第34話 心ホンワカ!黄色いタオル

 駅前のパン屋で買ったパンを開封、・・・

思い思いのパンで遅い朝食になりました。朝早くから、散歩、メガネ

紛失事件、そして大屋さん遭遇事件とバタバタの午前中でした。


「ねー貴方・・・AM11;00からバイトでしょ・・」

「うん・・・バイトだから行くよ・・・」

「私・・・25日の引越しに向けて、運送屋さんの手配と

細かいものを入れるダンボールを近くのスーパーでもらって来て、

今日から、準備をはじめようと思うの・・・」

「そうだね・・今日が22日だから、丁度いいんじゃない・・」

「ねー貴方・・・ほら、商店街のはずれにある神田運送さんに

お願いしようと思うの・・・あそこの奥さん・・・

行き付けの中華屋さんで1度、一緒になったことあったじゃない・・・

お店のママとも親しいようだし、ママが、引越しの時には、神田運送

をお願いします。と宣伝していたの覚えているでしょ・・・」


「うーん・・・覚えているよ・・・奥さんが先に来ていて、あとから旦那さんと若いバイトの学生も合流して、結構盛り上がっていたもんね・・・」

「まだ、最近の話しだから、多分覚えていると思うの・・・色々と相談して、できるだけ格安にできるようにお願いしてみるわ!・・・」


 こうした前向きの姿勢、そして機転が

効く明るい性格・・・さっきまでメソメソと泣いていたのに、180度の

方向転換をしています。


 「今夜さあ・・・必ず実家に電話しろよ!・・・

俺、バイトからできるだけ早く帰ってくるから、その顛末を聞かせて

よ!・・・」


「大丈夫よ・・・必ず、電話するから・・・それに貴方が早く帰って

くれると自分から言ってるだもん、ちゃんとしなきゃ、もったいないわ・・・じゃあ・・・私、引越しの準備に向けて、今日も1日、元気で頑張るから

、貴方もバイト頑張ってね!・・・それから、今の約束!PM11;00には

下宿に帰ってくること!・・・嘘ついたら針1,000本飲まーす!」


 と告げて、自室に戻って行きました。波乱万丈なのですが、毎日、毎日色々と

事件があるので、変化があってかなり充実している日々を送っているんだ!


 そんな事を思いながら・・・南の窓を一気に開けて、外の空気を入れました。春の足音がそぐそこに聞こえるような、穏やかな晴天になっています。


 向かいのアパートのベランダで若奥さんが布団を干しています。

頭にかぶった黄色のタオルがとても感じが良いのです。

この1月に引越してきたばかりですが、ここの下宿の大家さんが管理

しているアパートなので、1度、紹介されました。こちらを見て、ハタキを

パタパタ振って、会釈をしています。

 大きな声で「おはようございます。その黄色のタオル・・・似合っています!・・・」


 すると、ベランダから消えてしまいました。


 周りの事も気にせず、大きな声で叫んだので、たぶん嫌われて

しまったかも知れません。そんな事思いながら、ボンヤリしてると、

ベランダに若奥さんの姿があります。


 新聞広告の白紙の部分にマジックで「誉めてくれてありがとう・・嬉しかった!」と書いてありました。


 なんか、心がホンワカしてとても気分がいい出来事でした。この話しは

彼女にはしないでおこう!・・・時計の針がAM9;30過ぎを指して

いました。

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