ケンカした




「なっ!?ちげーし!美麗ちゃんはそんなんじゃねーし!!」


「本当だって!朋季、お前絶対カモられてるぞ!?」


「そんなこと言って太陽は俺の邪魔したいだけだろ!?」




喧嘩をした。

俺の親友の太陽が、デタラメなことを言うから。


「朋季、信じてあげろよ。俺も聞いちゃったんだからさ。」


「マロンは口出してくんな!」



おまけに、一緒によくつるんでいる栗山―――マロンまでそんなこと言ってくる。


俺の彼女―――美麗ちゃんが、俺とは金目当てで付き合ってるんじゃないかって。

確かに、彼女とのデートは全部俺がお金だしてるしけどさ。


「そうかもしれないけどさ。お前、よくブランドの時計つけてたり財布持ってたりすんじゃんか。」


確かに俺、ブランドのものいっぱい持ってるけど・・・親が割とブランド主義で俺にブランド物を持たせたがるだけで、俺自身は金持ちでもなんでもない。

たまに単発のバイトに行くくらいで普通の高校生だ。



「とにかく、お前ら彼女いないからってそうやって言うのやめろ!」


「知るかよ!だったら痛い目みろよ!行くぞ、マロン!!」


「え・・・ちょ、太陽・・・・!?」



マロンは太陽に引っ張られ、そして俺は太陽に背を向けた。

・・・わかってるさ。

太陽が嘘つくようなやつだってじゃないことくらい。


でも、美麗ちゃんは俺の初の彼女なんだよ・・・・。



「朋季君、あれ、あの靴可愛い!!」


「そうだね。似合うんじゃない?」



彼女のしたいように、買いたいものを聞いたり褒めたり。

それがいつもの俺だった。

しかしでも、友達から言われた言葉も突き刺さる。


(げ、あれブランドもんじゃん・・・!さすがに今日は買えないだろうな。)


本当に俺のこと金目当て?


「少し高いから誕生日プレゼントにする?それか、もうすぐ俺たち記念日だし、その時買ったげるよ。」


「え?」


見たことのない彼女の顔が目に映る。

引きつった顔。

表情からわかる、冷たい空気。


「高い?そんなことないでしょ?いつもなら買ってくれるじゃない。」


「んー、今日は特別な日じゃないからさ。いい買い物は記念日にしようよ。」


「別れる。」


「え?」


「私、朋季君お金持ちだと思ってた。」



そう言って、彼女は俺に踵を返す。

馬鹿な俺。

太陽とマロンのこと、信じておけばよかった―――――。

取り残された俺は、一人淋しく帰路に向かった。

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