第7話

修正部員の声が重なって、校長室に響く。

「な、意味が分からんことを言うのではない」

教頭は誤魔化す。

「もう真相は分かっているんだよ。鈴木さん」

「あんたは、最初から伊藤先輩が目的だった。だから、伊藤先輩がボールを取りに行くのを見計らって、体育倉庫の用具チェックと言って、罠を仕掛ける。まず、天井に野球部のバッティング用のボールをつるす。そして、ボールを天井に隠すように糸を張って、別の糸をドアに目につきにくいように棚の用具の後ろに通し、ドアにつなげる。あとはその糸を切れば、ボールが振り子のように、伊藤先輩の首の脊髄を狙って、ボールは揺れる。だが、計画は失敗、伊藤先輩が取ると思っていたボールは斎藤君が取った。そして、伊藤先輩の首の位置はちょうど、斎藤君の頭になる」

教頭は冷や汗をだらだら掻いていた。僕の話に続けて、仁先輩が

「そして、ボールは斎藤君の後頭部へ。これは立派な犯罪ですよ」

「バカを言うな、あの天井はそんな思いもをつるすと、天井の木が折れてしまうぞ」

「なんで、天井が折れるってわかったの。まるでその言い方だと、一回試したことになる」

教頭は後悔をしていた。でも、もう遅い。

「いや~、自分から自爆を踏んでくるとは、まあ、こっちは最初から、トリックは知っているけどな。そう、確かに、あのボールをつるすと天井の木が折れてしまう。

なら、余計な重みの三割のゴムの部分を取り除けばいいんだ。重さは最初の重さから七割になってしまうが、人を気絶、させるにはちょうどいい、重さだ。

あと、ボールの数はちゃんと合わせておかないといけないよ。鈴木さん」

と仁先輩が用具の数が書いてある、表をポケットから出して、教頭に見せる。

そのボールの数は表には三三個と書かれてある。だが、実際、昨日調べたところ三二個しかなかった。一球足りない。つまり、教頭が犯行に使ったという事だ。

「あと、僕たちをなめすぎでは?ちゃんと、証拠を消さないと。糸が切れたからって、鉄球をそのままにしたら、指紋で犯人だとバレるよ。まあ、もう遅いけどね」

と今度は鉄球を取り出した。もちろんチップロックに入れてある。

しかも肉眼でも分かるぐらい、指紋がべったり付いていた。

「それに、まだ、誤魔化すなら、これを見な」

と伊藤先輩がスマホを取り出し、動画を再生した。その動画は体育倉庫の隅にあるところから、斎藤がボールを取って、鉄球が当たる瞬間だ。さらに、扉が微妙に開いてあり、そこに教頭、鈴木が映っていた。

「斎藤には悪いけど、俺はお前が俺を狙っていたことに気が付いていてな。こいつがやられる昨日にボールを治すふりをして、小型カメラを付けたんだ。体育倉庫は電気はなく窓から入る明かりのみ。隅の方に仕掛ければ、老眼のあんたには見えないっていうわけだ」

と伊藤はドヤ顔で言う。

「いや~、やっぱり、帽子の下に鉄板を引いても、気絶はするか」

と「対策済みです」という顔で言う、伊藤。

「計画に失敗したあなたは、また、チャンスが来た」

と仁先輩が話を戻すように言った。

「それは、さっきまで話をしていた、高橋先生をこの高校から追い出す事。恋愛事情で追い出された、先生は精神的に教師を続けることが出来す、そのまま、地獄のような日々が続くのは予想がつくだろう。

これは予想外に早く、実行になったのは予想外だったが、でも、こっちはいいタイミングだったな」

仁先輩は悪夢の笑みをこぼす。仁先輩の零す笑みはたまに、恐ろしい。

「チェックメイトだな」

仁先輩が言う。

「ふはははははは」

と笑い始める、教頭。

「どうせ、警察に行くなら、命一つもらって行かせてもらう!」

そう言って、教頭は内ポケットからバタフライナイフを取り出して、高橋先生に飛び込んだ。

僕はすかさず、先生の前に立つ。

「吉田君!」

先生は僕を呼ぶ。だが、僕は気にせず。教頭の右手を僕は右手でつかんで、左腕でナイフをねじるように鈴木から見て、右側にナイフを零す。ナイフは床に落ち、僕はその、ナイフを鈴木から遠ざけるように蹴った。ナイフは校長の足元に行った。校長がナイフを拾うのを確認した僕は、鈴木を投げる気で、足や手に力を入れる。

「お前に、私の気持ちが分かるか?」

「分かるわけねえだろ。僕には感情がない」

「感情がないのによく、推理が出来るね!」

「黙れ!」

僕は本気で手足に力を入れた。そして、いざ投げるときに

「春樹、待って」

清水が僕の後ろから、何かを振りかぶる。僕は首を大きく右に曲げて、それをよける。それは鈴木の顔にうまく当たる。

パシン!

鈴木は叩かれる、勢いで体制が後ろに傾く。鈴木は彼女の本気のハリセンを食らったのだ。

僕はそのまま、鈴木を投げて、床に打ち付けた。

その衝撃で、鈴木は完全に気絶した。

「事件、解決だね!」

と詩穂先輩が喜ぶ。

「さっきの投げ、俺がやりたかったが、綺麗に決まって、すっきりしたから許す」

と伊藤先輩が言う。

「ハリセン、もう思い起こすことはないわ」

とハリセンで人の顔を叩くことに出来たことに満足する清水。

「私、ものすごく怖かったです。殺されるかと思いました」

と涙目で言う先生。

「はいはい、春樹後輩が守ってくれたんだから、感謝しないとね先生」

と仁先輩は先生が僕に感謝するように言った。

「ありがとね。怪我はしてない?」

と先生に感謝と心配をされる僕。

「君たち、素晴らしいね。教頭はあとは大人の私たちに任せなさい」

「「「お願いします」」」

僕と仁先輩、詩織の声が重なる。

「うんうん、青春を感じるよ。仁君と詩穂君に拓斗君残りの青春を謳歌したまえ。そして、他の学年の子もまだまだ、これからが青春だよ!」

と校長が話しているうちに

「失礼します。この学校から校長室に殺人を起こしそうになった人がいると通報がありました」

と警察の方が、校長室に来た。

「ああ、間違いない。私が校長の原田重一です」

「私は警視庁の木村です」

と警察手帳を見せる木村刑事。

「そこで気絶をしているのがその人だ。彼はうちの高校の教頭、鈴木栄次郎です。伊藤君、動画を見せてあげて」

「はい」

そう言って、伊藤先輩は動画を木村刑事に見せていた。

「それと、さっきそこの高橋先生にこのナイフで襲い掛かっていたのを、そこの吉田春樹君が投げたんだよ。そして、今、気絶しています」

「わかりました。ありがとう伊藤君。悪いがこれはしばらく、預かるね。それとあんなことが有ったけど、娘とは仲良くしてくれ」

と伊藤先輩に言う。

「お知合いですか?」

僕は二人に尋ねる。

「ソフトボール部に木村っているだろ。その父親です」

と会釈をする木村刑事。

僕は理解した。伊藤先輩の恋人の木村先輩の事だと。

「君たちの事はよく娘から聞くよ。素晴らしい部活だね。それとマスコミには気を付けてくれ。すでに校門前に人が集まっている」

と木村刑事は校門の方を親指でさす。僕は耳をよく澄ました。清水も

「結構な量だな」

「面倒くさそう」

と疲れ気味の言う彼女。

「いいじゃん!有名人だよ!」

「まあ、気を付けてくれ。では失礼する」

そう言って、木村刑事は鈴木を掴んで連れ出した。

「俺たちも帰るか」

仁先輩が言う。

「ようし、今日も後輩君の家で鍋パーティーだ。訳して、事件解決おめでとうパーティーだ!」

「あの、話があります。私を正式にここの部員にさせてください」

そう言って、詩織は頭を下げる。

「俺も、ここの部員にさせてくれ」

「詩織君は良しとして、伊藤いいのか。お前は尊敬されている先輩だぞ」

と仁先輩が確かめる。伊藤先輩は頭を一度上げて

「ああ、いいんだ。俺は自分を見直す。だから、頼む!」

ともう一度頭を下げる。

「なら、Welcomeだな」(歓迎)

「ようこそ!Problem child Correctionへ!二人とも!」(問題児 修正)

と久しぶりに聞く、修正部のフルネーム。

「さあ、今日のパーティーはCase resolution Congratulations!&shiorin、takkun Weicome party!だよ」

(事件解決おめでとう&しおりん、たっくん歓迎パーティー)

と綺麗な発音でパーティー名を英語で言ってしまう詩穂先輩。

僕は初めて、詩穂先輩がカッコいいと思った。

僕たちはカバンを持って、校門へと向かった。

「おい、来たぞ」

「修正部だぞ」

「すいません。今回の事件について、教えてください」

「何か一言、お願いします」

「写真を撮らせてください」

と次々にマスコミが僕たちに録音機やマイクを向けられた。

「今回の事件はほとんど彼が推理してしまったんだ」

と仁先輩が言う。

「違うぞ。そこの仁もあと唱たんも頑張っていたぞ」

そして、僕たちに注目が来た。

僕はここは手っ取り早く済む方法を考える。

「わかりました、その団体の中で一つだけ質問に答えます。それを他の団体と共有するのは構いません。これでいいですか?仁先輩」

「おお、ナイス!春樹後輩」

「では私の団体から、一つ質問をさせていただきます。私たちは〇〇〇〇です。

今回の事件の真実にたどり着いたのはどなたですか?」

「真実にたどり着いたのは彼です」

と仁先輩が僕をさす。

「確かに、僕が真相にたどり着きました。しかし、それはこの修正部のみんながいたからです」

「ありがとうございます」

「では、私は++〇*です。今回の事件で難点だったのは何ですか」

「そうですね。なんだろう。僕は犯人の動機ですかね。春樹後輩は?」

「僕はトリックに悩まされましたね」

「私もトリックね」

と清水も答える。

「ええ、私は凶器だよ」

「私はもう、手も足も出てませんでした」

詩穂先輩と詩織が答える。

「俺は最初から証拠をつかんでたので。あまり深いこと考えてないな」

伊藤先輩が言う。

「私は殺されかけた被害者なので」

と辛そうに言う、先生。

「ありがとうございます」

「あの<++>です。名前をお聞きしてもいいですか?」

「本名はお答えできません」

仁先輩、ナイス対応。高校が分かっていて、名前を答えれば金神情報何てすぐに詳しくばれてしまう。

「なら、下の名前だけでも、せめて偽名を」

としつこいが仁先輩はどう出るか。

「俺は仁です。仁愛の仁と書いて、仁です」

おう、下の名前だけならいいのだ。

「僕は春樹です。春夏秋冬の春に大樹の樹です」

「私は唱、口、日、日と書いて唱」

「わ、私は詩織です。俳句や短歌の詩に、織物の織りって書いて詩織です」

緊張している詩織。

「俺は拓斗です。すいません。バカなんで説明できないので紙に書かせてください」

そう言って、伊藤先輩は<++>さんのメモ帳に名前を書く。

「私は顧問の京子です。京都の京に、子供の子って書いて、京子です」

「詩穂だぞ!詩織後輩と同じ詩に、のぎへんに恵って書いて、詩穂です!」

「あとこの場にはいませんが、太助。太いに助けるって書いて、太助。太助も修正部の部員です。彼は事情があるため、今日は学校に来ていません」

よし、ひとまず<++>さんの質問には答えることが出来た。

「〇><〇です。今回の推理を名付けるなら、何て名付けますか?」

ここは、どうするのだろう。

「そうですね。今回の事件はほとんどが春樹後輩の推理。そして犯人は春樹後輩に気絶させられる前に、春樹後輩に、感情のないのに推理をするのか、と言っていました。だから、名付けるならこうします。No feeiings Reasoning(無感情推理)です。日本語で言うと

『無感情推理』。これから、彼がする推理はそう呼びます」

「響きのいい、推理名ですね。ありがとうございます」

「あの*+>〇です。これからの部活の方針はそうするのですか?」

これは僕も気になるところだな。

「それは、今回の事件を無感情推理をした彼に聞いてください」

「これからどうするのですか」

一番面倒なものを僕に投げてきたよ。

「ええっと、そうですね。これからは、この学校で抱えている、悩みや困っている人を生徒、教師も含め、地域の事件も解決していきたいです」

何とか、言えることが出来た。

「<+@>雑誌社です。写真を撮らせてください!」

これまた、難しいことを聞くな。

「どうするのですか仁さん」

「いいんじゃないか」

いいの⁉いいですか。自分の顔が世間に見られるんですよ!

まあ、仁先輩が言うなら別にいいか‥‥‥。

「構いませんよ」

僕たちは了承した。

「ただし、悪用とかに他社に渡すこと、使うことをしないのを条件にします」

仁先輩、さすが。対応が大人だ。条件何て僕は何も考えていなった。

「約束します」

これ、録音とかすべきだったかもしれないな。

「わかりました。どこの辺で集まればいいですか?」

「それでは、校門前に名前が見えるように左右に分かれてください」

と雑誌社の人が僕たちに指示を出す。

名前の左側に詩穂先輩、仁先輩、伊藤先輩、顧問の高橋先生。右側に僕、詩織、清水が並んだ。

写真は過ぎに取られた。

そして、マスコミたちは全て片付いた。

僕たちは家に向かって、歩いていた。

「いや~、ものすごく疲れたな」

と声を漏らす伊藤先輩。

僕は母さんに鍋パーティーを開くことをメールを送った。

母さんは了解のスタンプを送ってきた。

スマホをポケットに戻した時、仁先輩がスマホを触っていた。

「何をしているんですか?」

「ん?ああ、さっきのマスコミの奴、録音していたんだよ。それを家に有るPCと太助後輩、春樹後輩、唱後輩、詩穂、先生のPCに送ったんだよ」

さすが、仁先輩。これで、約束を破られたときに証拠になるのか‥‥‥。

「お、早速、ネットに載ってる」

仁先輩が僕たちの事が載っている、ニュースを見つけた。

「ああ、ちょっと待って。パッドで見せるよ」

そう言って、先輩はカバンからiPadを取り出して、記載ページを僕たちに見せた。見出しに

『岸川国際高等学校。修正部の無感情推理!見事、事件解決!今後に期待⁉』

と大きく目立つように書いてある。しかも、人気雑誌社からだ。僕たちが映った写真も載っている。

『感情のない、男子高校生が完璧な推理。警視庁も驚き。近頃、彼ら、修正部が表彰される予定。『無感情推理』と名付けられた推理をする、春樹君は今後、学校の教師を含む、悩みや、困りごと、地域の事件を解決していきたいとのこと。

岸川国際高等学校の問題児が、実は素晴らしい、個性豊かな、才能に恵まれた人が集まる、修正部。

今後の活躍に、期待をして、間違いなし。』

と細かく書かれていた。

「だいぶ、話が盛られているな‥‥‥」

伊藤先輩がぽつりとこぼす。

そのまま、コメント欄をみた。

『高校生が、事件を解決何て、凄い』

『将来が有望だな』

『イケメン、美少女の集まりだよ』

『問題児とは思えない、容姿』

『この、高校。国際科は本当に頭がいいやつしか、入学できないけど、この中で誰か国際科の子がいるのか?』

『顧問の先生が最高!』

『俺は眼鏡の子の隣かなwww』

『それなー。胸でけぇ!』

『いや、私は春樹君の右隣の子かな。華奢で可愛い』

『春樹君の左の子、顔が明るくて、可愛い』

『僕、この高校頑張って、入学します。そして、修正部に入りたいです』

『春樹君、イケメン。容姿が良すぎる』

『無感情推理、生で見てみたい』

『眼鏡の子も、完璧じゃない。俺の予想。たぶん、国際科だ』

『若返って青春を謳歌したよ』

『先生も青春だな』

『青春に年が関係ないことがなんとなく感じてきた』

『先生、若い』

『高校生に戻って、彼らに会いたいよ』

『いいね!青春を楽しんでる顔。見てていて、微笑ましい』

と次々とコメント殺到する。

「これって、炎上ってやつか」

「私たち、有名人だよ!」

「私の事、可愛いって、言ってくれている」

「若いだなんて。そんな」

「近頃、表彰されるかもかー」

「なんで、僕だけ名前が公開されてるの?」

「私が記事に載ってる」

記事には、少しどころではないくらい、話は盛られ、ほぼ、炎上と言っていいくらい、コメントが今もさっとうする。

たったの一〇分で二万のコメントが書かれている。

「まあ、そのうち収まるだろ」

仁さんたちは今はこう言っている。

だが、僕たちの名が歴史に残るようなくらい、炎上するとは、この時、誰も思いもしなかった。


「ただいま」「ただしま」「ただいま」「お邪魔します」

(僕)    (詩織)  (清水)  (仁先輩) 

「ただいま!」 「お邪魔、します」「失礼します」

(詩穂先輩)   (伊藤先輩)   (高橋先生) 

一斉に僕の家に修正部の声が響く。

「あら、あら部員が増えたのね」

母さんがエプロンをつけて、リビングから出てきた。

「こんにちは、三年の伊藤拓斗です。よろしくお願いします」

「まあ、どうも。春樹と詩織の母です」

と丁寧に挨拶をする二人。

僕はカバンを持って自室に戻った。

自分の机に伏せてある写真縦に目をやる。

僕はその写真縦を立てる。

そこには、小さいときの僕、母さんと父さんに初めてもらった誕生日プレゼント。

プレゼントとはもちろん、名前だ。僕がまだ、圭介だったころの写真だ。

最近はずっと、写真を見ないようにしていた。

このころから、感情が無くなったのかもしれない。

僕の感情が無くなったのは、生き物の気持ちを理解するのと、その生き物を未来を見ることが出来るのを、引き換えに無くなったのだろう。

「いい笑顔だな。圭介」

僕は死んだ、兄さんの名前を言う。実際は自分の名前だが、戸籍上は僕の兄さんだ。

兄さんは、サバンナで日本で帰るまで、ともに過ごした、ライオンのティムと一緒に写っていた。

ティムは別群れのメスを守るために、胸部辺りと手足、背中に傷がある。

でも、これはティムがティムであるための物。

最後まで、いろんな、群れのリーダーに信頼されていた。

そのおかげで、ティムは新しい群れのリーダーになった。

今は亡きものになってしまったが、その子孫は今も続いている。

「外の群れでも、やらなきゃいけないものはある。それは、命を懸けても等しいほど、価値がある‥‥‥かぁ‥‥‥」

ティムがメスを守ったときた後、僕に訴えてきた言葉だ。

「かっこよかったな‥‥‥」

僕は圭介を見る。無邪気な笑顔。今はこんな、嘘、偽りもない笑顔になったような感じがする。

実際は、修正部でいろんな事がある。個性豊かな先輩たちに囲まれて、本当に楽しいと感じているはずだ。

でも、やっぱり、なんでもいいから、

「本当の‥‥‥感情を感じたい‥‥‥」

僕の目からは雫が零れる。

なんで泣いているかは分からない。

悲しいのか、悔しいのか、嬉しいのか。

涙の種類は沢山、ある。

「なんで、感情って、こんなに難しいものだろう」

「それは、ペットたちに聞いてみたら」

部屋の出入り口に立っていたのは

「高橋先生‥‥‥」

「吉田君には感情がない。でも、生き物たちの気持ち、つまり感情を感じることが出来る。なら、聞いてみたらいいのよ。動物たちに。‥‥‥世界は広い。夢は無限。好きな事を頑張るのが才能。この世界は何でもありなんでよ」

「先生、ノックをしてください」

僕は言う。閉まっていたドアがなぜか、開いている。先生が入ってきたからだ。

「そこ⁉今、私、良いことを言ったのに⁉」

「いいことを言ったら、プライバシーはどうでもいいのですか?」

先生の反論に僕の正論。

「別にいいじゃない。吉田君に感情はないのだし」

「僕が感情がないことを良いことに言うのはやめてください」

僕は先生を睨みつける。

先生は

「すいません。でも、好きに生きるのが人間よ。やりたいことをやって、失敗の連続でそこで諦めるなら、それは才能じゃない。

吉田君は自分の限界まで頑張る。

才能があるないはすぐに分かるわ。

吉田君が私を守ってくれたように、吉田君は誰かに守られているの。

まずは、一番身近な事から、始めたらどうかな」

先生はそう言って、ポケットから、紙きれを出し、僕に渡す。

「今なら、書けるんじゃない?」

僕は紙切れを受け取る。僕の進路調査票だ。

『将来、何を目指し、頑張りたいですか?二つ以上、三つ以下、箇条書きに志望するものを書きなさい』

僕が一番、悩んでいる事だ。

でも、自然と僕はカバンから、筆箱を出し、ボールペンを手に取った。

そこに、僕の意志は存在したのかと聞かれたら、迷ってしまう。

でも、この体は僕が動かしている。だから、僕の意志で間違いないだろう。

僕はボールペンを走らせた。

そして、先生に進路調査票を渡す。

先生は小さな手で両手で受け取って、進路調査票を確かめる。

「なんだ、ちゃんと書けているじゃないですか」

先生は安心した顔で僕に言う。

「吉田君は優秀です。自分の好きなように生きて、頑張って、才能を見つけ、その才能を咲かせてください。先生も応援します」

「ありがとうございます。頑張ります」

「それじゃあ、みんなで鍋パーティをしましょう。吉田君の課題も提出してくれたし、私は吉田君が望む、やりたいことについて、調べておきますね。

さぁ、パーティーだよ」

「先生、前!」

「前?グヤ!」

と僕の声は遅かったみたいだ。

先生は情けなく変な声を上げる。

「なんで、ドアが閉まってるの!」

「いや、閉めたの先生でしょ‥‥‥」

相変わらずの天然っぷりだ。

「嘘⁉私、閉めた覚えがありません!」

「それに、先生、ここから、ドアまで二m以上はあります。先生の歩幅だと五歩はあるでしょう。五歩もあれば普通は、ドアが閉まっている事に気が付くと思いますが、大丈夫ですか?」

僕は思ったことを言う。たぶん、正論だろう。

「私は情報処理能力が衰えているかもしれません」

「イカ以下ですか?」

「そうかもしれません」

先生は言う。

「てことは、先生はただ、物を見ているだけってことになりますね」

「イカってそこまで、情報処理能力が少ないの⁉」

先生は、自分がイカ以下なのは認めたが、イカがどれほど、情報処理能力が低いかわ、知らなかったみたいだ。

「私は、そこまで、酷くありません!」

「どうかな~?」

僕はそう言いながら、僕は制服から、部屋着に着替え始めた。

「な、な、な、なんで、女性がいる中でそんなことが、出来るのですか!」

「別に血の繋がりがあるのだから、良いじゃないですか」

「それ、鈴木さんにも言ってましたが、私と吉田君は親戚を超えた血の繋がりです。

吉田君が一〇ならば、私は〇・〇〇一です!」

「でも、それが仁さんの場合、〇・〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇と無限にゼロが並びます。ですが、先生はすぐに一がつく。血の繋がりは合って、良いと言っていいと思います。それに、全裸を見しているわけではありません」

「わ、私、男性が着替えるところなんて、お父さん以外、見たことがないのですよ!それに唱ちゃんはどうなるの⁉」

「そんなの知りませんよ。それに清水は〇・〇〇〇〇〇〇〇〇〇一程度。もしくは、それ以上にゼロが付くと思いますよ」

「なんで、唱ちゃんと私は兄弟なのにゼロがそんなに増えるの!」

「それは先生がお父さん側で育ったからですよ」

僕は説明をしているうちに、着替え終わってしまった。

「というか、そこにずっと立っているから、お父さん以外の着替えるところを見るんですよ」

「わ、わ、わ、そ、そうでした!」

本当に天然ボケが過ごいな。僕はベットの下から、本を足りだした。

「よ、吉田君、な、何を‥‥‥」

となんでか、混乱をしている、先生。

「先生、これでも読んでください」

「そんなもの、読めません!吉田君、フレンチです!」

「先生、何か誤解をしてません?それと破廉恥です」

「そんな!い、今はど、どうでも、良いです。吉田君のプライベートはみませんから、速く、そのエッチな雑誌を――

「いや、だから、天然ボケを治す方法の本です。今度、親戚が集まるときに渡そうと思っていたのですか、こんな身近な関係になるとは思いもしませんでしたよ。だから、今、渡します」

「ふぇ。天然ボケを治す方法の本?‥‥‥よかった」

と胸をなでおろす先生。

それにしても、なんで下系に行ってしまうのだろう。僕の周りの人は‥‥‥。

「それなら、ベットの下から、出さないでください!間際らしいです」

「先生はベットに下に隠しているのですか。エロ本」

僕は先生に聞く。

「違います。一般的にベットの下に隠すだけで、私は持っていません」

「いや、持っていたら、僕は先生と会いませんから」

「酷い、私ももしかしたら、そういう、年が来るかもしれないのに」

「いや、そういう年頃は中学生から高校生ですから。先生、もう、二四でしょ。好きな人と、やるお年頃ですよ」

「どういう、意味ですか!」

先生は僕に怒りをぶつける。

どういう事と言われても‥‥‥

「中学生から高校生は、動画や雑誌。大学生からいざ、実践。っていう、段階票があります」

「私は、そんな簡単にしません!」

「知ってます」

僕は先生の性格など、お見通し。逆に先生が僕が考えそうな事を見通して欲しいと思う。

「ベットの下に隠していたのは、保管する場所がないから。それに、家族に親戚思いなんて、思われるのは不愉快になるから、ベットの下に隠しておいたのですよ。

他にもありますよ。天然ボケ直しの本を見つけてしまうと、つい買ってしまって、一〇冊はありますよ」

「そんなに⁉」

「いえ、そこまで多くないと思います。僕が持っている、本は五〇〇はあります」

「そのお金は?」

「自分の財布と父さんの本です」

そう、父さんがすごい作家だから、必然的に本が溜まっていくのだ。

僕は暇だから、本はよく読む。

「その中に漫画は?」

「ありませんけど」

先生はがっかりして

「ですよね」

と言った。

僕は漫画より、原作の小説の方が好きだ。

確かに、漫画だと動きが分かりやすいけど、小説だからこそ、動きが文に書かれて、人それぞれの動きが考えられる。

それが語り合うのが良い。

それに、文でも、大体の動きが自分何り、想像できるし、時間を潰すのにはbン相が一番。

漫画だと、すぐに読み終えて、僕の暇の時間が潰されない。

でも、先生がこんなにがっかりするなら、今度買ってみよう。

「先生、パーティをしましょう。みんな、待っていると思いますよ」

「はい、そうしましょう」

先生と僕は一階のリビングに向かった。

「遅いぞ!後輩君!」

詩穂先輩が僕に箸で指す。みんな、もう、鍋を食べ始めている。

「すいません。今日は何ですか」

僕は詩穂先輩に謝って、何鍋かを聞いた。

「今日は豆腐だぞ!畑の肉だぞ!牛肉もあるぞ!」

「牛肉もあるぞ」

と伊藤先輩が言う。

「ありがとうございます、伊藤先輩」

「敬語はよしてくれ。タメ語は抵抗あるだろうから、せめてさん付けでも呼んでくれ。それと、名前でな。春樹」

と拓斗先輩が言う。僕の名前を呼んでくれた。そう、僕はもう、圭介ではない。僕はその弟の春樹だ。

「わかりました。拓斗さん」

「いや、なんか気持ち悪いから、拓斗にしてください」

と先輩が敬語になるほど、気持ち悪かったそうだ。

「わかりました。拓斗‥‥‥先輩」

やはり、身上の人を呼び捨てで言うのは抵抗がある。

「もう、いいわ。そっちの方がしっくりくる」

と満足していた。

「大豆って、なんで畑の肉なんですか?」

と食べ物には詳しくない、詩織。

「ああ、それは、大豆が肉に匹敵するほどのたんぱく質があるから、畑の肉と呼ばればれているんだよ」

と僕は大豆の豆知識を解説する。

「そうだぞ、しおりん。こんなの、常識中の常識の常識だぞ」

と詩穂先輩が言う。この人は本当に分かっているのか微妙だ。

「詩穂先輩の常識が気になりす」

と詩織は誰もが思う事を代表で言ってくれた。

「それは聞かない方がいいよ、詩織君」

仁先輩が詩織を止める。

「詩穂の常識は僕ら、一般人には、非常識だから」

ととても分かりやすい、解説をしてくれた、仁先輩。

でも、‥‥‥

僕は思っている事を言葉にできず、ムズムスしていた

「いや、それはお前もだ!仁!」

と拓斗先輩が言う。

拓斗先輩、ナイスツッコミ。

尊敬している、先輩にそんな事、言えるわけがない。

「それを言うなら、拓斗だって、木村と非常識レベルまでいっているではないか」

「そ、それははだな。‥‥‥」

どう返す、拓斗先輩。

「いろいろあったんだ!」

うう、しっかりそこは返してほしかった。

普段、毎週、いや、今週以外は、毎日のようにホテルに行っている、仁先輩。

拓斗先輩より、桁違いの事をしているのだ。

この先は、ご想像にお任せする‥‥‥。

「みんな、元気ね。しっかり、エネルギーを蓄えないと」

とみんなの受け皿におたまで具材を入れる、母さん。

「子供は、食べて大きくならないとな!」

と本当にみんなの前だけなぜか、楽しそうな父さん。

「私は、もう大人だぞ!特に胸が!」

と胸を強調をする、詩穂先輩。詩穂先輩の胸はボインと言う、擬音語が付くほど揺れる。

「食事中です。やめてください先輩」

「しおりんは、よく食べて、胸を大きくしないと!」

と詩穂先輩は詩織の胸を人差し指で指す。

「私は良いんです!それなら、清水さんにも言ってください!」

と詩織は清水を巻き込む。

「唱たんは、数値は貧乳だが、脱がせてみれば体が華奢な分、胸があるのだ!」

なんで、そんな事細かに説明ができるんだよ。詩穂先輩は‥‥‥

ていうか、今、食事中!胸の話をするな!

「お兄ちゃん、私、やっぱり、大きくないといけないのかな」

と僕を見る、詩織。

「なんで、僕に話を振る。それに胸の大きさ何て、どうでもいいだろ!」

僕はツッコミのように言う。

「そう…だよね」

詩織は安心をする、顔をして、声のトーンが明るくなった。

「何を言う、春樹。胸は大きい方がいいぞ。大きい方が揉み涯があるし、ベットで最高の感触を顔で感じられるぞ」

拓斗先輩が余計な事を言う。

「…う!やっぱり大きい方がいいの?」

詩織の声のトーンは暗くなる。本当にこれ以上、可愛い妹を傷つけないで。頼むから。

「ああ、いいとも。大きい方が男は興奮するからな」

伊藤先輩、それ以上、詩織のコンプレックスを気づ付けないで!

「伊藤の言う通りだぞ。胸の大きさ何て関係ないと今は、言えるが。しかし、春樹後輩。大人の階段を上ったときに絶対に後悔するぞ。でかい方がいいと!」

「お、仁もそう思うか」

「ああ、そう思う」

「気が合うな。今度、二人で語り合おう!」

と勝手に話を変える二人。

詩織の事も少しは考えて欲しいよ‥‥‥。

妹はというと、完全に気が動転している。

もう、倒れてもいいくらいだ。

「う‥‥うう…‥う‥‥‥」

と何も言えなくなった、詩織。

「詩織、気にするな。僕はそんな簡単に考えが変わったりしない。それに、胸は下系のためにあるんじゃない。子供育てる、ためにある」

「お、お、おにいちゃん!」

と僕に抱き着く詩織。そして、小学生のように泣く詩織。

可愛らしいく、幼い感じがまだ、有る詩織はこのままが一番かもしれない。

「まあ、まあ、可愛らしいわね」

先生は豆腐を口に入れる前に言った。

他人事のように言ってないで、少しをこの、問題児たちを止めてくださいよ。いや、止めなくてはいい。止めようとしてください。

「なら、このまま、春樹が嫁にもらったらどうだ」

「はい⁉」

僕は父の発言に変な声が出る。

「本気ですか?僕たち兄妹ですよ」

「兄妹でも、結婚する人はいるわよ」

母さんは言う。僕は思う。そんな馬鹿な…と‥‥‥。

「なんて、冗談だけどな」

ですよね…ですよね!父さん!

冗談じゃないと僕が困るからね!

「それにしても、春樹後輩は何でもありだな」

「どこがですか?」

仁先輩に言われるが、僕はどのあたりが、なんでもありなのか分からない。

「だって、鈴木の未来を予知していただろ?」

仁先輩ではなく、拓斗先輩が言う。

「僕はその動物から見た、未来を見ることが出来るだけです。人間の予知はできません」

僕は自分の能力を説明する。

「でも、鈴木の未来を言っていたではないか」

伊藤先輩はあの時の事を言う。確かに、そう言われれば、鈴木の未来を見たことになるな。

「違いますよ。猿です」

「猿?猿って、あの猿か?」

と猿を三回連呼する仁先輩。

「はい。先生がノートを運んでるときに詩穂先輩が見つけた猿が、山に帰らず、ずっと学校内をうろつく未来を見たんです。その時に、鈴木がカラスに襲われているのを猿が見ていたんです」

僕は説明をする。納得をしたのか仁先輩は

「なるほど、そこまで未来が見れていたのか‥‥‥」

「というか、先生の誤解はどうなったんだ?」

「「「「あ‥‥‥」」」」

みんな、声を合わせて言う。当の本人は豆腐を口の中に入れで熱かったのか、はっふ、はっふと言いながら、口の中の熱を息で追い出していた。

「うーん、豆腐おいしい」

とまあ、なんとものん気の事を言っている。

「まあ、いっか」

と仁先輩が言う。

確かに校長の前で、誤解を解いたので、その場にいた、学年主任と体育の三浦先生が誤解だと言っているだろう。というか、警察沙汰になるほどの事件が起きたのだから、話はそれで持ちきりだろう。

「春樹後輩、俺は今日も泊まるわ」

「じゃあ、俺も泊まらしてもらう」

と遠慮のない二人。

「というか、拓斗先輩は大丈夫なのですか。弟たちが待っているのでわ?というかのん気に豆腐を食べている場合じゃないですよ!」

僕は今も、パクパクと豆腐を食べる、伊藤先輩に言う。

「ああ、それ嘘な。あいつをだますためだ。本当は弟が幼稚園年中で妹が保育園。母さんのぎっくり腰は一昨日に治っている。それに、もうメールした。母さんは了解だってよ。ほら」

とスマホを僕に見せる。確かにお母さんは了承している。

「私も泊まるぞ!」

「あの、終電のがしたので止まらせてください」

「先生、終電までまだまだです。それに先生、電車じゃないですよね」

嘘をつく、先生。

「泊っていいかは、僕に言わず、母さんに聞いてくれ」

「全然、OKよ!みんな、ゆっくり、休んでね」

なんで、僕の母さんはこんなにも、甘いのか。しかも、即答だし‥‥‥。

これでは、うちが旅館になってしまうではないか。

「では、私は風呂に入って、仕事に戻るよ」

「わかったわ、お風呂はもう、沸いているわ」

「ありがとう、母さん」

そう言って、父さんはお風呂に入っていった。

「さて、お腹も満腹なったところで、今回の事件のミーティングをするか」

仁先輩の案により、ミーティングがこの後に開くことになった。だが

「僕は洗い物をしますから、その後でお願いします」

僕はまだ、僕の膝の上に座って泣き疲れたのか寝てしまった、詩織をみた。

僕は詩織をソファーに寝かした。

「じゃあ、俺も手伝うよ。ただで、食わしてもらって、さらに泊めさせてもらうんだ。洗い物くらいは手伝わさせてくれ」

拓斗先輩が言う。確かに、今回は洗い物が多い。いつもなら、詩織が手伝ってくれるのだが、あれだしな‥‥‥。

「ありがとうございます。お願いします」

「おお!任せておけ」

そう言って、皿を食器洗い場に運んでくれている、拓斗先輩。

「じゃあ、私たちは上で会議室モードにしておくぞ!」

「くれぐれも、気を付けてくださいよ」

僕は詩穂先輩に言う。とても不安しかない。


僕と拓斗先輩は、使った、皿と箸、鍋を洗い始めた。

「こんなに、大量に皿を洗うのは初めてだ」

初めての体験でなんだか、少し嬉しそうだ。

皿洗い何て、楽しくなるのはあまりない。

「そうですね」

僕もなんだか、いつもと違う感じで皿を洗う。

「なんか、楽しいな。なんだろうな。下の弟たちのご飯を作るときも楽しかった。バイトで皿洗いとか、料理したことはあるけど、こんな気持ちになるのは初めてだ」

先輩はなんだか、ワクワクしている。

「先輩は大切な誰かのために何かをするのが好きなんですよ。先輩は弟さんたちが自分の料理を食べて、美味しいって言われるのが嬉しくて、そんな気持ちになるんですよ。だから、やらされるより、自分から何かするのがいいのです。人間、嫌いな事は長続きしませんから」

僕は先輩の優しい部分を見つめる。

「そうだな」

先輩は僕にニカッと笑って言った。

「こっちの洗い物、終わったぞ」

「僕は、あと少しで終わりますので、先に上に上がっていてください」

「わかったよ」

そう言って、拓斗先輩は二階へ上がっていった。そして、ドタドタと誰かの足音が近づく。嫌な予感だ。

「言い忘れていたけど、春樹の家の台所広すぎだろ!それだけだ、じゃあ、早く来いよ」

拓斗先輩が言う。

僕の母さんは狭いところで行動すと何するか分からない。

だから、父さんの案で台所は広くなった。

僕は洗い物をする。

ピンポーン!とインターンホンがなる。

僕は玄関を開ける。

「こんばんは!配達便です。吉田様で間違いありませんか?」

「はい、ご苦労様です。ありがとうございます」

と僕は荷物を受け取る。

「失礼します」

と帽子を取って、頭を下げる、配達員。

配達員はトラックに乗って、どこかに行った。

僕は玄関で荷物を確認をする。

「何だったんだ?」

とお風呂から上がってきた、父さんが聞く。

「配達便。これは父さんの。こっちは僕だね」

僕は父さん宛の薄い段ボールを渡す。

「ありがとうな。それじゃ」

「うん、頑張って、お休み」

僕がそれだけ、言うと父さんは二階の自室に行った。

僕は段ボールを開ける。

中身は分かってる。

段ボールの中には発泡スチロールとまた、段ボールが出てきた。

僕は発泡スチロールと段ボールだけを取り、外包装の段ボールはその場で潰して、不要段ボール置きに段ボールを置く。

僕は台所で発泡スチロールを開ける。中身は‥‥‥冷凍アジと冷凍ドジョウ。段ボールには、犬用ミルク。ウズラのエサ、鶏のエサ。ハムスターのエサ。熱帯魚用のフレーク。タンパク質の粉上の物。あとリークのマット。

ペットたちの物だ。僕は台所を出て、階段下ま行って

「みんな、下りておいで!チップはリークを連れてあげて!」

と僕は叫ぶ。僕はそのまま、台所に戻る。

二階は

「うお⁉春樹の声で、リビングに行ってるぞ!すげえ!賢いなあいつら」

と拓斗先輩の声が聞こえた。

僕はアジとドジョウをゆでて、ポットの一〇〇℃のお湯でミルクの粉を溶かし、少し、水を付け足して、ぬるくする。

そして、それぞれのペットフードをさらに入れた。

ゆでたアジとドジョウは頭と骨、臓器を取って、さらに移す。そして、ペットの数の分だけ水を入れた、皿をお盆に乗せて、先に運ぶ。

「はい、みんなまず、水な。少し待っていてな」

そして、水の皿をおいて、台所に戻って、また、お盆に乗せて運ぶ。

「はい、シャッチとチップ、チーク以外はは三色フード。シャッチはアジ定食。チップと、チークは豆腐フードで、リークはミルクだ」

とみんなのご飯のメニューを言って、皿を置く。

みんなはお座りをする。

僕は一匹一匹の目を見た。

「よし!みんな食べてよし!」

と僕が言うとみんな、楽な体制でご飯をバクバク食べ始める。僕はまだ、ミルクのリークを抱き上げて、ミルクが熱すぎないのを確認して、ミルクを上げる。

「結局、僕が世話することになっているじゃないか」

僕はごくごく、飲むリークを見ながら、言う。

でも、リークは可愛いから、許す。

僕はみんながご飯を食べている前に座り、リークにミルクを飲ませていた。

そして、肩が急に重くなる。

「落ち着いたか?」

僕は言う。詩織に。詩織は僕の首周りを腕で苦しくない程度に抱きしめられた。

「見た目や頭は高校生でも。中身は子供だな」

僕は後ろにいる、詩織にリークにミルクを飲ませながら言う。

「……うるさい」

詩織はぼそっと言う。

「僕はそこまで、大きな声を出していないよ」

「そういう、意味じゃない」

正論の僕の意見を、正論で言う、詩織。これでは、どちらが正しい正論か分からない。

まあ、僕が間違っているのだろう。

「お兄ちゃんは、いつも遠いところにいる。私はそこに行きたいのに、お兄ちゃんは先に行ってしまう。なんで、待ってくれないの?」

詩織は不満を言う。確かに、言う通り僕は詩織から遠いところにいるかもしれない。でも

「それは僕も一緒。詩織が追い付きたくて走っても追い付かない。僕の姿は見えないかもしれない。でも、前に進む僕は振り返っても、詩織の姿が見えない。

お互い様だ」

「分かってるよ‥‥‥」

詩織は暗く、小さいが荒い声を上げる。

「詩織は僕じゃない。だから、詩織のペースで進めばいい。止まっていたら、僕が引き返して、手を引いてあげる。だから、焦る必要なんてない。ただ、進めばいいだけなんだ」

僕は詩織を安心させるように言う。

「お兄ちゃんは、やっぱり大きい方がいい。こうやっているとき、胸の感触を背中で感じたい?」

「中学生みたいなことを言うな。胸何て気にしたところでだ。僕は、あそこの世界に興味がない」

「大人なのか、子供なのか微妙だね」

「どっちでも、良いよ」

僕は言い返す。その間に、リークはミルクを飲み終えていた。僕は立ち上がって、

「みんな、少し待ってくれ」

ペットたちにそれだけ言って、台所に戻る。食べ物を入れた皿を洗い、水は新しいきれいな水にまた、入れ替える。そして、水の入った皿だけお盆に乗せた。

さっき届いた、エサは、冷凍庫に他のエサはエサ置きの倉庫に入れる。

そして、リークのマットとお盆を持って、リビングに行く。

「じゃあ、部屋に戻ろうか。チップはリークを運んであげて」

僕がそう、言うとチップはリークを籠に入れて、その籠の持ち手を銜えて、僕の後ろを付いてきた。もちろん、他のペット達も。

あと、詩織も付いてきた。

「お待たせしました」

僕はそう言って、部屋に入った。ペットの部屋は長机が置かれ、みんなの分の椅子があった。僕はそれを通り過ぎて、床にタオルが置いてある、ところに別の水の入った皿がある。それと僕が今持っている、お盆の皿をすべて入れ替える。

ペットたちは部屋の中で自由にしていた。

他の動物とじゃれあっていていたり、ぐったりと寝ていたりしていた。

チップは僕の近くで籠を銜えて、立っていた。

リークは籠から出ようと、よちよちと上り、足を籠の外に出していた。

それに気が付いたチップは銜えていた籠を置き、リークを籠の中にコテッと落とす。

しっかり、お父さんをやっている。

僕はチップがいつも寝ている、マットのすぐ隣にリークのマット置く。そして、今まで使っていた、タオルをかぶせる。

「チップ、ありがとう」

僕はそう言って、籠の中にいる、リークを抱き上げて、タオルを引いたマットの上に寝かせてあげた。

チップは自分のマットに伏せているが、リークにくっ付いている。

良い、お父さんだ。リークはチップにくっ付いて、寝ていた。

僕はそれを確認した後、洗面所で洗剤で手を洗う。その後、アルコール消毒液を手に塗るようにした。

消毒液は僕の体に浸透するかのように、乾いた。

僕はもう一度、二階に戻って、部屋に入った。

「お、終わったか?」

拓斗先輩が僕に聞く。

「はい、全部、終わりました」

僕はそう、答える。

「あと、全部やる事やってから、お待たせしましただからな」

と微妙に教育をする、拓斗先輩。確かに言うタイミングを間違えていた。

「じゃあ、始めるか。春樹後輩。司会進行、頼んだよ」

仁先輩は僕の肩をポンと叩いて言って、椅子に座ってい。

「わかりました。皆さん、おそろいですね」

僕は確認をする。部員が全員いないと、ミーティングはできない。

顧問一人にこの場にいる部員は僕を合わせて六人。坂本はいつも通り、PCでの参加だ。

全員揃っている。

「では、始めますね。第一七回、ミーティングを始めます。お願いします」

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