111話【出兵の時2】
◇
【
その後方にいる、他の馬車よりも少しだけ
「――エミリア
「ぐ……ノエル
「ごめんなさいね二人共、私がこちらを
「いいんです、オルドリン
「こらエミリア!私も
まるで、ノエルディアは
「まぁ……ノエル
「まぁ……ノエルだしねぇ」
「ひっど!!」
涙目で二人の【聖騎士】を見るノエルディア。
そんなノエルディアは、やはりというか何というか、メイド服だった。
「ノエル、あなたはいつからメイドになったのかしら?」
「今それ聞きます!?」
オルドリンからの痛い
今ばかりは、
答えにくい質問に答えたのは、本人ではなく。
隣にいる
「ノエル
と言うよりも、本人が一番慣れてしまっているのが問題な気もするが。
「……なるほどねぇ、副団長らしいわ」
「そうなんですか?」
笑いながら、副団長オーデイン・ルクストバーの何かを知っていそうなオルドリン。
これには
しかしオルドリンは、クスリと笑い。
「あ~、違うわよ?そんな色っぽい話なんかじゃないわ」
「え~?
「
否定するオルドリンに、ニヤニヤしながら詰め寄る二人。
馬車内は、一気に
「本当に違うからぁ!ただ単に、近所ってだけよっ……子供の頃からよく遊んでいたし、少し皆よりも知っているってだけで……」
オーデイン・ルクストバーは、公爵家の若き
一方でオルドリンは、スファイリーズ男爵家の
確かに幼い頃から世話にはなったが、恋愛感情があるかと聞かれれば。
「……でも、好きなんじゃないですかぁ?」
直球で聞くのはノエルディアだ。
彼女は、少なからずオーデインとオルドリンのやり取りを知っている。
エミリアでは分からない事を見て来ていて、思う所があるのだろう。
「……そ、それは……」
「「……」」
「あ~~~~!お終い、お終いよ
「「ええ~~」」
そう言って、オルドリンは窓の外を見る。それ以上、
当てられた手の下にある
◇
【
とある貴族の
しかし顔は大変
「――スィーティア様、次の方が参ります」
「はいはい……分かったわよ」
ドアを開ける少年騎士ケインがせっせと働く姿を見ながら、部屋に入ってくる貴族の男に笑顔を見せる。
「これはドーソン子爵、よくお越しになって下さいましたわ……」
スィーティアは立ち上がり、ドーソン子爵に手を差し出す。
子爵は恐る恐るながらも、差し出された手を取り。
「この度は、ご
と、武闘派のスィーティアにビクつきながらも
しかし、場所は【
このドーソンと言う貴族も、【
「
そう。スィーティアの
ならば、
「ここに来ていただけたという事は……よろしいのですか?」
「は、はい……
そう言って、ドーソン子爵は小箱をテーブルに置く。
「感謝します。ドーソン子爵……」
頭を下げるスィーティアに
「い、いやいや……」
汗をチーフで
アルベールの家であるロヴァルト家は、【
しかし、長い
スィーティアの目的は、この【
ドーソンが置いた小箱の中には、銀貨や金貨が入っているはずだ。
手始めに
これが、今の【
【
誰もかれもが、今の実態に不満を持っているという事だろう。
かく言うロヴァルト家だって、【
しかし、
今はようやく、アルベールとエミリア兄妹の
ドーソン子爵が帰り、スィーティアは
「……疲れた」
「お疲れ様です。
「スィーティア様。これ、アイスティーをどうぞ……」
アルベールとケインに
アイスティーを飲みながら、アルベールに。
「今日は?もうお終いかしら?」
「……はい。予定はありませんが、明日がありますので」
今日の公務はお終いだが、まだ明日があると言うアルベールにスィーティアは。
「アルベール。よく平気でいられるわね……?妹の事、心配ではないの?」
「……」
「ス、スィーティア様……」
言わない様にしてたのに!と言う顔をして、ケインが顔を青くする。
しかしスィーティアは続けて。
「明日には出発するのよね……いいの、会いに行かなくても。
「……確かに、今朝聞いた時は
その笑顔は、痛々しかった。
心配していますと書かれた笑顔は、アルベールの【聖騎士】としての覚悟だろう。
「別にいいけれど、仕事をしっかりこなす
スィーティアは、スィーティアなりに気を遣ったのだろうか。
もしくは、アルベールを試しているか。
「お気遣い感謝します。ですが、俺も覚悟を決めてスィーティア
そう言い、スィーティアに一礼して、アルベールは机に置かれた沢山の
「――あ、手伝います!アルベールさん!」
ケインも、空気が重い中アルベールを手伝い、スィーティアは笑みを浮かべながらその作業を見ていた。
(いいわ。アルベール……そうでなくては、私が
何を隠そう、今回の件で一番の
今朝方、
ローザに負けた
アルベールとその【
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