108話【王都到着】
◇王都
【王都リドチュア】の東。
【
様子を
「誰も居ねぇな――ちっ!
「おいリューネ、エリウスは?」
「まだ眠ってます……ノインさんも」
声を掛けられた少女リューネは、眠る青髪の少女と、獣耳の幼女を見やって言う。小声で。
「んで?どうすんだ?王都に着いたぞ。お前の家は使えねーのかよ?」
「あそこは多分、もう
リューネは元・聖王国民だ。レディルに
大家はとても
もう無くなっていると考えた方がいいだろう。
「……“天使”のねーさんはどうしたんだよ、合流する手筈なんじゃなかったのか?」
自分のした事を思い出したのか、レディルは気まずそうに言う。
利用するだけして消すつもりだったこの少女が、まさかエリウスに気に入られるとは思わなかった。
今では言い合いが出来るほどには打ち
それが
「そのはずですよ。ノインさんもそう言ってましたし……」
帝国を
しかしリーダーであるエリウスは、《石》の
そして
「リューネさん、ノインさんがっ」
パチリと目を開け、その
まだ
「どうした獣耳」
「ノインさんっ!?」
「――スノーがいるっ」
「分かんのか?」
「分かるんですか?」
ノインは獣耳をピーンと立たせて、ある方向に向けていた。
その方向は、【
「うっし。なら、【
「わ、分かりました」
【
異世界人であるローザたちにも通用している
「オルディアはそのままでいいな。お前の顔は割れてねぇから、お前が中心になって下町を回るぞ」
「わ、私ですか……?」
「それがいいよ」
「でも……」
ノインは
オルディアは不安気に、ノインとリューネを見る。
「アタシもこのままでいい。耳さえ隠せばバレないと思うし……今は《石》も外してるから……」
ノインは普段へそに《石》を装着しているが、今は
「これでいいよ」
立ち上がったノインは、元から馬車内にあった
「へっ、ガキにはお似合いだぜ?」
レディルの嫌味にもノインは笑顔で返す。「でしょ?」と。
これにはレディルも、ノインの中の年上の
「エリウス様にも着せ終えました……馬車はどうしますか?」
「ヘルゲンを馬車から離して、エリウスを乗せていけばいいだろ。休ませてもやりてぇしな」
「そうですね……ここまで頑張ってくれましたから」
レディルはエリウスを
マントを
「うん、いい子だねヘルゲン。早く乗せろってさ」
ノインは動物と会話が出来る。
ここまで無事に着けたのも、ノインが
「おし。リューネ、お前がヘルゲンを引け……それと、“天使”のねーさんは【召喚師】のとこって事でいいんだよな、確か宿屋だろ?」
「うん、そうだよ。だから安心して
「そうかよ」
レディルは内心「敵だろ。どう安心しろってんだよ」と思っていた。
帝国組は知らない。ノインとスノードロップ、そして【魔女】ポラリス・ノクドバルンが、エドガーによって“召喚”された事を。
今のエドガーではないが、ノインもまたスノードロップと同じく、再会を心待ちにしているのだ。
しかしレディルの気持ちは、リューネが分かっている。
エリウスは
【
それは、帝国
そしてそのシュルツは、エドガーの父親であるエドワード・レオマリスだという事も、帝国組のレディルやリューネは一切知らないのだ。
そんなレディルやリューネにも、エリウスに
事情を一切知らなくても、もし知ったとしても、
そう覚悟を決めて、今、この場にいるのだから。
「うっし。行くか」
「はい!」
「は、はい!」
「りょーかい」
エリウスを白馬ヘルゲンに寝かせ、くの字に曲がった
リューネはヘルゲンの
目的地である宿屋【福音のマリス】がある【
◇
「……!!――来ましたか」
「ん?どうしました?ドロシーさん」
「――あ、いえ……何でもありませんよ」
【福音のマリス】の
長年を共にした
ドロシー、いやスノードロップも覚悟を決めた。
(ニイフ様に言われた事を、実行しなければいけませんが……)
それは、“魔王”との約束。
協力の
ローザたち他の異世界人に、ある程度の事を話すというものだ。
正直、昨日の今日でその時が来るとは
(エドガー様の事をどこまで話すか……わたくしに任せてもらえたとは言え、ニイフ様がどう出るかも気になりますし)
話す内容は自分に任せて欲しいと“魔王”に
しかし、どう話すかが問題だ。
(どこまでの話を受け入れて頂けるか……転生やエドワードの事は
残された時間は、もう少ない。
【福音のマリス】を目指すエリウスたち。
スノードロップやノイン、そして【
そして、エリウスを追ってきている【魔導帝国レダニエス】の黒い騎士たち。
もう
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