バトロワ編 その8
――――そうこうしている内に目的地の小屋が見えて来たのですが、何やら少し周辺の様子がおかしいみたいです。
「……ねえ桜。なんか変な音が聴こえない?」
「いえ。これは音というより…………声、でしょうか?」
「声って。誰かがボイチェンでも使ってるのかな?」
「忍さん。嫌な予感がするので、少し迂回してあそこの高台に行って様子をみましょう」
私達が向かっている小屋の方からは少し低くてくぐもったような雄叫びが沢山聴こえてきました。
ボイスチェンジはデフォルトの機能として実装されているので変わった声で喋っている人は結構いるのですが、こんな声なんてあったのかな? などと思って目的地が見下ろせる少し高い場所に着くと、私達の眼下にはオークやゴブリンといったファンタジー世界でお馴染みの敵キャラが小屋にやってきたプレイヤーを次々とやっつけています。
「――――あれは魔物使い!?」
「あれ? このゲームって全員プレイヤーが操作してるんじゃなかったっけ?」
「基本的にはそうなのですが一部例外があって、例えば魔物使いや竜騎士などはNPCの魔物やドラゴンを召喚して使役する事が出来るんです」
「へ~。そんなクラスもあるんだ」
「あるんです」
「ところで桜。これからどうしよっか? しばらく小屋を拠点にするなら魔物使いも倒さないとだめだよね?」
「そうですね。もう1人の仲間が見当たらないのでもしかしたらすでに倒されてしまって魔物使いさん1人で戦っているのかもしれませんが、魔物使いは大量のNPCを使えるので1人でも気を抜けない厄介な相手です」
「そうなんだ。――――ところで対策はあるの?」
「ある設置アイテムで聖域を作れば魔物が入って来れなくなるので、かなり有利に戦えるようになります」
「それで、それは持ってる?」
「――――はい。持ってました」
「……て?」
「少し前に忍さんが破ってしまったので――――もう無いです」
忍さんは何言っているの? みたいな感じの顔をした後に、ハッと吹雪の中の出来事を思い出した様で、少し微妙な顔をしました。
「…………あ」
「忍さんが破り捨てましたよね?」
「あ、あれはその場の勢いって言うか。そもそもあんな場所で使った桜も悪いじゃない!」
「まあ済んだ事なので今回は不問にしておきますが、次からは注意してください」
「――なんか私が悪いみたいで納得いかないんだけど」
小屋の方では魔物使いさんが放った魔物が相も変わらず大暴れしていて、他のプレイヤーが次々と倒さされています。
「ど、どうするの桜? なんだか凄くヤバイ相手みたいなんだけど――――」
「忍さん。私の今のクラスを忘れてませんか?」
「桜のクラス? ――えっと、なんだったっけ?」
「――――対魔剣士です」
「あっ!? そういえばそうだった」
「私のクラスなら魔物のメタになるので、私に任せてください」
「分かった。そういう事なら桜に――――って、それなら聖域のアイテム別に必要無かったんじゃ――」
「はい。なのでいらないアイテムを減らす為に忍さんに破ってもらいました」
「……サ~ク~ラ~?」
「――えへっ」
「笑って誤魔化すな~!」
――――ひとまずオチもついた所で私達は魔物使いさんと戦う作戦を考える事にしました。
「現状魔物の姿はありますが、魔物使いさんの姿は見えません」
「どこかに隠れてるのかな~?」
「魔物は自動行動するNPCなのですが、ある程度近くに魔物使いさんがいないと消えてしまうのでそんなに遠くにはいないと思われます。――――なので、多分魔物を放ってから小屋の中に隠れた確率が高いですね」
「じゃあ小屋の中を調べてみるの?」
「はい。私が先陣を切って魔物を倒していくので、忍さんは小屋の中の魔物使いさんの対応をお願いします。魔物は強いのですが、本人の攻撃などはそこまで脅威では無いので見つける事が出来たらこちらの勝ちです」
「――わかった。じゃあ、すぐに行く?」
「そうですね。まだ数人プレイヤーが残っているので、魔物使いさんがこちらに気が付く前に一気に攻め込みましょう」
「よ~し。それじゃあ桜、いこっか!」
「頑張って道を切り開きます!」
――――私達はひとまず小屋に一番近い茂みへと移動して息を潜めて突撃するタイミングを待つ事にしました。
「…………ところで桜? 少し気になったんだけど、桜のガイドブックって本当に役に立ってるの?」
「――――なっ!?」
「だって人が少ないって思って来たのに結構集まってきてたし、キャラ対策もなんか雑な所があったし――――」
「ちゃんと役に立ってます! 現に私達はこれまで生き残ってるじゃないですか」
「それもそうなんだけど。――――それじゃあ何でこんなに集まって来たんだろ?」
「――――それはおそらくガイドブックの愛読者が沢山残っていたんだと思います」
「え~。そんな偶然なんて―――」
「あるんです! マウマウ先生の戦術に穴なんてあるわけありません!」
「…………てかマウマウって誰なの?」
「ブレマジのガイドブック編集責任者をやっているプレイヤーです。ランキング15位の凄腕プレイヤーなんです」
「世界15位って結構すごいのね」
「いえ。マウマウ先生は日本15位で世界では95位ですね」
「95位ってなんかかなり微妙なんですけど――――」
「私の中では1位なので問題無いです」
「――――ああそう。――――って、それより何か変な声が聴こえない?」
「むぅ。まだ話は終わっていないのですが、そう言えば何か忘れているような気が――――」
気がついたら私達の後ろから何やら変な声が聴こえてきました。
低くてうねるような、そう――これはまるで魔物の鳴き声みたいな感じの…………。
「…………あ」
私は急いで後ろを振り向くとそこには魔物が数体近付いて来ていて、小屋の方からも魔物の群れが私達の所にゆっくりと近付いて来ているみたいです。
「もしかして、敵に居場所がバレた!?」
「バレたと言うよりNPCは活動範囲内のエリアに最初に入ったプレイヤーにオートで近付いて行く仕様なので、他のプレイヤーが全員倒されてしまったみたいです。――――忍さんの話が長いせいで攻撃のタイミングが遅れました」
「私のせいな訳!?」
「忍さんがガイドブックを悪く言うから――――って今はそんな事より、この状況をなんとかしませんと」
「どうする?」
「不意打ちが出来なくなってしまった以上、私達に出来る戦略は――――正面から突撃する事です!」
「……やっぱ、それしか無いか」
「では――――行きます!」
私達は隠れている茂みから一斉に飛び出して走り出しました。
目的地は正面の小屋です。
全力で走れば後ろに回り込まれた魔物に追いつかれる事は無いので、ひとまず正面の魔物を蹴散らす事に集中する事にしましょうか。
私は走りながら剣を鞘から抜き放ち、そのまま道を塞いでいるゴブリンめがけて剣を横に切り払うと、ゴブリンは一撃で光に包まれながらシュッと音を立てながら消えていきました。
「やはり相手のメタになっているクラスだとかなり有利に立ち回る事が出来るみたいです。――――忍さん、ついてこれてますか?」
「はぁっ……はぁっ…………。あの小屋くらいまではなんとか…………」
「私から離れたら一瞬で魔物に囲まれてしまうので、頑張ってついて来てください」
「じゃ、じゃあもうちょっとゆっくり走りなさいよ」
「沢山集まって来たら流石にちょっと厳しいです。魔物が少しでもバラけている内に近づきましょう」
「――仕方ない、そういう事なら頑張りますか」
「忍さん、次が来ます!」
次に向かってきたのは巨大な斧を手に持ったオークが2体です。
オークは攻撃力が高いので直撃を受けてしまったらいくら有利なクラスだからと言っても一瞬でやられてしまう可能性もあるので、ここは――――。
「攻撃のモーションに入った瞬間に倒します!」
私はオークが斧を大きく真上に振りかぶった瞬間、一気に間合いを詰めて必殺の攻撃を繰り出すと、オークも一撃の元に光に包まれながら消えていきました。
オークの攻撃パターンは2種類あり大きく振りかぶってからの強烈な攻撃とちょっと早めの横に振り払う攻撃があって、前者は隙だらけなので攻撃モーションを見てから一気にやっつける事が出来るのですが、横に振り払う攻撃だとモーションを見てから近付く事は出来ないので―――――。
「――えいっ!」
私はオークの振り払う攻撃にタイミングを合わせて剣をすくい上げるようにして攻撃を受け流すとオークは攻撃の勢いが止まらずに体制を崩して倒れ込んだので、私はすかさず追撃をくりだして2体のオークの撃退に成功しました。
――そして。私達は小屋まで後少しといった場所までたどり着くと、小屋の小窓から人影が1つだけ見えました。
私の予想通り、やっぱりあの小屋には魔物使いさんが隠れているみたいです。
「あっ!? 桜、小屋に誰かいるみたい」
「私も確認しました。小屋周辺の魔物は私がなんとかするので、忍さんは小屋に入って――――」
「そんなまどろっこしい事しなくても小屋にいるならここから先制攻撃しちゃえばいいじゃない」
「え、ちょ、ちょっと忍さん待って――――」
「ファイアーボール!」
忍さんは小屋の人影に向けて火の玉の魔法を放つと、ちょうど窓へとホールインワンを決めて小屋の中に火の玉が飛び込んじゃいました。そして――――、
「……忍さん。小屋が燃えてます」
忍さんの放った炎属性の魔法は木で出来た小屋に引火して、そのまま炎が小屋を包み込んでしまいました。
「えっ!? このゲームの建物って燃えるの!?」
「忍さん。最初のチュートリアルで説明があったはずなのですが――――」
「えっとほら、私って学ぶより慣れるタイプだから」
「――つまりチュートリアルをスキップしたんですね」
ちなみに私は説明書を読み込んだ後にチュートリアルを一言一句見逃さすに全て読んでいるのでシステムの理解度は完璧だと思います。
それに、後からそんなシステムがあったなんて知らなかったなどと言う訳にもいきませんから。
……忍さんみたいに。
――――私が燃えている小屋を眺めていると、突然小屋の扉が開いて中にいた人物が外に飛び出してきました。
「熱っつ、熱い。あちちっ」
「――――仕方ありません。少し予定と違いますが制圧します!」
私は小屋から出てきた魔物使いさんに向かって突撃して行くと魔物が私の行く手を阻むように次々と立ち塞がって来たのですが、NPCのパターン化された攻撃はここに来るまででタイミングはバッチリ掴めていたので難なくいなして進むことが出来ました。
「お前か、小屋を燃やしたのは!?」
「――私じゃないです」
「もうこの際誰でもいい。それに、お前たちを倒して物資を補給しないと小屋の修理が出来ないからな」
「こっちも負ける気はありません!」
どうやら私達をやっつけてから素材を集めて燃えてしまってバリケードの意味を無くしてしまった小屋を直すみたいですが、私達もそう簡単にやられる気はありません。
私は剣を握り直して魔物使いさんに攻撃をしようと走り出すと魔物使いさんも武器を構えて私の方へと走ってきました。
魔物使いさんの武器は小剣(ダガー)なので威力、射程共に私の持っている剣の方が有利です。
攻撃速度だけは相手の方が少しだけ早いのですが、後ろからクリティカルヒットでもされない限り私に大ダメージを与える方法は無いはずなので、ここは気にせずに正面突破で一気に決めます!
忍さんのファイアーボールで多少のダメージは受けているはずなので、直撃を与える事が出来たら一撃か二撃でやっつける事が出来るはず。
――私は魔物使いさんの攻撃を軽く受け流す事に成功したので、後はがら空きになった胴体に攻撃をすれば私の勝ちです。
「――もらいました!」
私はトドメの一撃を繰り出そうと振りかぶった瞬間、後ろから私を静止する忍さんの声が聞こえてきました。
「桜後ろっ!?」
「――後ろ?」
小屋の壁は燃えてしまったので、隠れる事が出来る場所は無いので他には誰もいないはず。
足音もしなかったので遠距離から弓での狙撃の可能性?
――私は横目で後ろを見ると、そこには巨大な斧が襲いかかってくるのが見えました。
「――なっ!?」
そこにはNPCである魔物が私に攻撃を繰り出そうとしていたのです。
このままだと直撃を受けてしまいやられてしまいます。
「ファイアーボール!」
もう駄目かと思った刹那、忍さんの魔法が魔物に直撃して魔物の体制か少し崩れたので、私は剣を盾代わりにして何とか直撃は避けたのですが、そのまま勢いで少し吹き飛ばされてしまいました。
「桜。大丈夫?」
「――――っ。――はい、何とか」
NPCの攻撃はパターン化されているので攻撃を避けるのは慣れたら簡単に出来ます。
しかしそれはあくまで正面から攻撃モーションが見えている時であって、さっきみたいな後ろからの不意打ちはそもそも攻撃モーションが見えないので攻撃を受けてしまう事が多いのです。
小屋の中で戦っていたら魔物は大きさ的に中に入れないので1VS1の楽な戦いだったのですが、魔物使いさんが外に出た事でNPCの不意打ちも考慮しなくてはいけなくなってしまいました。
というか、そもそも魔物使いさんの相手は忍さんが担当するはずだったのに、何故か私が戦っていますし。
「――――忍さんのお蔭で助かりましたが、忍さんのせいで大ピンチです」
「な、なによそれ!?」
そんな事より結構厳しい状況になってしまいました。
周辺を確認してみると予想より魔物の数が多くて、しかも私達の周りを囲むように集まって来ているので、あまり戦闘を長引かせる訳にもいかないようです。
「キャッ!? サ、桜。なんかこっち来たんですけど!?」
後ろではいつの間にか忍さんが魔物に囲まれそうになっていて、忍さんは魔物を近付かせないように魔法を連発して足止めをしているようでした。
「忍さん。あまり無駄撃ちをするとマジックポイントが無くなってしまいます」
「そんな事言われたって、こんなの無理だから!」
メニュー画面から忍さんの状態を確認してみると、忍さんのマジックポイントが凄い勢いで減っていっているのが確認できました。
魔法が連発できるのもあと数秒といった感じでしょうか。
「絶体絶命です!?」
落胆する時間も与えてくれないのか、厳しい状態の私達に遠距離から更に追い打ちの矢が飛んで来ましたが何とか剣で叩き落とす事が出来ました。
もしかして魔物使いさんのチームの人がまだ残っていたのでしょうか?
けど、それにしては私を撃ってきたタイミングがかなり遅かったような――――。
そして、一瞬だけ遅れて2本目の矢がすぐに飛んできました。
流石に2本目の矢を放つのが早すぎます。連射スキルは上位職の狩人じゃないと持ってないはずなのに何で!?
私は直撃を覚悟しましたが2本目の矢は私の横をかするように突き抜けて飛んで行きました。
魔物使いさんも直撃は何とか防ぐ事が出来たみたいんですが、タイミングが遅かったのか右肩に矢がかすって軽ダメージを受けてしまったみたいです。
これはもしかすると私と魔物使いさんを同時に狙撃でやっつけようとしたのでしょうか?
「桜。何が起きたの!?」
「どうやら他のチームが私達に気がついて狙撃してきたみたいです」
「えっ!? それって挟み撃ちされてるって事!?」
「状況的にはそうなりますね」
今の状況を整理すると前方に魔物使いさんが1人で右側面におそらく弓を使うクラスが2人、そして左側面には燃え尽きた小屋があって後ろには魔物に囲まれそうになっている忍さんがまだ必死になって魔法を放っていました。
体力の少ない魔法使いの忍さんを狙えば胴体に当たっても一撃で倒すことが出来たと思うのですが、魔物に囲まれていたので魔物が遮蔽物の代わりになってくれていたのが幸いして標的にされなかったみたいです。
私と魔物使いさんを同時に遠距離からやっつけて、魔物が消えた後に忍さんを狙うといった感じの作戦だったのでしょうか。
「――――けど、これで何とかこの状況を打破できそうです」
他のチームと戦っている最中に予期せぬ第3勢力の介入。
そう。これがこのゲームの怖さでもあり、そして――――面白さでもあるんです!
「忍さん。私と右の森の間にファイアウォールを使ってください!」
「えっ!? わ、わかったけどそんな事して何か意味あるの?」
忍さんが魔物の攻撃を避けながらなんとか詠唱を終わらせると、私の右側に火の壁が出現しました。
そして、森の方から次の矢の連射が放たれて来たのですが、
「な、何でこっちだけ狙うんだ!?」
私は狙われずに魔物使いさんに2本の矢が飛んでいき1本はダガーで弾けたみたいですが、もう1本の矢が胴体に直撃して大ダメージを受けてしまったみたいです。
忍さんには魔物が、そして私にはファイアウォールが遮蔽物となり狙いを付けられなくなってしまったので、森から狙撃している人達は魔物使いさんを狙わざるを得なくなってしまった訳ですね。
――――まあ、そのまま離脱してしまったり矢を放つ場所を変更する為に移動されたら危なかったので賭けではあったのですが、どうやら上手くいったみたいです。
「今です!」
私は森にいる人達が次の矢を構えるタイミングでファイアウォールから飛び出して行き、魔物使いさんに攻撃を繰り出すと一撃で倒すことが出来、魔物使いさんは光に包まれながら消えていきそこには宝箱が1つ残りました。
どうやら矢のダメージがかなり効いていたようで、残り体力がかなり少なかったみたいです。
「いそがないと」
私は急いで宝箱を開き使えそうなアイテムを急いで判断して入手していきながら後方にいる忍さんに聞こえるくらいの声を上げました。
「忍さん。急いでここから離れます!」
「急いでって、魔物は? ――――って、あれ? いなくなった?」
「魔物は魔物使いさんを倒した事で消えました。――――それより、早く逃げないと狙い撃ちされてしまいます!」
ここは隠れる場所がほとんど無い平原です。唯一隠れる場所にする予定だった小屋は忍さんが燃やしてしまったので、もうここには狙撃から身を隠せるような場所は何も無いと考えたほうがいいと思います。
忍さんもマジックポイントが尽きかけているのでファイアウォールを撃てるのも後1、2回――――もしかしたら、すでに撃てるだけのマジックポイントが残っていない可能性だってあるのですから。
「このまま真っ直ぐ行けば身を隠せる場所があるので急ぎましょう。忍さん、マジックポイントはどれくらい残ってますか?」
「ごめん桜。連発しすぎてファイアウォールを撃てるまで回復するのはちょっと時間がかかるかも」
「――――ふぅ。やっぱり、そんな事だろうと思ってました」
「や、やっぱりって何よ! それにさっきの状況ならしょうがないでしょ!」
「まあ今回はそういう事にしておきますね。では――――ついて来てください」
「りょーかいっ!」
私達は次の攻撃が来る前に狙撃をしてきた人達がいる場所の反対の方向へと駆け出しました。
止まっているより動いている方が狙いが付け辛いので、そう簡単には相手も命中させる事は出来ないはずです。
「忍さん、ジグザグ作戦を使いましょう」
「あ~、あれか。ちょっと苦手だけど使うしか無いみたいね」
「それでは、ジグザグ作戦発動です!」
「お~!」
私達は左右に軽く揺れるようにして走る事にしました。
こうする事でただ真っ直ぐに走るだけよりも相手の攻撃が命中しずらくなるので、かなりオススメの作戦です。
同じタイミングで左右に揺れているだけだとタイミングを読まれてしまうので、適度に同じ方向に移動する事がこの作戦のコツです。
「桜こっち来ないで!」
「忍さん、タイミングを合わせて下さい。――――3―――2―――今です!」
ぶつかりそうになった私達は軽くジャンプしながら横に回転するようにヒラリとお互いをかわしました。
「着地成功です」
「いえ~い。ひゃっくて~ん!」
「ついでにアイテムも少し回収して行きましょう」
「えっ!? そんな余裕ある?」
「こうするんです!」
私達の前には魔物使いさんの召喚した魔物にやられた人達の宝箱がいつくか乱雑に転がっていました。
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