第三話
ログイン完了——。
ログインしてからアイコンを一通り確認。これはお約束。
今日、今回のミッションは…。その前に体をこの空間にならそう。
外に出て数匹のモンスターを倒す。一打一打でダメージが違う事から武器の当たり判定があることが分かる。更に、攻撃によってはクリティカルが発生しているようだ。タイミングを見計らい・・・一撃。すると、「クリティカル!」の文字が表示される。そう何度も繰り返さないうちに、攻撃のたびにクリティカルを出すことが出来るようになってきた。タイミングをわざとずらすとやはりクリティカル表示は出ない。戦う事に関して、よくできたゲームだと素直に思った。
「お金になります。その情報。」
「他のメンバーは?」
「皆情報集めに行ってます。」
「昼の12時に一旦集まろう。もちろんゲーム内時間で。」
「あなたは何するの?」
「出来るだけ奥に行く。」
手短に話を済ませ、草原を進んでいく。今できる事は、少ない手数で敵を倒す事と、ダメージを負わない事。それと、情報収集――。
何も分からないからこそ自分のできる事を見極め、情報を集める。
数時間経った頃にはあらかた地図を埋める事が出来た。
草原MAPの所々に林がある。モンスターは獣がメインだが、若干他のモンスターもいる。林の中にはそのようなモンスターがおり、「先遣隊」やら「偵察兵」と書かれている。そして若干だが強い。強いというのは攻撃パターンが獣と違う点という実戦での印象だけでなく、名前に色がついているパターン。これは他のRPGでもあるようにレベル差によって発生する特徴だ。真っ赤な敵はいないが黄色やオレンジなどがいる。一番強かったのが「ドラゴン偵察兵」。
ドラゴンに偵察なんて必要なのか?と自分なりに突っ込みを入れたが、ドラゴンの名は伊達ではない。
火を噴くことは無かったが大きな爪や尻尾での攻撃を避ける事は出来てもなかなかのプレッシャーだ。
それでも危険に陥ることは無く、最終的には「クリティカル」の練習台になってもらった。このマップにいるモンスターはあらかた倒すことができた。
集合までの残り時間は経験値効率の良いモンスターを狩る。最奥の林の中にある洋館のロータリー。ここが一番効率が良い。狼、狐、熊、など様々な獣を倒してきたがここの「ゴリラ」はとても強い。先ほど出会った「ドラゴン偵察兵」よりも固く、素早い。遠くから両手両足を器用に使い突進してくるだけでなく、近距離でのパンチ。掴まれたら最後だろう緊張感が走る。自分の立った位置から遠くへ逃げての回避は次の攻撃がどうしても遅くなる。最小の動きで攻撃をよけ、攻撃につなげる。当たり判定がガバガバな古いゲームでは活かせなかったこのぎりぎりの回避がこのゲームでは活かせた。
素早さに慣れてしまえばクリティカルで勝てる。
集合まで残り時間も少ないという時に、「ゴリラ」が鍵を落とした。流れを考えれば傍の洋館の鍵になる。残りの時間で攻略は難しそうだ。仲間の分も集める意味で残り時間も「ゴリラ」を倒し続ける。
沢山の「ゴリラ」を倒してきたが、最終的には全部で3本集める事が出来た。この鍵がこの洋館の部屋の鍵であろうことは誰が見ても分かりえる事ではあった。挑戦したい気持ちはあったが残り時間を考えると到底無理そうだった。
一番最初のモンスターから戦いを始め、敵の強さを考えるとパーティ必須のゲームなのだろうと感じた。また、レベルを上げるための経験値が沢山必要である。あいにくスキルはレベルと別枠という事だけは分かった。今はまだ戦闘に関しての情報が少なすぎる。だが、できる限り一人でやるしかない。そうして再び「ゴリラ」に取りかかろうとしたとき、
「集合時間まで狩をしてたら遅れますよ。」フレンドメールが届いた。
時計を見るとすでに12時近くになっている。・・・今から戻ると30分はかかる。
時間にうるさいメンバーがいる事を思い出した。マップの道など覚えてはいない。だが、今までにない速度で町へ引き返す。
所々で様々なプレイヤーが戦闘しているのが見えた。オンラインゲームの世界にやってきたのだ。という実感がどんどん強くなっているのが分かった。急ぎながらもワクワクが止まらなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます