二日目:第6話

第4ステージは鉱山だった。第三ステージの最後で鉄の剣が落ちたのがヒントになったようだ。要するに鉱物資源がとれるマップだ。これは十希が相当喜びそうだと思った。

1ステージから4ステージまでマップの構成として、最初に出現する位置にプレイヤーが平和を維持できる町がある、そこから外へ出ると一定の距離はプレイヤーが買える土地が並んでいる。そして、そこには購入者が建物を建てられるのだが、ステージごとに特色のある建物が建てられる。1ステージでは畑を作ることができた。この畑ではポーションの材料を作ることができる。完成品を売り買いするよりも、1から作った方が安く用意できる。ようするに儲ける事が出来るのだ。第3ステージはまだのようだが、1ステージと2ステージの土地はしっかりと抑えているようだ。しかも数十%と買い占めている。そしてここに鉱物資源がとれるマップだ。

「十希さん…4ステージは鉱物だよ。」

「リーダー…何遊んでるの?早く戻ってきなさい。」

温厚な彼女だが、感情が高ぶっているのが分かった。

「希ねぇの総資産てどのくらいあるの?」

百音が文字通り藪から棒のごとく質問をした。

「総資産でいうと…6m?」

「現金だけなら2mかなぁ。土地はそれぐらいします。」

こともなげに言う。

一体どのようにそこまで貯めたのかは聞かないことにする。昔から知ってはいたがこの人の商才は世界の流れを変えてしまう気がする。

「お店以外に個人個人で露店を開くプレイヤーもいるでしょ?まだ始まったゲームでも買い占めは出来るんだよぉ。後はここのみんなが稼いでくれているじゃない。」

二日目という事で一日目よりもゲーム参加者は増えていた。プレイヤーがふえるという出来事だけでももうけを倍増する事が出来るらしい。


この化け物が味方でよかった。


そうして第3ステージのボスに挑戦する。一楓や万智と協力して戦ったが、二人のためにも相当良い練習になったようだ。

二回目は6人で攻略したが、日本刀のドロップは一回目と合わせて2本。あまりドロップ率は良くないようだ。この武器の強さが今までの武器より一回り強い。二本とも一楓が買い取ることになった。

気づいた時には十希はいなかった。すでに第4ステージに向かって歩を進めていた。

「3ステージで活動するよりも4ステージで活動した方が良さそうね。」

「今日一日は4ステの攻略をする。職業柄どうしても十希と百音は1ステージに戻らないといけない。一楓と千乃そして万智は3人でレベル上げに徹するようだった。


このステージの敵は所謂ロボットのような『機械族』と呼ばれるものだ。鉱山で使われていた機械が放置され、自分たちでAIを発達させたという事らしい。特徴としてはとても固い。関節部を狙い撃ちするとWeakPointとなるようだ。話によると、千乃の魔法が有効らしい。かなり凝ったようで、モンスターの名前はすべてアルファベットを使い、我々には読めない。どうやら、製品番号を連想させるようにできている。

機械族のモンスターは今までになかった遠距離攻撃を仕掛けてくるモンスターもいた。外観が俗にいう『バリスタ』のような形で、弓を発射させてくる物、火炎放射器を装着した物などなかなかに歯ごたえがあった。それでも数時間すると最奥まで進むことが出来ていた。

十希は合成スキルを向上させるために短剣をいくつも作り、それを回してくれている。気が付くと強くなっている武器にとても感謝しているが、ここのモンスターの硬さには手を焼いていた。

モンスターを狩りを続けていると、大きな表示で、テロップが流れた。

先ほど頼んだ闘技場がじっそうされたらしい。多分すでに準備されていて、言われたタイミングで導入が決まるのであろう。いつか自分も有効活用してみたいなとまたもやタイマンという男のロマンを思い出していた。


結局この日は暗くなるまで最奥地で鍵を集め、ボスまで挑戦することにした。

『SO-P240WS』と書いてあった。

「なんのこっちゃ」

名前とは裏腹に姿かたちは戦闘使用のロボットだ。

右手にはサーベルを持ち、左手には弩がついている。

「キ〇ーマシン・・?」

何十年も昔のゲームの黎明期にあったRPG風ゲームのもんすたーを思い出した。

ぼてっとした風貌で、遊び心ある見た目だった。だが、見た目とは裏腹に素早く動く。自分のプレースタイルは常に張り付く事だったが、それも幸いして遠距離攻撃はほとんどなかった。機会という事もあり、人間では考えられない角度からサーベルが降りかかってくることもあった。だが所詮は一本。それだけ見ていれば容易に避ける事が出来る。


結局このボスも苦戦することなく勝利する事が出来た。

お待ちかねの報酬だ。もしかしてサーベルとか手に入るのかも?と期待していたが、残念ながらサーベルは見当たらなかった。普段通り「素材」。

情報はステージごとの気候の変動に注意しようという事だった。

「これは次のステージ当たり寒かったり扱ったりするのだろうか?」心配をしながら最後の報酬に取り掛かる。

『ステージ移動用ポータルの作成』

これは、さきほどの戦い中、会話から聞こえてきたものだった。

「今から1ステージ行きたいんですけど…ここまでくると移動大変ですね。」

十希からの発言だった。

「4ステージからだと1ステージの町まで4時間くらいかかるよねw」

百音も素早さに振っているようだが、移動速度の上がるスキルを使ってもそれだけかかるようだ。

このことから移動用ポータルの作成を決定していた。もっと自分本位のお願いでもよいのかとも思ったが、チート級の能力を手に入れTUEEEしても面白みに欠ける。攻略の手間を省略できるようなものを準備していきたいと思った。だが、考えれば不便である。これだけ先進的なゲームなのだからそれくらいの仕様は最初から用意しておけばよいのにとも思った。

今日一日で2,3,4ステージのボスを倒した。ボスとの戦いはソロという事もあり時間がかかる。本来攻略が進めば数十分も戦えば倒せるだろうが、そこは仕方がなかった。夜遅くになってはいたが、活動を止めることはなかった。うまくいっているときはガンガン進む。歩みを止めたくなかった。


第5ステージ。今までのステージとは変わり、何か一つ特徴があるステージではなかった。町の中をうろうろしていると町のはずれの方から聞き覚えの音が聞こえた。

波の音だった。一か所ではなく町を覆うように波の音が聞こえている。どうやらここは島のようだ。てっきり雪山や火山のある所に飛ばされると思っていた。一つの大陸というからつながりがあると思ったが、大陸の周りの小島まで考えられているようだ。疲労度というメーターも上がってきているので、明るくなるまではここで休むことにした。町の中のホテルの一室を借り、休む。他の皆はまだ活動しているようで、チャット欄は活気に満ち溢れていた。先ほどの素材を送ると、目を丸くして十希は喜んでいた。また、代わり+補正が高くなった武器を送ってくれる。遂に短剣が二本とも+7になり、光り輝くようになった。同じ武器なので両方とも赤く燃えるように輝いていた。防具の補正を確認していると一つ「PS」のアイコンが光っていた。どうやら一つ目の『個人技』を手に入れる事が出来たようだ。

『クリティカルダメージ20%アップ』

この補正は能力の実数を上げる以上にうれしかった。他の誰にも真似できないキャラクターに変貌しつつある。一人の力でどこまで進めるのか希望を胸に眠りについた。

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