第57話 苦悩の病院通い part4
11時少し前、お姉さん看護婦さんが
由紀子を迎えに来ました。「長谷川さん・・・歩けるよね?」
「はい・・・大丈夫です。1人でトイレにも行けますから・・・」
「里中君・・・簡単な検査と処置だから、別についてこないでも
大丈夫よ・・・少し早いけれど、お昼ごはんにしたら・・・」
すると由紀子が「ねー貴方・・・看護婦さんのいうとうり
お昼でも食べて外の空気を感じてきてね・・・病院って
空気悪いじゃん」看護婦さんの前で・・・由紀子お得意の
ライバル攻撃です。苦笑している看護婦さんの顔を確認
できました。患者さんの不安を取り除く、お世話係り
まさに、エンジェルナースなのです。
1時間位か・・・12時過ぎに戻れば・・・今日も
良いお天気です。5月って若葉萌える、そして抜けるような
スカイブルー青空、大好きな季節です。12か月のなかで
奇数月の3、5、7、9、11この5か月が風情があり
好きです。商店街にある本屋を目指して・・・・・
家庭の医学の本を探します。胞状奇胎(ほうじょうきたい)
本来は胎盤になるはずの絨毛(じゅうもう)が異常増殖して、イクラのような粒がたくさん子宮内につまった状態で、胎児は存在しません。症状は妊娠の徴候と断続的な出血やおなかのはりですが、超音波(エコー)検査で診断されます。受精卵の異常ですが原因ははっきりしていません。胞状奇胎(ほうじょうきたい)と診断されたら、子宮内容を外へ出すため掻爬(そうは)手術をおこないます。
むさぼるように文字を追います。背中が寒くなるのを感じました。お腹の中をお玉のような器具でかき回される 凄く嫌な感じです。
掻把って言葉が大嫌いです。冷たく恐ろしい響き・・・
そして読者ページにこんな記述が・・・25歳で結婚、妊娠しました。妊娠した喜びから一転、胞状奇胎、侵入奇胎という病気になり、26歳の時、絨毛がんと診断されました。妊娠がきっかけでなるがんがあるとは、知りませんでした。告知されたときのことはあまり覚えていません。冷静に考えることが出来ず、すぐに仕事を辞め、入院治療に専念しました。入退院を約1年繰り返しましたが、経過も順調で、治療を終えることができました。治療終了から半年が経ち職場復帰の準備をしていました。この時は、再発するとは少しも思っていませんでした。
由紀子も同じ道をたどるのかなあ?不安でいっぱいです。1時間あれこれ、医学書を読み漁りました。
食欲なんかゼロです。逆に吐き気を催すほどのダメージを受けました。
どうしよう・・・どうしよう・・・改めて事の重大さに打ちのめされている自分がいました。
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