118話【呪印《カースド・エンブレム》】
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◇
ノインが口にしたその名を、リューネが今度は口にした。
「……【
リューネとレディルはベッドに腰掛け、そしてオルディアは
エリウスは立ったままだが、そんなエリウスに声を掛けてよい
そしてリューネが小さく口にした
「うん……【
安心していいと言うノインの言葉に、レディルはエリウスの腹に浮かびあがる
「――へぇ、魔力の
バシッ――!!
「――痛ってぇ!!何すんだよっ!?」
突然エリウスに
「乙女の
【
それでもその《紋章》を見る事を止めず、観察を続ける。
「――レディルの言ってる事は正しいよ」
二人を見ながら
「この《紋章》はさ、“契約者”の証なんだよ」
「「“契約者”?」」
リューネとレディルが、ハミングして言う。
二人は顔を見合わせて、嫌そうに
そしてエリウスは、それは知っていると取れるように。
「――そういう意味だったのね」
しかしノインは、その意味を深く知っているのか。
「その【
「何の」と言う辺り、ノインはその契約が複数種類あると知っているのだろう。
猫科の
「……」
その
しかし、エリウスを心配する優しいものでもあった。
「普通の人間が、“契約者”になるのは
心配は、エリウスの身体だろう。
責めるのは、そうさせてしまった
ノインは、自分を責めているのだ。
どこか悲しそうで、しかし怒っているようにも取れるノインの
だが単純な事に。獣耳と尻尾がへにょ~んとしな垂れ、言葉とは裏腹に、
「ノイン……
エリウスは《紋章》の浮かぶ腹を
それは本心であり、そして感謝でもあった。
「あのまま
エリウスの、人生を
「そ、そんなことっ!」
「おいおい……自分で言うか?」
と
「……この力は、“悪魔”ベリアルの力よ……今まで自分たちが利用し、
考えるようにその言葉を聞いていたノインは。
「……うん。感じるのは、確かに【
一人
逆立ちそうな獣耳の毛。ピンと立った尻尾。
細目がゆっくりと普段の
「さっきも言ったけど、シャルの【
レディルが気付いていた事を言う。
「それってつまり、エリウスの相手?“
「あ、そうですよね……存在するって事は、近くにいないとおかしいですもんね」
リューネもそれに続いて
そして答えは、エリウスが。
「……ここよ。この奥……」
【
「そこ?」
「それって……位置的に……」
「――
「……
“悪魔”ベリアルの《石》、【
ベリアルいわく、女の一番大事な物、それを
「――ちょっと待て」
「なに?」
レディルが、《紋章》を見ながら。
「俺は、
「似たもの?」
「
ただそれは、ある人物と同じになると確信があって、言い出しにくかった。
言いにくそうにするエリウスとレディルに変わり、完全に答えを知っているノインが
「――そうだよ。思ってる通り、【召喚師】……エドガー・レオマリスと同じなんだ」
「――あ、そっか……右手」
リューネも見ていた。
エドガーの右手の赤い《紋章》。
そして気付く、対になる人物の《石》も、右手にあったことを。
「《石》の場所に対応してるって事か……だからエリウスの腹に《紋章》が」
「そう。だから心配になる……
エリウスは【
ノインが知っている限り、エドガーは既に五人の異世界人と契約をしている筈だ。
しかも、過去には自分を
エドガーは、それぞれの《石》に対応した《紋章》を、身体に
「……つまりなんだ?【召喚師】が大丈夫でも、エリウスは
レディルが、まるで特別だと言っているように聞こえる【召喚師】と、自分の
その言葉に対しノインは。
「
「《石》の所持者とは違ってね、“悪魔”は契約を求めるものだ……それがどんなものかは、アタシには分からないけど……所持者である異世界人と契約するのと、“悪魔”が宿った《石》そのものと契約するのじゃ……話が別物だってことだよ」
ノインは立ち上がり、エリウスの前まで歩む。
しゃがみ込み、《紋章》――腹に手を当てて。
「……こいつがどんな条件を出して来たのか、分かる?」
「……」
知っているも何も、エリウスは
「――シャルっ」
「……
「――
「「「……!?」」」
肩を
リューネは口を押えて
そしてレディルが、大声で気付かれやしないかと部屋の入り口を見た。
最後に、エリウスが。
「ノ、ノイン……?」
どうしてそこまで怒るのかと、
「……いい?シャル。もう使っては
ノインは分かったのだろう。
エリウスが聖王国までの道中、ずっと眠っていたのは、
しかし、エリウスは返事をしなかった。
いや、出来なかった。
答えようとしたその瞬間、また――エリウスは意識を失ってしまったのだった。
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