第31話 多摩川散歩の帰り道

 朝の散歩が思わぬ展開となり・・・それでも気分爽快なのです。

何かをして、人が喜んでくれる・・・そして丁重なお礼の言葉をもらって

2人とも上機嫌でした。


 彼女の希望で駅前のパン屋さん目指して、レッツ、ゴーです。


「由紀子!まだAM8;00だけど、駅前のパン屋ってそんなに

早く開いているの?」

「貴方は1限の授業が少ないから、解らないだけ・・・

駅前のパン屋さんはAM8:00オープンなのです。」

「そうなんだ?・・・」


 近隣の小学校に通う児童で結構、道路がワイワイガヤガヤしています。

目標がないとワクワクできないと錯覚している大人と比較して、子供達

はまだ、確かな目標もないから、いつもイキイキしています。


 朝から、人気アニメの物まねごっこをしている集団があります。

小学校1、2年生の感じです。今をしっかり生きている小学生

の方が、生き方の達人に見えてしまいます。

 そんな光景を見ながら徒歩10分でお目当てのパン屋さんに到着しました。


「ねー貴方・・・食べたいパンがあったら、このトレイに乗せてね・・・」

「私は、いつものクロワッサンとチョコレートのコロネ・・・ねー貴方・・・・早く選んでよ・・」


「俺・・・カレーパンとソーセージロール・・・あと牛乳もね・・・」


 会計を済ませて店を出たところで、行き付けの中華料理屋のママ

さんにバッタリ逢いました。

「あら、里中君・・・朝から2人でパン屋さんでお買い物・・・相変わらず仲が良くていいことね・・・」と大きな声で話しかけてきます。


「ママさん・・・先日、彼女が風邪でダウンした時には、大変、お世話になりました。色々と教えて頂き助かりました。」

すると由紀子が「里中君におかゆのレシピを書いてくれたんですよね・・・ママのレシピは最高でした。おかゆとても美味しかったです・・・」


 するとママが

「もう10日くらい経つの?あのあと、店に全然、顔を出さないから、

昨晩も旦那と人の話をしてたのよ・・・旦那は里中君が彼女にフラレて格好悪くて、顔を出せないんだ!」なんて言ってるから、私はあの2人は本物よ・・・そんなチャランポランじゃないわ・・・そのうち顔を出すから、見てなさい!と言ったのよ・・・その、翌日、こうしてバッタリ逢っちゃうんだから、ほんとに不思議よね!」


 確かに、ここのところ店に顔出していませんでした。行かなきゃ、行かなきゃと思いながら、ご無沙汰していました。ママが「旦那がね・・・店の

残りものばかり食べているから、今朝は、どうしてもパンが食べたいと

我侭言うのよ・・・昨晩、小さなグループの宴会があって遅かったから

今から、朝食なのよ・・・」


 「そうなんですか・・あの、マスターによろしく

言ってください。今度の日曜日には必ず2人で顔をだしますから・・・

あと、少しお話したいこともあるので・・・」


「なんなのよ・・・里中君・・・話って?日曜日まで待てない・・・

今・・・話して!」


「いや・・僕のことじゃなくて、彼女の事ですから、日曜日に2人でお話させて

もらいます。」


 するとママが「わかったわ・・それじゃ・・・日曜日の夜

待っているから・・・ちゃんと2人で来てね・・・帰ったら、旦那にも伝えて

おくわ・・・別れてなんかいない・・・朝から仲良く2人でパン屋で買いものしてたって・・・」


 「それじゃ・・・これで失礼します。」と告げて、店の前で別れました。

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