校長先生の話

かくん、となったところで目が覚めた。


時は、朝の朝礼。

校長のながいながい話を聞いていた時、俺は気がついた。



「おい、太陽。寝るなよ!先生が見てるぞ!」



友達の栗山マロンから後ろから小声で声をかけてもらう。


ちらりと横を見ると、学校の中でも怖いと噂される先生が、こちらを凝視していた。


とっさにヤバい、と思い、気を引き締める。


それでもやはり校長の話は子守歌にしか聞こえない。もしくはお寺のお経。瞼は勝手に落ちてくる。


そもそもなんで毎週毎週朝礼があるのかわからないし、朝礼で面白くない話を聞かなくちゃいけない理由もわからない。

絶対みんなバレないように寝てるか、今日の昼ごはんは何を食べるとか、今日帰ったら何するかくらいにしか考えてないはずだ。


再びかくん、となって俺が目をあけると、すでに校長の話は終わり、生徒の委員会からの連絡になっていた。



「太陽、お前ずっと寝てたろ?」

「えー?ん、ちょいちょい聞いてた。バベルの塔がなんとかだって。詳しくは知らないけど。」

「俺もなんの話かわからなかったけどさあ、お前めちゃくちゃ先生にみられてたぞ。」

「まじか。最悪だわ。この前さあ、真面目にやれって注意されたばっかりなんだよなあ・・・・」


マロンとそんな話をしてから、俺はクラスメイトと一緒にもそもそと教室へと帰る。


そして、一時間目は道徳だった。

道徳って一体なんの教科なのか、俺にはいまいち分からなかった。


「今日は、校長先生の話していたことを紙にまとめてもらいます。

校長先生がどんなこと話していたか書いて、感想を書いてください。」



宮崎先生のこの一言に俺は凍りつくしかなかった。




「・・・マジかよ・・・」




バベルの塔という単語のみしか俺はわからない。

俺はこの授業の後、先生に呼び出されるのであった。

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