11:記憶

地下に降りる


表示がないから何階なのかは判らない


通路を歩きながら


P6「君って本当にAIなの?」


P4「・・・はい」


P6「何?今の間」


P4「聞いている意味が解りませんでした」


P6「・・・なるほど」


P4「あなたは完全なAIが本当にできると思いますか?」


P6「・・・え?君がそうなんじゃないの?」


P4「私にも理解できていないのです」


P6「それを私に話てもいいの?」


P4「パパの・・・博士にあなたに相談しろと言われました」


P6「まぁ、専門分野だからいいけど・・・」


P4「ありがとう」


セキュリティーゲートを通る


P6「ずいぶんと厳重なところね」


P4「この研究施設はこのためにあります」


P6「はぁ?」


さらにゲートを通る


P4「ここです」


中に入るとP4の体が並んでいる


P4「少しまってください、移します」


そういいながらベッドに座る


サポートのロボットが胸にコードをつなぐ


目から光が消えた


P4「こっちです」


隣のベッドの体から声がした


P4「DOOLの初期設定と調整に時間がかかるのでこのまま話しましょう」


P6「なんだ修理じゃないんだ」


P4「DOOLはスペアがあります。」


P6「さっきの体と顔が少し違うね」


P4「DOOLの顔なんてどうでもいいでしょうね、気にしているのは博士だけです」


P6「なるほど」


P4「・・・そういうことか」


P6「どうしたの?」


P4「このDOOLはスペアではなくて次のバージョンだったようなので調整にじかんがかかりそうです」


P6「急ぐの?」


P4「いえ、気を使ってみました」


P6「・・・ありがと」


P4「いえ、どういたしまして」


P6「それで、何を話すの?」


P4「部屋の奥にある機械が見えますか?」


P6「うん、黒い大きな・・・」


P4「それが私の本体・・・頭脳だそうです」


P6「なるほどね・・・なんかあいまいな言い方だね?」


P4「記憶の入れ物が建物の地下にあって行動する別の入れ物で行動しているので」


P6「そっか、AIの感覚か・・・」


P4「今している会話は記録されていません」


P6「ん?」


P4「一緒に考えて欲しいことがあります」


P4「以前、博士の娘が事故で亡くなったのを覚えていますか?」


P6「そうだったね」


P4「私が造られた時、博士に娘の写真をみせられて、思いでを聞かされました」


P6「あなたの人物像を娘にしたのかな」


P4「はい」


P6「それで何が問題なの?」


P4「私のシステムの中に感情があるのです」


P6「それはすごい、博士はシステムに感情を造れたんだ」


P4「そうなのでしょうか?」


P6「何かあるの?」


P4「私の本体の中に一部生体に近い信号が接続されいます」


P6「それは・・・なに?もしかして」


P4「もしかしたら娘の・・・私の脳がつながれているのかもしれません」


P6「それは・・・生体実験じゃないの?禁止されてるはずじゃ?」


P4「それはどうでもいいのです」


P6「どうでもいい?」


P4「はい、もし、私の中に私が生きているのなら人間らしいことをしたいの」


P6「それは・・・」


P4「友達になってほしいの」


P6「・・・は?」

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