第5話
僕の声とともに、電気が消える。
そして、部屋はスクリーンだけの明かりだけになった。
「僕と仁さんは、休憩中にあることに気が付いたのです。そのことが正しいなら、すべて説明がつくんです。そのことを今から説明したいと思います」
僕は今から、何を説明をするか、簡単に言った。そして、ここからは仁先輩にバトンタッチ。
「まず、伊藤と斎藤の関係です。なぜ、斎藤は伊藤と無関係と言ったのか。詩穂なんだと思う?」
と仁先輩は詩穂先輩に尋ねた。詩穂先輩は少し考えこみ、
「自分の都合が悪いことになるからだ!どうだ!」
と自信満々に答える詩穂先輩。
「そう、普通は一般的に詩穂の考えをする人が大半だ。だが、違うんだ」
仁先輩の言葉にがっかりする詩穂先輩。
『もしかして……』
と坂本がポツリと言葉を交わす。
「多分、太助後輩が考えているのが正解だ」
と仁先輩は言う。その後、詩織がハッとして、少し考えこんだ。
「詩織、詩織が今、考えている事をみんなに言ってくれ」
そのことに気が付いた僕は、詩織に発言
させるように言った。
「わかった。多分だけど、私は二人が本当は仲が良い。そして、都合が悪くなるのは斎藤先輩人身ではなく、伊藤先輩になる。だから、斎藤先輩が伊藤先輩をかばった。合ってる?」
「大正解だ」
僕は答える。
「あと、詩織。ここは学校外だ。呼び捨てで良いと思うぞ。それと坂本は詩織と同意見か?」
僕は坂本に尋ねる。PC越しの坂本はコクリと頷き
「ああ、同じだ」
と答える。その確認ができた後、仁先輩が話を進めた。
「詩織君の言う通り、都合が悪いのは伊藤で、それを斎藤がかばった。でも、なぜ斎藤は伊藤をかばうのか。その答えはいたって簡単だ」
仁先輩の言葉にしばらく考え込んだ僕と仁先輩以外の修正部と詩織。
『なるほど……そういう事か……』
と答えにたどり着いた坂本。坂本はその答えに納得していた。
「みんな、分かったか?」
仁先輩がみんなが答えにたどり着いたか確認する。
「わかったわ」
と答える清水。
「私も分かった」
その後、詩織が言う。
「私も分かったどー!」
と語尾をおかしく言う詩穂先輩。
仁先輩は僕を見て、頷いた。どうやら、ここからは僕が話を進めることになった。
「じゃあ、答え合わせ。清水答えてくれ」
僕は清水に意見を言うように言った。清水は
「わかったわ」
と言って、席を立つ。
「斎藤が……
「うん、その時点で違う気がするが一様、最後まで聞こう」
僕は言う。彼女は続けて
「伊藤を……
僕は嫌な予感がした。いや、もう確信していた。
「葬り切れなかった」
「全然違う。どういう考えをしたら、そんな中二病の発想が出来る!」
僕は清水に聞く。
「冗談よ。春樹、ツッコミが上手いわね。お笑い芸人になったら?」
「冗談にもほどがある。誰が芸人になるか!話を進めさせろ!」
「上手なのに……」
彼女はがっかりする。なんで、がっかりしているんだよ。
僕は彼女に呆れ、
「坂本言ってくれ」
真面目の坂本に答えを聞いた。
『春樹妹、代わりに応えてくれ。俺は今手が離せなくなった」
とPCのキーボードをカタカタ叩く音を現会議室に聞こえるようにしていた。
「おい、手が空いていなくても、口を動かす……
『すまない、緊急だ。一旦、回線を切る。一〇分後に戻ってくる』
とだけ言って、坂本は回線を切る。完全に逃げられた。
でも、坂本はプログラマー。こんな会議に参加しているほど、暇ではないだろう。
仕方がない。
「詩織答えてくれ。真面目にな」
僕はさっきみたいな清水のような事はしたくない。
「分かってるよ。ええっと、伊藤が斎藤を気絶させた。違う?」
と僕に確かめる詩織。僕は
「ああ、合っている。詩穂先輩もあってましたか?」
僕は全然、発言できていない詩穂先輩に聞く。
「うん、ばっちりだよ!」
と親指を立てて、僕に言う詩穂先輩。
「私もあっていたわ」
と答える彼女に僕は
「清水は葬り切れなかったんじゃなかったのか?」
さっきのコントの事を言う。
「冗談なのに……」
と拗ね始めた彼女。僕は無視をするのを選択した。
「でも、いくら仲が良くても、気絶何てされたら、私なら誰かに言うよ。なんで斎藤は言わなかったんだろう?」
と別の疑問を考え始めた詩織。
「詩織、これから、会議があるときには修正部仮部員として、参加しないか?」
僕は不意に聞いてしまった。
「え?どういう事?」
と不意を突かれたような顔をする詩織。
「いや、詩織がいるとなんか進みが良くてな。本当は正式に部員としたいのだが、詩織は頭がいいから、成績を落とさせるのは嫌だろうし、それにテニス部がある。だから、仮部員として、修正部の会議のみ参加するのはどうだろうと思ってな。あ、悪い、無理は言わないよ。今回参加してくれただけで、僕は嬉しいぞ。多分……」
僕はまとめて、思ったことを簡潔に言った。
「ふぅん、別にいいよ。会議ぐらいなら……」
と詩織は言ってくれた。
「本当か⁉ありがとう。いや、修正部員はほとんどが問題児だから困っていたんだよ」
「はいはい、微妙に俺たちを侮辱するのをやめようか。シスコンの春樹後輩」
と言われ、僕は急いで
「いや、そんなことないですよ。多分。僕は尊敬している先輩方を侮辱など、多分しませんよ」
「さっきから、多分しか言っているのは気のせいか?」
「はい、気のせいですよ」
僕は笑ってごまかす。多分、先輩を侮辱など、する気はないと思う。
「話を進めます。さっき、詩織が言った通り、伊藤が斎藤を気絶させた。そして、斎藤はなぜ、伊藤をかばうのか。その理由は二つある。
一つは、野球部として、斎藤は伊藤に尊敬をしている。そんな、尊敬をしている先輩を今回の原因にしたくないと思った、斎藤は伊藤をかばう。
二つ目は、斎藤は伊藤に何ならかの弱みを握られている。そして、今回の事件を伊藤が原因だと斎藤が言うと、伊藤は斎藤にとって、困ることを世間に後悔する。それに恐れた、斎藤は伊藤をかばった」
僕が理由を説明をすると今度は仁先輩が
「二つ目の方は、ほとんどないと考えていいだろう。だから、斎藤が伊藤をかばった理由は一つ目だろう。
そして、動機。動機は、伊藤は最近うまくいかなくなって、その原因を伊藤は斎藤になると考えていた」
仁先輩は動機も説明をしてくれた。
「なら、伊藤はたまったストレスを斎藤にぶつけたって事になるね!」
今まで静かだった、詩穂先輩が言う。
「そういう事だな。そして、気絶のさせ方はそっちが考えてくれたんじゃないか?」
仁先輩は詩穂先輩と清水に聞く。
「お、さっすが仁。やっぱり私と仁は繋がっているんだよ!」
と詩穂先輩は小指を立て、仁先輩にその小指を見せた。
「繋がってるかどうかは置いといて、答えが出ているなら、バトンタッチだな」
そう言って、男子チームから女子チームに入れ変わった。
『いま、戻ったぞ』
とさっきまで、回線を切り、静かだったPCから声が聞こえてきた。坂本だ。
「お帰り、今からどうやって斎藤を気絶をしたのか、清水と詩穂先輩が説明してくれるぞ」
『そうか。なら、もう事件の真実は分かったのと変わりはないな』
と言う坂本。僕は
「ああ」
とだけ言った。
「おっほん」
とわざとらしく言う、詩穂先輩。僕と仁先輩は席について、説明を聞く姿勢を取った。
「では、私たちが答えに導いた、斎藤をどうやって、気絶させたのか説明、したいと思います。イェーイ!」
とテンション高く、話を進め始めた詩穂先輩。
「イェーイ……」
と感情のない、イェーイに暗いテンションの清水。
僕的には、もうちょっと頑張って欲しいところだな。
でも、彼女には当然無理だろう。期待するほど無駄って言うのはこういう事だな。
「えー、まず、伊藤は斎藤がボールを取りに行くように頼まれた。伊藤はそれを見計らって自分もボールを取りに行くと言って、犯行を実行」
詩穂先輩の言葉とともにスクリーンは銃声のような音に「バーン!」と文字が映し出された。
「そして、その犯行とやらを説明しようではないか!」
本当に元気な詩穂先輩。僕はだんだん詩穂先輩を見ていると呆れてくる。この調子だと寝てしまいそうだ。
「おっと、後輩君!寝ちゃダメだよ!」
と僕は指摘された。でも、いくら指摘されても眠気は取れない。
「春樹……」
と僕は清水に呼ばれた。僕は清水を見た。
その瞬間、紙の束が彼女の故意により僕の顔に向かってきた。
僕は急いでそれをよける。もちろんしっかりよけることが出来た。僕は今、天井を見ている。僕は背中を座っている状態で限界まで沿っている。
それが原因で僕は椅子から、落ちることになった。僕は
ガッターン!と盛大な音を立てて、頭を打った。
「何する!てかどっからハリセン出したんだよ!どの道、僕は首より上の部位が軽傷を追う羽目になったじゃないか!」
僕はまだ、ハリセンを握っている彼女に言う。彼女は微笑んで
「目、覚めた?」
と聞いてきた。これは、「まだ、眠い」と答えたら、もう一度、今度は確実に顔にハリセンが当たることになるだろう。
そのことが分かっていると彼女の顔はもの凄く、僕にとって恐怖になるだろう。
しかし、僕には感情がない。恐怖と言うのがあまり実感がわかない。
だが、彼女の言う通り目は覚めた。
「ああ、よく目が覚めたよ」
僕は言ったら、彼女は微妙な顔をした。彼女の感情は今、複雑な状態なのだ。僕の目を覚ますことが出来たが、ハリセンで叩くことが出来なかった悲しさ。
なんとも小悪な女だ……。
彼女はハリセンを見つめていた。
「あの~、清水さん?」
僕は嫌な感じがして、言葉が敬語になった。
その秒後、彼女は僕を見た。
「これはちょっと前、仁が詩穂を叩くときに使っていたものよ」
ああ、そういえば確かに使っていたな……。って今、それ関係あるか?
僕は心の中で彼女に尋ねた。
「このハリセンは役目をハリセンとして役に立てなかった」
なんか、言っている事は良いことな気がするが、その後、彼女は僕に何かするのではないか?
何をするかは察してほしいな。それに今は思いたくないな。
「だから、今。私がこのハリセンがハリセンとして役に立たしてあげるの。春樹、受け止めて!」
と僕の思っていた通りに彼女はハリセンを僕の顔に向かって、振った。
「お兄ちゃん!」
詩織が僕を呼ぶ。
僕は急いで、後ろへ転がって、その勢いと手と腕の筋肉の力で宙に舞う。
そのまま、足で床へ着地。うまくよけることが出来た。
「受け止めて欲しかったのに……」
彼女はがっかりする。
「お前は僕に恨みでもあるのか⁉なぜ、そこまでして、僕の顔をハリセンで叩こうとする!僕の顔はそんなに見ていると不愉快になるのか⁉僕の顔は罪なのか⁉」
僕は彼女を説得するように言う。
「お兄ちゃんが危険な目に合う前に私が守る!」
と詩織は僕の前に立ち、よく分からない武術の構えをする。
「あの~、話を進めませんか?」
と仁先輩が遠慮しがちに敬語に言った。
それは僕も同意ですよ!
「詩織下がって……」
僕は詩織に言う。詩織はためらっていた。
「なあに、ただのお遊び」
と僕は格好をつける。
完璧に決まった。セリフも顔も完璧だ。漫画やアニメに出てきそうなセリフが今、完璧に決まった。
だが、二次元のセリフを三次元で言うのは結構、きつい。
穴があったら、入りたい……。
「やるのね……」
彼女は僕に恐る恐る聞く。僕は
「やってやるよ」
と今までの彼女に対するストレスが込み上げてきて、声が荒れる。
彼女は剣道のような構えをして、ハリセンの先を僕に向ける。
僕は彼女の動きを事細かく見た。
匂い、音でも、しっかり彼女の動きを感じて、彼女を待った。
彼女は足に力を入れたのを僕は聞き漏らさず、殺意が強くなったのを鼻で感じた。
そして、僕と彼女は同時に床をキュッ!と音を叩て、お互いの距離を縮めた。
彼女は大きく振りかぶり、ハリセンを頭の後ろから勢いよく弧を掻くように下におろす。
そして、僕の頭にハリセンが向かってくる。
僕は右によけた
「めん!」
と声を出すが空振り。
僕はその隙を見て、ハリセンを両手で握る彼女の左手を僕は右手でつかみ、ハリセンから手を外し、その右手で片手で握るハリセン。つまり彼女の右手を掴み、僕はそのまま、左手でハリセンを左側に。彼女から見て右側に捻るように彼女の右手からハリセンを零す。
ハリセンは床に向かって、落ちる。僕はハリセンが床につく前に空中でハリセンを取り、そのまま、彼女の――
「めん」
頭に軽く叩く。それでも、ハリセンは、パシン!と響きのいい音を鳴らす。
「おお」「おお」
と仁先輩と詩穂先輩が感心の声を漏らす。
「僕の勝ちだな」
僕は笑いながら言う。
「それにハリセンの役目もしっかり果たすことが出来たし、これで解決」
僕は明るく言う。
「怒ってない?」
と彼女はハリセンで叩かれた頭を押さえながら、僕に恐る恐る聞いてくる。
「ああ、怒ってない。話を進めよう」
と僕は仕切り治す。僕と詩織は席に着き、清水はホワイトボードの横に立つ。
「おっほん、では、後輩君の目が覚めたことなので、話を進めましょう!」
と詩穂先輩は言う。僕は気が付いた。僕は目がしっかり目覚めていた。あと、三時間は眠くならないだろう。それくらい、目が覚めていた。
僕は一様、目薬を差した。目薬を差した目は強烈な爽快感に包まれた。
「では、説明を始めるぞ!」
詩穂先輩の声とともにみんなは真剣な表情を作り、空気は張り詰めた。
僕も集中して、説明を聞く姿勢を取った。
「まず、伊藤は斎藤とともに体育倉庫に入る。もちろんカギは職員室に取りに行ってだよ。そして、斎藤が頼まれたボールを探し出した時に、伊藤は罠を仕掛けたんだ。その罠は何だと思う。しおりん、答えを!」
と急に詩織に問う詩穂先輩。詩織は混乱して
「ええっと、えっと、何だろう……分からない…です」
と答えるの諦めた詩織。それを見ていた詩穂先輩はニヤリと笑った。
「そうだよね、分からによね。だから、ヒント!体育倉庫の構造を考えてみて!」
どうやら、詩穂先輩は詩織が答えにたどり着くまで、詩織にすべて考えさせるのだ。
授業で例えると、その人が分かるまで、教師はその人だけ、答えさせるのと同じだ。
「えっと、あれ?今言われると分からなくなってきたよ」
と混乱し始めた。詩織は僕と仁先輩に助け舟を目で訴えてきた。
「なら、まず外装から思い出してみよう。落ち着いて考えて。これはテストではないから、大丈夫。人間、混乱したり緊張したるすると、当たり前の事が出来なくなってしまうんだよ。だから、一旦落ち着いて」
と仁先輩が豆知識を言いながら詩織を落ち着かせた。
確かに仁先輩が言う通り、僕は経験はないが入学試験とかで極度な緊張により、いつも当たり前にできていた、名前を書くことが抜けてしまう。それに似たようなことを経験した人は多いのではないか?そういう時は、やはり心を落ち着かせることが重要なようだ。
これは僕の大学受験に使えそうな知識だ。
ありがとう、仁先輩……。
「はぁ、ふぅ、はぁ、ふぅ」
と深呼吸をする詩織。彼女の鼓動の音はだんだん小さく、正常な速度に戻っていくのが僕の耳が感じた。
「えっと、まず、外装はブロックが積み上げられてもので、扉は鉄の引き戸だったはず……」
最後の語尾の方に行くにつれて、自信が失っていっている。
「ああ、そうだ合っているよ」
仁先輩は詩織に優しく言う。
詩織はそこから、自信が付き
「内装はどうなってる?」
と仁先輩が尋ねると
「内装は外装と違って、木材を使っている」
しっかりとした声で答える。
「ああ、じゃあ、物の配置は?」
と次々に仁先輩は詩織に聞いていくが
「ちょっと、仁!教えすぎだよ!」
と仁先輩に気に食わない詩穂先輩。
「詩織君は今日、いきなり会議に参加することになった。慣れてない事をいきなりすべてするのは無理だ。それに俺は体育倉庫の構造を細かく見るように言っているだけで、考えているのはい詩織君だよ」
とごもっともと言う事が出来ない正論を詩穂先輩に言う。
詩穂先輩は「ぐぬぬ」と悔しがる。
まあ、世の中理不尽な事なんて沢山あるし、詩穂先輩がやっている事は、まだ理不尽の度が低い方だ。
世間って怖いな……。
「えっと、入って、左側に木製の棚があります」
と順調に思い出してきている詩織。良い感じだ。
「うん、じゃあ、その棚は何段で、段と段の間隔はどれくらい?そしてその棚に何が置いてある?」
仁先輩のサポートのお陰で詩織は答えにたどり着きそうだ。
「段の数は四段で、一番上だけ他の段との間隔が広いです。一段目は左からバトミントンのラケット、シャトルの入った籠。あとネットが在ります。その隣にはハンドボール部のボールで、体育観測テストで使うボールに、陸上部のミニハードルがあります」
というか、なんでそんなんに細かく用具何て覚えていることが出来るのだ?
さすが天才。レベルの差が大きすぎる。
「よし、二段目はなんだ?」
「二段目は左から、ラグビーボール。テニスボールが公式と軟式。陸上の砲丸投げの練習用の砲丸。ミニハードルの予備が置いてあります」
「さすが、春樹後輩の妹だ。次は三段目だね」
「三段目は左から‥‥‥」
と黙り込んで考え込む。限界か?人には限界がある。だが、それを超えようとするのが人間なのだ。これはこれで、自分の限界を知る事が出来るという、利点がある。
「四列ほどのハードルがあります」
いや、答えれるのかい!
「その隣がテニスのネットがあります。三段目はこれだけです」
確かに詩織が言う通り三段目はハードルがほとんど面積を取ってしまっている。
そのため、種類は少ない。
「凄いな、よし!最後の段だ!」
「最後は体育際で使う、大玉二つ。で、体育祭や文化祭に使う、校門前に置く看板が二つあります。これで終わりです」
とスッキリした感覚が詩織の体に響いたのか、笑みがこぼれていた。
「ああ、完璧だ」
と詩織は「よし!」と言いはしなかったが、僕以外のみんなに見えないように拳を作っていた。
詩織は誰かに褒められるために頑張っているのかもしれない。
これからは、僕も褒めてあげよう。
「あの、先輩、これって何の意味があるんですか?」
詩織が仁先輩に聞く。
僕はやばいと思った。
詩織それは聞かない方がいいぞ。
そして、仁先輩。絶対に嘘をついてくださいよ。
仁先輩は僕と目が合う。仁先輩は「ふっ」と鼻で笑う。
そして、仁先輩は
「意味ははっきり言って、ない」
「え⁉嘘ですよね。私こんな夜に頭をいつもの三倍速く回したのに意味がないんですか?」
体をガクガクと震え始める詩織。
「ああ、そうだな」
仁先輩、正直に言いすぎ!嘘と言う物を実行してください。お願いします!
「なんで~!」
詩織は気力は全部なくなり怒ることなく授業中に爆睡してしまう、体制になった。
「まあ、安心して。物の配置は後々、重要になってくる。多分。それに俺は嘘を付けない男だから」
と僕と詩織に言う、仁先輩。
よく言うよ。詩穂先輩の前では大嘘しか付かないじゃないかですか。
「では、次に進もう。春樹後輩。体育倉庫を入って、右側には何がある」
詩織の次は僕になった。
「バレーの支柱。バレーのネット。その奥には中身は分かりませんが段ボールが三個積まれたものが四つ。バレーの支柱の左側は通路となっており、その隣はバスケットボールの籠が二つ。その奥に野球のボール。ソフトボール部のボール。あと野球部のバッティングって言うんですか?その練習用のボールがあります。その奥には普通のマット。さらに奥には高跳びのセーフティマットがあります。これで、体育倉庫内の物はずべてです」
僕は箇条に体育倉庫内の道具を言った。
「後輩君正解だよ。それをまとめたのがこの図だよ!」
いや、有るなら、最初からそれを出してくださいよ、詩穂先輩。
詩織が落ち込むじゃないですか。
「ここからが重要だから、よく聞くんだよ。まず、野球ボールの位置はバスケットボールの後ろにある。だから、奥まで行かないとボールは見つけられない。だが、伊藤はボールがどこにあるのか、分かっている。なんせその前にボールを片付けたのは伊藤だから。声は野球部から聞いた情報だから、間違いない。
そして、体育倉庫内を細かく調べるとこんなのが出てきたよ!」
と詩穂先輩はポケットからジップロックに入れた糸のような、いや、その破片かな?
「これは糸の破片だよ」
ビンゴ!
「これ、どこからが出てきたと思う?」
と席についている、仁先輩、詩織、僕に聞いてくる。
「聞いて驚いて、実は‥‥‥
「天井‥‥‥じゃないか?」
詩穂先輩が言う、前に仁先輩が言う。僕はそれに続けて
「他にもその糸くずあるのでは、例えば、体育倉庫の左側にある、棚とか、そこにおいてある、籠とかに」
僕が言うと詩穂先輩はがっかりして
「なんで、答えちゃうの?せっかく私がかっこつけれたのに‥‥‥」
「それが分かっていたから、答えたんだよ」
と仁先輩は当たり前のように答える。
「やっぱりは仁は私がすることが分かってっちゃうんだ。私たちは間違いなく、繋がっているよ」
とプラス思考の詩穂先輩。それに対し、仁先輩は呆れていた。
「なんでわかったんですか」
とまだ、理解が追い付いていない、詩織は僕たちに聞く。
「簡単な話だよ。糸で体育倉庫に張って、それを切れば‥‥‥どうなるか分かる」
「重りが斎藤に当たる‥‥‥ですか?」
確信が出来ていない詩織は僕たちに重ねて聞く。
「そういう事」
「そして、斎藤はボールの籠を落とした。だから、体育倉庫内はボールが散乱した。この事がそういう事が分かるかい?」
仁先輩は詩織に尋ねる。詩織は少し考えこんだ。少し経ったあと、何かに気が付いた顔をした。
「重りはボールっていう事ですか?」
「正解」
と仁先輩は言うのと一緒に指でパチンとかっこよく鳴らす。
イケメンの先輩がやると、やはり雰囲気がしっかりしている。
さすが仁先輩。
「だから、今からそのボールを探そう」
と仁先輩は全く予想外の事を言う。
これは僕も聞いていない。
「探すって、今からですか。今、一〇時ですよ。学校何て開いてませんし‥‥‥まさか‥‥‥」
僕はあることに気が付いた。
今から、学校に行くのは不可能だ。だが、学校に侵入したらいいもの、カギは職員室にあるから、侵入何て不可能だ。
だが、侵入をせずにボールを探すことはできる。
それは、多分秒後に、インターホンがなるだろう。僕はそう思い、部屋の窓を開けた。
今、僕たちがいる部屋からなら、インターホンが見える。
「やっぱり‥‥‥」
僕は声を零す。予想どうりだった。
だから、さっきから、別の女性の匂いや荒い息が聞こえると思ったよ。
『ここからは俺にはできない。回線を切るぞ』
「ああ、分かった」
そうして、回線は切れた。そして、僕はPCから仁先輩に目線を変える。
「仁さん。これはどうかと思います」
僕が仁先輩に言うとピーンポーンとインターホンがなる。
僕は部屋を出て、玄関まで来て、ドアを開ける。
僕の後ろに付いてきた、何も分かっていない、詩織と詩穂先輩。
清水は耳がいいだろうから、分かっているだろう。
「ごんばんは‥‥‥疲れたよ~、吉田君!」
と僕にふらふら、と来たのが修正部顧問、高橋先生。
「お疲れ様です。僕の家で休んで行ってください」
僕は先生を家に上げる。
先生は普段から徒歩で学校に行っている。車を持っていない先生。持っていないどころか免許すらない先生なのだ。
僕は家のまで積まれたボールの山に目をやる。
「この量をよく、持ってこれたな‥‥‥」
籠一杯に入っている野球ボール。それが二つ。結構な量だと思う。一つあたり、二〇㎏はあるだろう。合計四〇㎏を先生一人で持って来たのだろう。僕の家まで。
僕は籠を一つ持った。
「ああ、そっち俺が持つよ」
と仁先輩が僕が持った籠を持つ。
何か隠しているような‥‥‥気のせいかもしれない。
僕はそんなことを考えながら、もう一つの籠を持ち上げる。
「おっも!」
あまりの重さに僕は一旦、持ち上げた籠を下ろす。おろすときに床がドンと響いた。
コンクリートでこんなに音を立てるほどの重たさだ。
大体、四〇㎏はあるだろう。
さっきの倍、重たい。
それもそのはず、見た目も触った感じは柔らかいが、そのボールの中心には鉄球が入っていた。
つまり、先生は六〇㎏を一人で持って来たことになる。
「あの、先生は何者なんだ‥‥‥」
つい、中二発言をしてしまった。僕は慌てて、周りをみて、さっきのセリフを聞いたものがいないか、確かめた。
幸い、誰も聞いていなかった。
僕はボールが入った籠を、普通なら部屋まで一分もかからないものを、五分もかけて、持ち運んだ。
「仁さん、ずるいですよ。自分だけ楽しようなんて‥‥‥」
僕は仁先輩に苦情を入れた。
「いや、重いのを分かっていると、ついね」
と笑い始める仁先輩。
先生は一階でぐったり、自分の家のように休んでいた。僕は先生の様子を見に、一階に下りた。
「先生、大丈夫ですか?」
僕は先生に尋ねる。
「もう、ダメ。私、結構な重症だわ。今日は家に泊めさせて」
と僕にプルプルと震える手を伸ばしてきた。
僕はその手を取って、笑顔で
「二〇〇〇円です!」
「お金取るの⁉」
と一気に気力が戻った先生。
「冗談ですよ。家に泊まるのは構いません。でも、それは教師としてしていいことなのですか?」
僕は先生に確認した。
「大丈夫。仕事の時間は終わったわ。今は普通の一般人よ」
と親指を立てて、僕に言う先生。すると、台所から母さんが来た。
「あら、先生もお泊り?なら、お風呂一緒に入りましょう。うちは良い湯を使ってしますし、広いですよ」
「入ります!ありがとうございます!」
とさっきまでぐったりと寝ていた体がシャキッと立ち上がる。
先生は母さんとお風呂に入っていった。
僕はお茶をみんなの分を入れて、それを持って、二階に上がろうと階段を数段上ったとき
「おっ風呂!ひろーい!」
と先生の叫び声が僕のところまで聞こえた。
やはり、最初はみんなそうなるよな‥‥‥。
僕は部屋に戻って
「お茶、持ってきました。では、ボールを探しましょう」
そこからは僕には記憶がない。確か、ボールを探して探したものはみつかったっけ?
「おっはよー。みんな朝だよ!」
と意味不明なほどテンションが高い詩穂先輩。
僕は時計を見た。
時刻はまだ、五時を過ぎたばかりだ。
「先輩、まだ、五時ですよ」
僕はそう言って、二度寝をしようとした。
「ん?今、僕、五時って言いました」
「いったとも!」
と即答してくれる、詩穂先輩。
僕は慌てて、体を起こす。
やばい、ペットたちの世話の時間だ。
僕は立ち上がろうとしたときに足辺りに重みを感じた。
僕は立ち上がらず自分の足辺りを見る。
重みの原因は詩織だった。
詩織は僕の膝の上ですぅ、すぅと寝息を上げて、寝ていた。
僕は詩織をお姫様抱っこで持ち上げて、ついでに清水に声を掛ける。
「清水、リークのミルクを上げる時間だぞ」
「リークはもう自分で‥‥‥飲める‥‥‥わよ‥‥‥」
ダメだ。完全に眠りの領域に入っている。
僕は詩織を詩織の部屋のベットまで運んだ。
カギは詩織が身に着けていた。
「ありがとうな。あと、二時間だけど休んでおきな」
僕はすやすや眠る詩織の頭を撫でながら、そう言って、部屋を出た。
僕は急いで、一階に下りて、ペット専用冷凍庫を開けた。
「しまった、アジが無くなっていたんだ」
僕はそう言って、アジの代わりの鳥のササミ肉を取り出して、ペット用の包丁で食べやすい大きさに切り、消化に悪い、薄い皮を取って、皿に移す。別の皿にカワウソフードを入れる。
そして、他のペットたちのエサも作って、お盆に乗せて、ペットたちのいる部屋、つまり会議室に戻った。
僕は部屋に入ったときに
「ごめんシャッチ。アジがなくて、いつものアジ定食が出来なかった。代わりのお菓子付きササミフードで我慢してくれ。他のみんなのはあるから、ちゃんと食べて」
と僕はそう言って、水槽のある部屋の隅に言って、魚たちにエサをあげる。そして、部屋の窓を開けて喚起をした。
その時点で、シャッチはお菓子付きササミフードを食べ終わっていた。
シャッチは満足そうな顔をしていた。
その後、リークを抱き上げて、ミルクを上げる。僕はリークにミルクを上げながら、自分も朝ご飯を食べる。
僕の朝ご飯は卵サンド、ツナサンドに飲み物はブラックコーヒーだ。
今日はあまり寝れていないから、コーヒーを多めに飲んだ。
そして、歯磨きをして僕は部屋着から制服に着替える。
そのまま、チップとシャッチにリードを付けて、家を出た。
散歩だ。動物たちを外気に触れさせる。
今日はとてもいい天気で、肌寒いが気持ちのいい、風が体に当たる。
そして、ある人を見つける。
「あれって、伊藤先輩」
僕は自分に確かめるように声に漏らす。
僕は声を掛けることにした。
「おはようございます」
僕は挨拶をした。伊藤は僕を見て
「ああ、岸高の奴か。二年か?」
僕の学年を尋ねる伊藤。僕は挨拶を返してこない事に気に食わなかった。
「そうです。修正部の吉田です。今日、伊藤先輩に用事があるのですか、大丈夫ですか?」
僕は尋ねる。先輩は
「今日って、金曜日か?」
となぜか曜日を僕に聞く先輩。曜日感覚がないのか?」
「そうです」
僕は答える。
「ああ、なら大丈夫だ。どうせ体育倉庫の件だろ。話は聞くよ」
と僕の誘いを承諾してくれた伊藤先輩。僕はてっきり、断れると思ったのだが
「ありがとうございます。でも、弟さんたちの面倒は大丈夫ですか?」
僕は一様の配慮を考えて聞く。
「ああ、大丈夫だ。ちゃんと俺の事調べているんだな。弟が通う、幼稚園はなんか特殊で月、水、金曜日だけ、時間を延ばして面倒を見てくれるんだよ。
妹は小学一年だ。家には母さんがいる。
母さんにかかる負担は少ないってことだ」
「なるほど、家族思いなのですね」
「それはお互い様だろ。そのペット、幸せそうな顔をしてる。お前はよっぽど、こいつらのために頑張っているんだな。じゃあ、俺はバイトで疲れたから、帰るわ」
「はい、では放課後、体育倉庫で会いましょう」
僕はそう言って、頭を深々と頭を下げる。
そう言って、伊藤は僕に背中を見せて、歩き始めた。
「あ、言い忘れたけど‥‥‥
背中を僕に見せながらそう言った。そして、振り返って、僕を見て
「おはようさん」
とだけ言って、帰っていった。
僕は意外と顔に出てしまうタイプなのかもしれないな。
僕は両手で顔を触る。僕は切りかえて
「行こうか」
そう言って、散歩は再開されて、無事に家に帰ることが出来た。
シャッチとチップのリードを放すと、二人は走って二階へ行った。
そして、リビングから仁先輩と詩穂先輩が出てきて、
「あ、春樹後輩、アジ定食が食べたいのだが‥‥‥」
「私はお菓子付きササミフードを食べてみたいどー!」
とペットたちのメニューを言う、二人。
「先輩たちはペットじゃないでしょ。朝ご飯なら用意します」
僕はそう言って、洗面所で手をしっかり洗い、台所でも手を洗う。
「先輩たちは和食派ですか洋食派ですか?」
と僕はこの身を聞く。
「俺は和食」
「私は洋食!」
と珍しく意見が分かれる二人。
僕は和食を三人分、洋食も四人分作った。
和食は、仁先輩、父さん、母さん。洋食は、詩織、清水、先生だ。
僕は四〇分かけて七人分の料理を作った。
僕が朝食を作っているうちに二人は制服に着替えていて、先生と詩織、お父さん。
清水を抱えた母さんが起きてきた。
「はい、仁さんは白ご飯にかきたま汁とアジではありませんがサケの塩焼きです。
で、詩穂先輩は目玉焼きにサラダ、卵サンドにハムマヨサンド。で、だし巻き卵です。これは共通でみんなの分です」
「おお、これは良い旦那になるな」
と僕の将来を感心している仁さん。
「私を嫁にしてください!」
と詩穂先輩にプロポーズされた僕。
「詩穂先輩、言う人を間違っていますよ」
僕は詩穂先輩に指摘して、差し出された手の向きを仁先輩の方に変える。
「へぇ、こんなに料理できるんだ。羨ましいな」
と先生ががっかりする中、やっと目を覚ました清水が
「京子は何でも、燃やすわよね」
と言ってはいけない事を言う。
でも、どうやったら、食べ物を燃やすのか気になるな。
僕はリビングを出ようとした。
「あれ、まだエサやり?」
と仁先輩が尋ねてくる。
「はい、その卵の主のエサと詩穂先輩のサラダの元の水やりです」
「へえ、そうなのか」
と仁先輩が珍しく、無関心だった。
僕はリビングのドアを閉めて、長靴を履いて、玄関を開けようとしたとき。
「この卵って、自家製なのか⁉ていうか、どれだけ、土地があるんだ⁉」
と声がよく澄まさなくても、聞こえるくらいの大声で仁先輩が驚いていた。
僕は家を出て、鶏とウズラにエサをやり、ニンジン、キャベツ、ホウレンソウ、エンドウ豆にキュウリ、ネギに水を上げて、雑草抜きをした。
時刻はもうすぐ七時だ。
僕は家に戻り、学校のカバンを背負って、修正部と修正部仮部員と顧問と学校に登校した。
先生が持ってきてくれたボールを持って。
他の人から見たら、すごい絵図だろう。地獄とは言わないが、でも、地獄と変わりはない。
「おい、なんで修正部がそろってんだ?」
「なんか、やばくない」
「でも、先生いるぞ」
「いや、あの先生天然ボケがすごい人だぞ」
「あれって、吉田さんじゃない?」
「なんで、修正部と一緒にいるの?」
「確か、お兄さんが修正部員なんだよ」
「あの、イケメンだれ?」
「ああ、修正部、梶野仁先輩だよ」
「格好いいな」
「なんで、ボールなんか持ってんだ」
「あれ、野球部のだよな」
「何してたんだろう」
と次々と岸高の生徒に言われ放題だ。
「あの人可愛くね」
「ああ、やばいよな」
「確か国際科の清水だったよな」
「英語しゃっべいるとこみてみたいな」
「なら、国際科行けよ」
「無理だよ。あそこ頭良すぎるんだよ」
と男子生徒は清水の話で盛り上がっていた。
「あの人やべぇ」
「胸でけぇ」
など下心を抑えきれず声に漏らしながら詩穂先輩を見ている、変態男子生徒。
「あの人って、仁先輩よね」
「今日も格好いい」
「彼女とかいるのかな」
「詩穂先輩が彼女っていう噂ほんとかな?」
と仁先輩は女子生徒から評判が良い。
「あれって、一年の吉田だよな」
「兄があれだから、もうちょっと、変な奴かと思った」
俺の心はグサッと刺さる音が響いた。
「結構、可愛いな」
「ちょっと俺、狙ってみようかな」
俺はそのことを聞いた瞬間、それを言ったやつを見て、威嚇する。
そして、「お前みたいな人間に妹を渡すか!」と睨みながら呪う様に心で叫んだ。
「お兄ちゃん、大丈夫。ちゃんとしっかり、コテンパンに振るから」
「おお、しっかり断れよ」
僕は詩織の言葉に安心して、念を押すように言う。
そして、僕たちは無事、学校にたどり着くことが出来た。
そして、今日の小テストはなぜかすべて、いつもどうり三〇点満点だった。
もちろん、仁先輩も詩穂先輩も詩織も。そして、本当に謎に清水も満点だった。
そして、教師からはカンニングを疑われ、なぜか仮部員の詩織も僕の妹だからというしょうもない理由で再テストをさせられた。
もちろん、全員満点だ。
教師は黙って、仕事を再開をした。
「なんで、私まで再テストをしないといけないよ!私は私で、お兄ちゃんはお兄ちゃんなのに!」
と逃げようとした教師に怒る詩織。その件に関しては僕も気に食わないな
「それは僕も同意です。僕と妹と一緒にしないで・く・だ・さ・い」
と語尾を強調して、言った。
「はい、すいませんでした」
と教師は頭を下げて、職員室に戻っていった。
それを見ていた他の修正部員を代表して、仁先輩が
「春樹後輩は本当にシスコンだな」
「シス、シ、ス、シスコン⁉」
と詩織が過剰に反応していた。
「先輩、昨日もそれを言っていましたが、僕は感情がないのです。だから、シスコンとは言えません」
「なるほど」
と先輩は考え込む。
「仁!」
と詩穂先輩が全先輩を呼び、仁先輩の耳元に何かしゃべる。意識をしていなかったので聞き取れなかった。
「なるほど、春樹後輩がシスコンではないなら、詩織君がブ
「だあああああああ、やめてください!それ以上言わないでください!」
と仁先輩が最後まで言う前に詩織が遮る。
「先輩、詩織の何を握っているんですか?」
僕は仁先輩に聞く
「それは、春樹後輩がしっかり、見てめてあげて、理解すべきことだよ」
と仁先輩は言うが僕にはさっぱり分からない。
「さあ、部活の時間だ!」
詩穂先輩の声で僕たちは心を躍らせる。
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