二日目:第9話

早朝に1ステージに戻った。「B」さんの情報を得るためだった。深夜のうちに「ポータル」と呼ばれる移動ツールが出来たいたので、2ステージのクエストと捜索を短時間で行き来する事が出来ていた。まず最初はやはりあの情報屋だ。トキさんの店によく出入りすることは分かっていた。朝早くといっても4時だ言い方を変えればまだ深夜だった。

店の中にはトキと情報屋がいた。

「おはようございます。朝早いですね。何か必要ですか?」

やさしい声で聴かれたが今日の用はこちらではなかった。

「人を探しています。モネさんはBさんという人を知っていますか?」

トキとモネは二人して顔をあわせた。

「確かに名前は聞いたことがあるけどどこにいるかは分からないなぁ。クランの中にいるんじゃないの?」

「私の名前は聞いたことがあるし、何度かお店にもお越しいただいたことはあるようだけれど。最近は見かけません。でもどうしたんですか?」

心配そうにトキに聞かれた。

「大したことじゃないんです。彼の強さが気になりました。もし見かけるようなことがあったら連絡ください。」

そういって、町の中を探すことにした。また、何人か部下を用意し、探すことを手伝わさせた。

午前中は捜索に回ることになっている。ただ、あの二人が知らないという事はやみくもに探しても見つからないであろう。友達登録したプレイヤーにはすべてに連絡をしてみた。探していることがばれないようにクラン勧誘という名目でメッセージを送り続けた。

昼頃になっても一つとして有力な手掛かりは手に入らなかった。

どうしようかと思いにふけっていると、「D」からうれしい連絡が入った。

「クランの基地、建てられるようになったよ!」

この短期間で資金がたまったようだ。一説には誰かに借りたという話もあったが、100k貯め切った事には素直に感動した。

お金を払うことで場所を設定し、一瞬で建築されたようだ。場所は1ステージの町の中だった。近くという事で、見に行った。すると、大きな建物が今までなかったところに建造されている。

「これで、クランメンバーを200人まで増やすことができる。」

「A君今から新メンバーの人選だ。面接手伝ってくれ。」

近くに見に来ていた「F」と鉢合わせをし、話の流れから面接を手伝うことになった。

100名の募集に300人ほど集まった。今日一日で一人でやるのは厳しいという事で、「A」、「F」、「H」の三人がそれぞれ100人ずつやることに決まった。

ノルマとして33人ずつの加入だが、3つに分かれるという運要素もあるし少しかわいそうに思えた。

一人目二人目と順々に面接を行っていく。もしかしたらこの中に「B」さんが紛れているかもしれない。と考えると適当に面接するわけにはいかない。強さや脂肪利用を聞き、クランの力になってくれそうな人員を探す。

すると、50人を超えたあたりで見覚えのある一人のプレイヤーをみつけた。

あの、クエストに負けた時、手伝いに来てくれた女剣士だった。どうやらあの時のことは覚えていないようだった。

「名前は一楓と申します。ソードの前衛職をやっています。クランに入ることが出来たら少しでも攻略の力になりたいです。」

そういってうつむいていた。

「今回クランに入ることを決めた要因は何ですか?」

「クランメンバー以外の攻略についても協力し、力を惜しまない点です。折角のオンラインゲームなので、みんなで楽しく攻略出来たらなと思います。」

「あなた一人でゲームに参加しているのですか?」

「この後ろに二人いますが基本的にこの三人で活動していました。」

「Bってプレイヤーにあった事はありますか?」

話の流れで質問をした。あの時確かもう一人プレイヤーがいた。装備や武器は全くの別人だったがもしかしたらその人かもしれないし、何か知ってるかもしれないと思ってあえて質問をした。

この女剣士は少し考えて発言した。

「基本的に野良のパーティではあった人と自己紹介をしますが、申し訳ありません。すべてのプレイヤーの名前を憶えていたわけではないので。その名前に聞き覚えはありません。申し訳ありません。」

「いえいえ、前に見かけたときにそのような方と一緒にいたような気がしたので。今の質問は忘れてください。面接参加ありがとうございました。採用させていただきます。ようこそ我々のクランへ」

採用したプレイヤーは逃がすのも嫌なので、すぐにクランルームに入れてしまう。

2期生の新加入としてその場でパーティを行う算段となっている。

さきほどの一楓といった人の後の二人、ヒーラーと珍しい魔法使いの女性二人は話もそこそこに加入という事にした。

一楓という人があの時の人なら俺よりも強いのだ。面接の途中だったが、定員に達したので面接は途中で終了した。どうやら「H」はほとんどのプレイヤーを参加させたようだった。


「ようこそ皆さん。当クランのリーダーFです。」

加入者に対するセレモニーが始まる。

「今日入ってくれたプレイヤーと最初の百人に差はありません。みな同じ戦力です。ここにいる全員でこのゲームの完走者となれるよう楽しんでいきましょう。」

「面接官が皆さんの当面の上司になります。配置等はしばらくしてから決めるので最初は今回の面接官と一緒に行動してください。今日はもうパーティだけです。明日から攻略頑張りましょう。」

「F」はすでに酔っているのが分かった。ゲーム内の酒とはいえ油断は禁物だった。

俺が加入を許したのは全部で6人。全員有望であった。特に一楓という女剣士。

間所が連れてきた残りの二名も女性ながら相当な実力を持っていそうだった。残りの3人前衛二人にヒーラー一人とバランスが取れながら更に強そうな面々だった。

6人ともまだ1ステージのボス攻略はまだだよね。次いつあるかわからないけどそれまで戦いに慣れておこう。あともう一人幹部の「D」と言う者がいる。その8人でパーティを組んでいこう。明日は朝の8時にここに集合という事で、今日は解散にする。パーティに参加していきたい人はして言っても構わないよ。

そういって皆を見送った。女性3人は参加せずみんなで帰っていった。

皆を見送った後、ポータルを利用して2ステージへ進んだ。「D」と待ち合わせをしていたのだ。まだ2ステージのクエストも大量に残っている。

「Dはパーティでなくていいのかい?ゲームの中でとはいえお酒も用意されていたよ。」

「そういう人が集まるところ苦手なんだよね。それよりも彼の動向はどう?」

「全くつかめなかったよ。誰か一人でも知っていればよかったんだけれど。あの情報屋でも知らないみたい。調べるとは言っていたけど」

「それは逆に怪しいな。あんなに強いプレイヤーの事なら情報屋として耳に入っているのは当たり前と思ったが…。新加入のプレイヤーは?」

「すごい素質を持った子がいるよ。俺が加入を認めた6人はどれもすごいプレイヤーだ。明日Dとも会ってもらうよ!」

いやそうな顔をしていたが、こくりとうなずいた。

「さぁクエストの時間だ。今日は寝ないでクエスト進めるぞ。そういって熱帯雨林の中を走っていった。」




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