は、さっきトラップマスターさん達が隠れていた場所もセーフエリアから外れた事です。



 これであの周辺に仕掛けられたトラップは全て無駄になってしまったので新しく拠点を作る必要があるのですが、残ったプレイヤーが少なくトラップを作れる素材が木くらいしか手に入らない森の中では、もうさっきの爆弾みたいな物はあまり多く作れなくなっていると思います。 


「忍さん、見晴らしのいい高い場所を確保しましょう。今の私達の位置は相手にバレてないので、急げば有利なポジションで戦えます」

「けど途中に罠が仕掛けられてたりしないの?」


「まだ結構残されているエリアは広いので、相手も強力なトラップは闇雲に仕掛けていないと思います」

「なるほど、じゃあ矢とか落とし穴を気にかけとけばいいのかな?」

「そうですね。牽制用のトラップは仮に引っかかっても致命傷にはならないので、今は多少のダメージは覚悟して場所の確保を急ぎましょう」



 私達はマップにマーカーを設置して最短ルートを表示させると、そくさまその場所に向かって走りだしました。

 トラップマスターさん達があの場所から動いていないとしたら、今の私達が今いる場所から最短ルートで向かえば絶対に私達の方が早く到着します。


 私達が高いポジションを取ることが出来たらわざわざ逃げ回る必要もなくなって、高い位置から相手の場所を確認しながら忍さんがファイアーボールで樹を焼きながら狙撃して、私は魔法を放つ忍さんの防衛に撤すれば私達の勝ちは確実になると思います。

 

「忍さん、後ちょっとです」

「警戒してたのに1個も仕掛けられてなかったね~」

「まあ相手も私達が向かう場所を解ってるわけじゃないので、無駄にアイテムを消費するのを避けたのでしょう。この調子で――――――忍さん、止まって下さい!」

「――――え? なんで? ――――――――――キャッ!?」 



 突然私達の前でドカンと爆発音が聞こえて来た瞬間、完全に油断していた私達は少しだけ足を止めるのが遅れてしまい、爆発ダメージを少し受けてしまいました。 


「ケホッ――――ケホッ――――。桜、大丈夫?」

「――――なんとか致命傷は避けることが出来ましたが、どうしてトラップがこんなピンポイントな場所にトラップが」


 歩くルートが複数ある森でどうして私達の通るルートを解っているかのように素材が沢山必要な地雷トラップが仕掛けられていたのでしょうか。

 終盤でアイテムの出し惜しみをしている場合じゃないのは解っているのですが、それにしてもとりあえずで仕掛けておくレベルではないトラップが仕掛けれていたのは――――。


「桜、急に立ち止まってどうしたの?」


 私は忍さんの声にハッとなり現実に引き戻されました。

 どうやら数秒の間、立ち止まって考え事をしていたみたいです。



「すみません。今は考え事をするより一刻も早く移動する事が重要でしたね。このトラップも偶然私達が通る場所に置かれていただけの可能性もありますし――――」



 私はちょっとだけ嫌な感覚に包まれたのですが、そんな偶然何回も続くわけがないとマップを進んで行くことにしました。


 ――――けれどすぐに、どうやらさっきのトラップは偶然仕掛けられた物では無かった事が判明してしまうのでした。 


「忍さん。またトラップです!?」

「えっ!? またっ!?」 


 私達は再び足を止め近くにある足元に張られている糸に落ちている石を投げつけると、その場所にどこからか矢が飛んできて地面に着弾した瞬間、紫色の煙を出しなだら消えていきました。 


「――――何か妙です」

「あれ。普通の飛矢なら森に素材アイテムが沢山落ちてるんじゃなかったっけ?」

「はい。確かに普通の飛矢でしたらそうなのですが――――消える瞬間に紫色の煙が出ていたのであれは毒矢です」


「えっと―――――つまりどういう事?」

「毒矢はそれなりにレアなアイテムを使うので何となく敵がここに来そうで設置出来るトラップではありません。さっきの地雷といい、まるで相手は私達が通るルートが解っていてその場所にトラップを設置しているような――――」

「う~ん。それって相手の位置が解らないとそんな事は無理じゃないの?」

「そうですね。――――ん? 相手の……位置が…………?」 


 ――――あれ? 私の中に何か引っかかる物がありました。


 たしかそんな事が出来るクラスが1つだけあったような――――。

 私は頭の中に刻み込まれているガイドブックのクラス一覧が書いてあるページを1ページずつめくっていくと、私は遂に答えに辿り着いたのでした。 


「忍さん理解りました。マッパーです!!」

「裸になって何か悪いの?」

「――――忍さん、それはマッパです。マッパーとはマッピングに特化したクラスで、低クラスだと素材の位置が解る程度なのですが、高ランクのマッパーになると相手の位置が解るようになるんです」


「なにそれ!? ずるいじゃない!?」

「確かに相手の位置が解るのはかなり強いのですが、いくつかデメリットもありますし。それに、位置が解る範囲もそこまで広くはないのでセーフエリアが小さくなった終盤で輝くタイプのクラスです」


「えっと、今は終盤なんだけど?」

「…………はい。なので恐らく中級マッパーでも今のセーフエリアの範囲だと半分くらいは把握出来ていると思います」

「つまり相手はマッパーが私達の位置を調べて、先回りしてトラップを仕掛けてたってわけ?」

「そうですね。その考えで間違ってないと思います」



 ――――そうなってくると、今の状況はかなり危ないですね。

 たぶん私達が向かおうとしている場所もマッパー相手だとバレバレになっていると思いますし。



 ここは罠に警戒しながら少しづつ――――。


「ねえ、桜。何か変な音が聞こえない?」

「音ですか? そう言えばさっきから何かゴロゴロという感じの音が聞こえてきているような――――」 


 私は耳をすましてみると、どうやら音は私達がいる場所の上の方から聞こえてきているみたいです。


 それに何だが音が大きくなるにつれて、地面が揺れているような――――。

 私は「はて?」と上を見上げてみると、直径5メートルはある巨大な大岩が私達に向かって、森の樹をなぎ倒しながら転がってきていました。 


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